プロローグ
アレグスター王国、ここは地球とは違う世界、いわゆる異世界である。
アレグスター暦666年6月6時6分、悪魔の日に一人のお姫様が誕生した。名前はアレグスター・モーア。悪魔の日に生まれたため、生まれた頃は悪魔の子どもと言われた。だが、モーアが成長するにつれて、誰もモーアのことを悪魔の子どもとは言わなかった。なぜなら、モーアは誰にでも優しく、しかも、勉学、剣術、魔術、やること全てがうまかったので、誰からも好かれた。大人も、行儀がよく、可愛らしいモーアを好んだ。まさに、全てが完璧な天才だった。
だが、一つの事件で、モーアの人生を180度変えることとなる。その事件を皆さんには読んでいただこう。
6月5日 at school
「モーア! 今日一緒に買い物いかない? 」
「ごめん、ミリー、最近調子悪いから今日は無理! 」
モーアは少し申し訳なさそうにいった。
「ああ、そう? じゃあ、今度行こっ! 」
「うん、分かった」
「じゃあ、バイバイ! 」
「バイバイ」
そう言ってモーアは、机の上にある鞄を取り、教室を後にした。
「最近ずっと調子悪いって言ってるよね」
「そうだね、何かあったのかな? 」
心配そうに尋ねた。
「うーん、彼氏でも出来たんじゃない? 」
「えっ! マジで! 」
「じゃあ、ためしに着いていってみる? 」
「さんせーい! 」
そうして、モーアと友達である二人も教室を後にした。
at 大通り
最近私は変だ。何かが私の心の中でざわめいている。こういうことは小さい頃からよくあった。でも、最近は小さい頃よりも回数も増えたし……ざわめきも大きくなっている……
お父さんに言った方がいいのかな……
ドサッ!!!
「い、いてて……あっ!!すみません! 」
どうやら、モーアは人とぶつかったらしい。
「いえいえ、こちらこそよそ見をしていまして」
「本当にすみません! お婆さん、林檎拾いますね」
ぶつかった際に落ちた林檎をモーアは拾い出した。
「あら、お嬢さん、何か悩み事でもあるのかね?顔に出ているよ、 悩み事があっては、せっかくの可愛い顔も台無しだよ」
「な……悩み事なんて………」
図星だったモーアは少し戸惑った。
「まあ、ぶつかったお詫びとして、その林檎でももらっておくれ」
「えっ、でも……」
「いいんだよ、お嬢さん、では、私はそろそろいくよ、さようなら」
そう言うと、お婆さんは何処かへいってしまった。
いい人だったなと思いながら、モーアは立ってとある公園へ向かった。
その公園はモーアに悩み事があるとよく行く公園だった。
「やっと、着いた」
モーアは公園に着くと、ブランコがある方へ行って、ブランコに座った。
「はあ、疲れたなぁ」
「少しお腹減ったし、お婆さんに貰った林檎でも食べよう」
そう言ってモーアは鞄から林檎を取り出し、口へと近づけた。
カジリッ
「うっ⁉ なに……これ………⁈ うぅ!うぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!!!!!!! 」
モーアの叫び声が公園中に鳴り響く。
「ミリー! モーアがおかしいよ⁉ 」
「モーアとところへ、いって……みよう」
遊び心で着いてきていた二人である。そして、叫んでいるモーアのところに近づいて行く。
「モ、モーア大丈夫⁈ 」
「わ、私に近づかないで……」
モーアは何かに耐えてるように言った。
「モ、モーア⁈ 」
「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!!!!!!! 」
黒い炎がモーアを包み込む。
「モーアちゃんのお友達みーつけた、ウフフ」
不気味な笑い声が二人の耳に刺激を与える。
「二人とも、死ね」
そういった途端、二人の体は黒い炎に焼かれていく。
「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!! 熱い!!!!!!!! モーア熱いぃぃぃぃぃい!!!!!!!! 」
「やっぱり、人を殺すのは楽しいな……」
at 王宮
「アレグスター様! 悪魔反応です! 」
「何だと⁉、悪魔は15年前に全滅したはずだぞ!! 」
二人に少しの沈黙が訪れる。
「すぐに、民衆に避難勧告をだせ」
「誰かに魔術的ジャミングされていて、民衆に避難勧告を出すことが出来ません! 」
「そうか……悪魔のいるポイントは? 」
