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龍の乗り心地  作者: 睡眠学習の難しさ
本編だと思う
10/18

一(はじめ)は優しい?

↑な訳ないだろ。


キャラにロリが多いのは、私がロリコンだからでしょうか…?

「邪神クリシャ、そう言えばお主にも分かるだろう?」


息が止まりそうだった。いや、一が今自分が息をしているかと言うことすらわからなかった。そんな事は今は"どうでもいい"。どうやら、敵を見つけたみたいだ。まさかこんな身近にいたとは、知らなかった。いや、ここ1年で慢心していたのかもしれない。浅はかだったのかもしれない。だが、悔やんでいたって意味はない。そんな物は後から幾らでもできる。今は目の前の出来事に目を向けよう。例え失敗したって、それでもいい。どこか誤ってエイルが死んだとしても、納得して一緒に死のう。自分のミスを受け入れよう。何、いつかは死ぬんだ。それが早くなっただけ、死が眼前まで迫っていたなら、できる限り足掻こう。そう、エイルに出会って、一は誓った。死ぬのはいいが、犬死だけはダメだ。誰かに殺されたならば、その人を道連れにしてやる。自然に死んだなら、誰かを道連れにするのも悪くない。だが、その前に、自分の妻に意見を聞こう。


「エイルさん、エイルに聞きますが、もしその邪神が今は争うつもりはないと言って来たら、あなたはどうしますか?」


「我は...」














一は再び、学園長室に来ていた。王城のような豪華すぎる内装の部屋だ。


「全く、エイルさんも甘いね。エイルさんの命令なら全部従うと思ってた?エイルは向かって来ない限り放置すると言っていましたが、自分はそうは思いません。向かって来てからでは遅いのです。ですが、敵対するつもりが無いなら、見逃してあげましょう。では、聞きます。貴方は、自分らに敵対するつもりがこれからありますか?無いなら、服従契約を結びましょう」


この服従契約は、奴隷契約の弱体版だ。と言っても、内容は命令への絶対服従で同じなのだが、違う点と言えば、抵抗(レジスト)するに必要な魔力が変わらない事だろうか。


奴隷契約の魔法をレジストするには、主の魔力量の1000分の1が必要になる。だから、主がある程度強くないと奴隷を持つことすら出来ないのだ。そして、主従契約のレジストに必要な魔力は同じで、主と同じ魔力量を誇っていればできる。その為、使い魔との契約では、主の力を示さなく手はならない。勿論、使い魔が認めれば、そもそもレジストなんてしようとしないのだが。


「全く、さっき賢者(護衛)を帰らせたばかりに来たと思えば、そう言うことか?」


「私としては全然いいよ?」


彼女は特に深く考えていなかった。たった1万の魔力しかないのに、主従契約だなんて、あとからいくらでもレジスト出来ると考えていた。だが、世の中そこまでは甘くなかった。一の本来の魔力量は、10兆、レジスト出来るわけがない。


そして、契約魔法が終わり、一が無表情で部屋から出て暫くすると。


「全く、でも疑うのもあながち間違いでもないんだよね。だって、ボクはあの龍神ほど力を持った存在が許せないからね。それにしても、契約魔法なんてすぐにレジストできるのに、なんでそんなものしたんだろう?まあ、いいや!とりあえず、レジストしておこう!それにしても、私って言う一人称はやっぱり慣れないなー。学園長として示しがつかないからやっているが…」


そう言いながら、彼女はレジストをしようとしたが、出来なかった。


「え、なんでレジスト出来ないの?ボクの魔力量は少なくとも2億はあるんだよ!え、ちょっとまって、レジストできなきゃ、私の野望も何もかも無理じゃん!!え、どうしたらぁぁぁ!!!」


誰もいない部屋で、学園長の悲鳴が響き渡った。
















今日の授業で、一が参加できたのは3時間目からだ。サボっていた訳ではないが、それでも自分の授業に来なかった生徒を、先生があまり良く思っていなかった。


「ハジメ!遅刻か!?」


「ええ、そうですね」


「なんだその態度は!まあ、いい。そこに座れ!」



教室は、日本にある学校の設備を全て木で作ったような感じだ。そして、かなり古く、体が大きい生徒が座って壊したこともあった。



「では、3時限目の授業は、体育だ。E-4クラスとA-2クラスでの合同授業だ、全員グランドに出ろ!」


この学校の制服は、動きにくいものだ。だが、日本のような体操服もないので、それぞれの動きやすい服装で体育を行う。


着替えは、グランド入口にある、更衣室で行う。まあ、多くの者が魔法で一瞬で着替えられるので、使う者は少ないが、Eクラスは下の下の成績の生徒が集まるので、そういった魔法もろくに出来ない人が多い。


