意外や意外
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1話1話が短いのでつまらないかもしれませんが、頑張ります。
新キャラ? 登場です。
いやうん。
参ったねぇ………。
◇◆◇◆◇◆
「………人海戦術にしても子供の俺に二、三十人って大人げねぇよ………」
根城を潰し、女達を連れ出すまでは良かった。
奴隷商が来ると分かっていたし、急いで移動しなきゃならなかったんだが。
でもさぁ、捕まってた女達の中に、人攫いの仲間が居るなんて誰が思うよ!?
どうも俺を危険人物に認定していた様で、何時の間にか沸いていた男共に囲まれていた。
いろんな格闘漫画の技を、襲い掛かって来る連中に食らわせていたら、背後から棍棒だと思われる鈍器で、ガツンと一発。
俺じゃなかったらほぼ即死レベルの会心の一撃を頭に食らった。
気付けば後ろ手に手枷を嵌められ、檻の中に無造作に転がされているという現在に至る。
女達を助けた時点でなんとなく厭な予感がして、咄嗟に偏光ガラスを錬成し、紅いコンタクトレンズにしてバイザーの下に装備したのは正解、つか英断だった。
なんでって?
俺が黄金竜(金瞳)だとバレない為と、今、バイザーやらのギミック装備が無いからだ。
気絶している見た目幼女の俺の身体から、装備一式を奪うって………。
うふ、ふ、ふはははは!!
この俺が大人しく助けを待つだけのガキだと思ったら大間違いだ!!
思う存分暴れさせてもらうぜ、ド阿呆共!!
◇◆◇◆◇◆
金属の手枷で良かった。ある程度の自由が利く。よって手パンで錬成可能、と。
多分木枠の手枷でもいけただろうが、まあ、それはそれとして。
勢いをつけて身を起こし、キョロリ、と見回す。
………ゑ”。
な、何か俺と同じ様に、後ろ手で手枷を嵌められ転がされている爺様がッッ!?
ちょ、生きてますッッ!?
慌てて手パンで手枷をインゴットに錬成し、爺様の下へと寄る。
手を翳して生存確認。息はしてる、大丈夫。
手をそっと取り脈を計る。うん、正常っぽい。
よ、良かったよぅ………。
爺様の手枷も手パンでインゴットにしておく。
爺様を雑と診て外傷とかは無いな。恐いのは、爺様の持病の有無。これは今は俺でもどうしようもない。
そう。『今は』だ。
取られたギミック装備には薬草などの医療キットがある。そうと分からん外観だが、絶対取り返す!! ついでに報復!!
気を取り直して、爺様を起こさなきゃ。
何度か呼び掛けると、目を醒ましてくれました!!
「爺様もあいつらに捕まったの?」
「情けない事に、の。やはり老いには勝てんわい」
見た目幼女の俺だからか、爺様はそうぼやく。少しばかり会話のキャッチボールをして判った事。
爺様は友人の所に赴く途中だった。で、歩いていたら襲われた、と。
爺様の被害は、装備していた鎧と剣、でっかい鳩の血石が付いた杖。
それを聞いた俺はパッカリと口を開けた。
爺様を見るに、嘘じゃない御様子。
「でっかい鳩の血石?」
「うむ。そうさな、辻占い師が使うとる水晶玉くらいの大きさかの」
このくらいか? とジェスチャーで大きさを示す。
でけえっ!? しかも鳩の血石ッッ!?
爺様………何者?
ただの金持ちのご隠居さんじゃないだろ絶対。
爺様の取られた装備一式が物語っている。
鎧に剣。杖。
爺様が鎧? と思うが、恐らくレザーアーマーとかなんだろう。鎧について聞いとけば良かったと後悔する羽目になるのだが、今の俺は知る由も無い。
因みに爺様はメイザースと言うらしい。
メイザース、ねぇ?
ま、いっか。メイザース爺様ってば戦る気満々だし、俺も止める気無いし。
◇◆◇◆◇◆
ま、取り敢えず。
こっから出ますかね。
意外な人物と意外な場所で出会い、意気投合。
鳩の血石、つまりはルビーの高級品、ピジョンブラッドです。
そんな高級品を杖に付けているメイザース爺様は、必要だから持っていたのです。