「それも……」
「チッ、悪魔の種族は?」
アレグスターの王はついついイライラさてしまい、舌打ちしてしまった。
「人型悪魔です……」
「人⁈ じゃあ、誰かに割り出せ! 」
「それが……キール様の……娘様です……」
再び二人に沈黙が訪れる。
「そうか、私にはやることが出来た。お前は私の代わりに指揮を取れ……」
「ですが……今外に出られては……」
「構わん、これはアレグスター家の問題だ」
そう言うとキールはモーアを探しに行った。
at 公園
「フフフ、もっと燃え散れ」
モーアの体から悪魔反応が出てから、一時間。だったそれだけの時間でアレグスター王国は火の海になっていた。
「久しぶりだな……ルシファー」
「ご名答、この私はルシファー。やっと、私と対等な人間がやってきた、さすがに待ちくたびれたわ」
「そうか、それはどうでもいい」
「それと、この国をよく見ておいてね、君の墓場だから」
少し、モーアの顔に笑みがこぼれる。
「何をいっておる、ここは君の墓場だ」
「よくそんなことが言えたもんだ、私を封印するのに自分の魔力を全て使ったのに」
「知っておったか」
「だが、この剣を使えば、いくらお前でも……」
この剣とは、名無しの剣と言われるものだ。これは王の資格を持った人だけが使える剣である。
「その剣か……、一つ忠告しておいてやろう、この私が何もしないでモーアの中にいたと思うの? 」
「な、何だと⁈ 」
キールの額に汗が走る。
「この15年間で、君の王としての素質を全てモーアに引き継がせた」
「この剣ももう使えんのか、寂しいものだ」
あくまで、キールは冷静だった。
「後、モーアの体は使いやすかった、さすが悪魔の子どもだった、これは感謝するよ
では、さようなら愛しきお父様」
モーアがキールに近づいて行き、キールの頭を掴んで黒い炎でキールを包み込んだ。
「まあ、この剣は形見として貰っておくわ」
静かにモーアは落ちている剣を取った。
「形見なら、これを貰っておけ」
そう言うとキールは、十字架をデザインしたネックレスを強引に引きちぎり、モーアに投げつけた。
「まだ、何かあるのか? なんてサプライズなんだよ」
投げつけたネックレスが、振り返ったモーアのおでこに当たる。
一つの光がモーアの体を包み込んだ。
「うあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!! この死に損ないがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!! 」
モーアを包み込んでいた黒い炎がモーアの体の中に収められて行く。どうやら、ネックレスには悪魔の力を封じ込める力があるらしい。
「お父さん⁉ 」
光から出て来たモーアがお父さんのもとに詰め寄った。
「モーア………」
「お父さんどうしたの⁉ それに街も……これ全部は私がやったの………? 」
涙を堪えながら、モーアは言った。
「モーアは……何も…悪くない、それと……今から言うことを……実行してくれないか? 」
モーアはショックのせいか、黙っている。
「今から……空間移動術式で……モーアをある術式の部屋に連れて行く……そして術式を展開し……質問にYesと言う……それだけだ」
「私は……どうなるの……」
「モーアが助かり……みんなが助かる、では……」
「待ってよ! お父さん!!!!!!!! 」
「さようなら、我が娘よまたいつかどこかで……」
モーアの叫び声と共にモーアは姿を消した。
「娘のために……ために死ねるなら………本望だ……」
キールは静かに息を引き取った。
その頃、モーアはとある部屋に着いていた。
「お父さん……術式を展開すればいいんだよね……」
泣きかけているモーアは言った。
「術式……展開! 」
そう言うと、術式が浮かび上がり、一つの音声が流れた。
「この転成術式を行うと、あなたの何かが失われます、それでも、術式を展開しますか? 」
モーアにはパニックのせいで理解力さえなかった。
「Yes」
「音声確認しました。では、異世界の生活が幸せであることを願います、さようなら」
そう言った後、術式がモーアを包み込み、轟音と共にモーアは何処かへ消えてしまった。
モーアは何処へ行ったのか、何を失ったのかは……誰も知らない。
かなりシリアスになったなー、次回から明るくなっていくので大丈夫!