Eクラスは魔法5万以下が集まるクラスだ。


自分の席にいた一も、グランドに行こうと立ち上がる。


「お前がハジメかー?結構噂になってるぜ?魔力最低なのに、身体能力は1位だって。それにしても、いつも仮面つけてるのか?」


そんなことを言って来たのは、金髪のサラサラヘアーのイケメンだった。一より高いので、少なくとも1、8m以上だろう。


「いつもですよ。貴方は?」


「俺はザックだ!」


「なるほど、ざっくりした性格だから、ザックですか、いい名前ですね」


「てめぇ喧嘩売ってるだろ!まあ、いいや。着替え一緒に行こうぜ」


「え?自分はいいですよ」


そう言って、一は青色を多用した制服姿から、黒い長ズボン、黒い半袖、更に赤と黒のコートを着た姿に変わる。半袖だとわかるのは、コートの前のボタンが開いているからだ。仮面もつけたままなので、不審者にも見えなくもないが、彼のつけた仮面は「微笑みの仮面」鎌鼬本人か、もしくは英雄に憧れた餓鬼かのどちらかだろう。


「お前って本当に、鎌鼬が好きなんだな」


「...行きましょう」





そう言って、二人はグランドに向かった。


「なんで友達を待ってあげないんだよ!」


「え?友達だったんですか?」


「え?」


「え?」


「ま、まあ、いいや。早く行こうぜ」


「はい」




体育の内容は、戦闘訓練だ。内容は主に筋トレとかだ。勿論、魔法の訓練もあるが、それは体育には含まれていない。


「ね、ねぇ。リリィちゃん。僕リリィちゃんと一緒に訓練したいんだよね」


そう言って、数人の男子が、彼女の所に集まる。リリィの魔力量は18万で、その見た目故に、男子に人気があり、桜とは違い女子の嫉妬を買っていない。女子も一緒に可愛いと言ってくることもあるかだ。体育の訓練の内容で、4〜5人組を作らなくてはならないのだ。冒険者は基本的に、その人数で狩りを行うからだ。



「い、いえ。リリィは.......!あ、あの人としますので、お気になさらず」


「あの仮面の人?英雄に憧れてる餓鬼ねー。ぷふっ、笑える」


「じゃあ、私は(その英雄本人ですよ)」


ザックが言ってた一が有名なのは、半ば嘘である。ようは、あの場で見ていた数十人にのみ有名なだけで、その数人も勇者ユウキやテレサを見て一のことは忘れていた。


トコトコとリリィがやってきた頃には、丁度桜も一の所にやって来た。


「「一緒にやりましょう!(やります!)」」


「なぁ、一って結構モテたりするのか?」


先程リリィの周りにいた男子だけでなく、クラス中の男子が彼に敵意の目線を向けていた。当の一は気にしていないようだ。


「へぇ、ハジメさんって言うんですか!」


「あんた知らないで一緒にやろうって誘ってたの!?」


「何言ってるんですかザックさん。私はあの人らと一緒じゃなきゃ誰でもいいんですよ」


「リリィ、なんか慣れてるな」


「これでも私、ギルド職員やってますから」


えっへんとない胸をはるリリィ。


「では、4人組も作れたな!これより、その4人の中で2人組に別れ、各自筋トレをしてもらう。その後、その4人で模擬戦だ!人が余るかもしれないから、余ったやつがいたら入れてやれよ!」


「「「はーい」」」


こいつら、年齢的には殆どが高校生だよな...ガキみたいと思った一だが、心の中にしまった。ちなみに、本当のガキもいる。実際ゆなもそうだが、彼女の場合飛び級のようなものだから、他はそうそういない。


余っている人はいたが、一はわざわざ入れてやるほどお人好しではない。


「じゃあ、筋トレは女子同士でやった方がいいだろ?俺はハジメとやるよ」


「えぇー、私ハジメさんとやりたかった…」


「私もハジメ様とやりたいです!」


「身長合わないですよ」


170台のハジメとは流石に無理だろう。ザックは180台なので、男同士でやった方がいいと一は言っている。一は別に鈍感主人公ではないので、彼女らの気持ちはなんとなく察してるが、眼中に無い。排除対象にも入ってないので、放置だ。


