新たな従者
これまたお約束の話。
反省。衝動買いに超反省。
っつーか、そもそもコイツが奴隷馬車に居る事自体が可笑しかったんだよな!!
◇◆◇◆◇◆
奴隷馬車、そして何より、顔の左全体を覆うトライバル型の痣。
間違いなく竜種だ。
だから俺らしからぬ駄々を捏ねた。
コイツがどうしても欲しくて。
「確かに我等と同じ竜種ですが―――」
「コイツが暴黒竜なのは解ってるよ。暴君竜独特の痣があるし」
暴君竜は竜種だけど、魔族に近い。血肉を好み喰むもの、暴力を誇示し暴れ回るもの。
一番多いのは、人間に復讐することに固執するもの。
理由を挙げれば限が無い。
しかし俺にとっては、ハイスペッカー従者以外に初めて見る同朋だ。
てな訳で。
お行きなさい!!
「主人。一番奥の亜人の男が欲しいのだが」
奴隷商が相手なので、男のラヴィッジに交渉を頼む。
荒事が起こっても、あのハイスペッカーが対応する。
資金については、バーサクモンスターや山賊、盗賊などのドロップ品が高額で買い取られた。
それに、アンゼリカが夜番の手慰みで作ってた刺繍入りハンカチが、かなりの高額で売れたので今はにわか成金なのだ。
出来れば貯蓄しておきたい所だが。
お、お帰り。
どうだった?
「外傷があるにも拘わらず高額でしたので、値切りに値切ってまいりました」
「て事は」
「お嬢様の望むままに」
よくやった。流石、ハイスペッカー従者。
その肩には、暴黒竜が担がれている。
ちょ、コイツ怪我してんだから、もちょっと丁寧にして………(汗)。
◇◆◇◆◇◆
泊まり込んでる宿屋に一名追加の料金を払い、好奇の視線をぶっちぎって部屋へ直行。
暴黒竜を寝台に寝かせ、最上級回復魔法を何度も掛ける。
みるみる回復していく外傷にホッとする。
問題はコイツ自身か。
まともに飯喰ってねえな。肋が浮いて見える。ここらはハイスペッカー従者達に任せるか。
暴黒竜が起きるまで二日を要した事を記しておく。
で、名前は? 「ディル」ね?
何で奴隷馬車にいたの?
は? 卵の時から人間と一緒で実験体だった?
ふーん、そっか(黒笑)。
で、胸糞悪い首輪は?
え、あれ強制の魔法組み込まれてたの!?
あー。だからヤな感じがしたのか。アレぶっ壊して正解だったな。
ん? 俺? 俺はマルス。
一応、黄金竜だよ。
くぉら、俺が王族だからって怪我人が一々反応しないの。
ほらほら寝なさい。で、体調戻す事優先!
はあ? わざわざ買ったのを捨てるか! 俺を人間と一緒にすんな!! ウダウダ言わんで寝ろ!!
………ったく、もー。
んあ? どーした?
「何故解るんですか?」
「ほへ? 何が?」
「その暴黒竜―――ディルの言葉です。我々には声すら聞こえませんでした」
ええ? 結構喋ってたぞ、アイツ。聞こえなかった?
………戦国スタイリッシュアクションゲームの某伝説を思い出すんだが、気の所為か?
翌日目覚めたディルは、フラフラの身体でラヴィッジと一対一でガチバトルをし、夕方まで心置き無くバトっていた。
そっか、ディルもバトルマニアなのか………暴黒竜だしなぁ、そこは性質っつー事で諦めるしかないか。
◇◆◇◆◇◆
ディルは、俺の専任護衛になった。
戦闘力抜群の暴黒竜―――ハイスペッカー従者の片割れ、ラヴィッジと互角に渡り合ったのだ、ディル自身も相当なハイスペッカーと認定―――、ディルの言葉は俺にしか解らないみたいだし。
何故じゃ?
暴黒竜のキャラがたち過ぎたかな?
モデルはやはり、あの風の悪魔です(笑)
そしてハイスペッカーが増えていく(笑)