「よし!筋トレも終わった事だし、模擬戦だ!先生と戦いたい者は、先生のところへ、その他は各自でやれ!」


「あの人誰です?」


「体育教師のドルフ先生だよ、自己紹介してたろ始業式で」


「いませんでしたので」


「俺は、あの先生と戦ってくるわ!」


先生の所へ向かおうとしたザックの腕を、一の細い腕がつかむ。


「お前どっからそんな力出てるんだよ!嫌だ!お前とやったら、絶対殺される!」


ザックは見た目に似合わず涙を流す。


「大丈夫ですよ、痛くしません」


「ほ、本当か?」


「はい、痛みを感じる前に気絶させます」


「意味無いだろ!」


「ハジメさん!私とヤりませんか?私強くなりたいので、私を鍛えてください!」


「殺ります?」


「おいコラ、お前ら両方とも字が違うぞ」


教えるのは授業の間のみという事になった。


あたりでは、小さいが所々で魔法によるものだろうか、爆破が起きている。いくら弱くても、この学校の生徒はある程度の戦力を持っている。爆破の爆風や音をもろともしない2人が、見つめあっていた。猫耳、いや狐耳をした可愛いらしい幼女と相対しているのは、仮面をつけた黒のコートを着ている男だ。一の身長は高い方ではないが、リリィの前に立つと高く見える。


「行きます!」


リリィは喋ると同時に、詠唱を始める。魔法陣からして、ファイアーボールだろうか。火属性という事ぐらいしかわからない。だが、一のやることは同じだ。


リリィとの距離を、一気に詰める。


「魔法使いが気をつけなければならない弱点その1、詠唱中は何も出来ないので、隙だらけな事です。無詠唱を習得するのもいいですが、一番簡単な対処法は、短刀などの武器を使う事です。ですが、魔法使いの多くは魔法にばかり専念していたので、筋力が弱く、接近戦を得意としていません。そこで、相手に悟られる前に魔法を放つ必要があります。始める合図や、打つ合図なんていりません」


目の前まで接近した一は腰から抜いたナイフで、リリィに切りかかる。


「はい!」


リリィは詠唱を無理矢理中断して、その攻撃を躱す。


「そうです。1個の詠唱に頼ってはいけません。次の手を、次の次の手を考え、失敗すればすぐに切り替えます。でなければ、死ぬだけです」


リリィはすぐに体制を立て直し、一に魔法を向けようとする。


「無駄が多いです。今の場合、跳んでから地面につくまでの時間の間ならば、あなたの詠唱は終わっていたはずです。魔法使いならば、いつどんな状況でも詠唱できるようにすることが、重要です。そういう訓練も必要ですね」


魔法陣に一の手が触れただけで、魔法陣は乱され、発動しなくなった。


「このように、自分の魔力を指に込めて魔法陣に触れることで、魔法陣の魔力の流れを乱すことができます。乱されたくないならば、紙に描いた魔法陣を使うといいでしょう。まあ、魔法陣を乱す事ができる人はかなり限られている高等技術ですので、この国でできる人は自分も含めて2人しかいませんが」


そもそも、魔法を使う時の魔力の消費は無意識のうちに行われるが、それを意識して動かす事ができる人は殆どいない。人体で言うと、感覚の伝達を意識的に中断するようなものだ。もっと簡単にいえば、意識して心臓を止めるようなものだ。


「ならば!」


すると、一の足下を中心に火柱が上がる。数メートルほどの火柱は勿論、リリィの魔力量で出せる量じゃない。だが、彼女は火柱の真ん中を空洞にする事で、巨大な火柱を作り、さらにそれを檻としても運用した。


「なるほど、こう来ますか」


リリィは土魔法を使って一の足元の土をどけ、落とし穴を作ろうとしている。


「ですが、陣を乱せばいいだけです」


だが、魔法陣は乱れない。恐らく、魔力によって空中に描いたものでなく、直接土に書いてるのだろう。先程の詠唱は地面に魔法陣を描くためのものだった。


「これは参りましたね。まさか、魔法陣を描くために魔法を使うとは」


そして、一は穴に落ちて、火柱も追い打ちをかけた。魔力を使い切ったリリィは倒れた。


「リリィさん!」


「桜、自分が彼女を保健室に運びますので、後は頼みます。ザックもです」


いつの間にか上がってきた一が、リリィをおんぶして保険室に向かった。


「後は任せるってどう言う事だ?」


「馬鹿ですか?この穴埋める以外にあります?」


「あ、お、おう」


一エイルの前では、毒舌な桜だった。ザックはまた泣きそうな顔で穴を埋めていた。ちなみに、桜は土魔法が使えないので、無属性魔法で土を購入して埋めていた。






2人は気づいていなかったが、周りの生徒は唖然として見ていた。


宿題終わらない...開き直りましょう!

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