オレ、ダイダル到着
長らく時間が空きました
それでも読んで下さる方ありがとうございます
こんごもゆる~く次話待っててくれると嬉しいです
オレらはサラキさんの馬車に揺られてダイダルへの門を通った
また手続きとか面倒なのかと思ったらメルが何かの紙を見せ兵士がオレらの顔を確認しただけで
あっさり通れた
やっぱりサラキさんは顔が利くお金持ちらしい
まぁ兵士の皆さんはオレとハク見てギョッとはしてたけどね
馬車はダイダルの中心を通る大通りを進んでいく
サラキさんにリオ探しのことを話すとしばらく自分の家に泊まっていいと言ってくれた
どうやら空き部屋がいっぱいあるそうなので…
くそう!!羨ましい!!
とりあえず特にダイダルであてにできる知人がいるわけでも無いので金を払って宿屋に泊まってさらに噂が立ち目立つなどと言う参事には巻き込まれたくもなかったのでサラキさんのお言葉に甘えることにした
そして今、オレは身元を隠すようにフードを深く被って馬車から外を眺めている
見れば見るほど本当にアラビア●ナイトだと思う
ターバンをまいた褐色の肌の人々、みんな金の腕輪やら宝石やらをたくさんつけている
ここは比較的富裕層が暮らしているらしかった
だが富裕層のやつらには奴隷を連れてるやつも多い
奴隷になるのはさっきのサラキさんみたいに因縁つけて連れていかれる人(こういう人は解放されることが多い)
借金がかさんで返しきれなくなった人
敵国の捕虜
戦いに敗れた先住民族などだ
奴隷には人権がないので扱いがひどい
人権がないので公衆の面前で斬殺なんてことをしても罪に問われないのだ
まぁ奴隷持ってるようなお偉いさんや貴族の皆さんはそんなことしたら好感度やら世間体が悪くなるからそんなことはしない
でも「公衆の面前」でなければそういうことをして楽しむ奴らもいるのだ
そんなことを考えてるうちに馬車が止まった
交通の多い大通りに出たみたいで順番待ちで止まってるようだ
こういう風にちょっと金持ちそうな止まっていると身なりが貧しそうな子供たちがよってくる
こんな子供は見ての通り所得の低い家の子供や孤児などだ、大人なら低賃金でも雇ってくれるところがあるが子供では雇ってもらえない
奴隷ではない限り人権がある以上雇えば雇った側が罪になる
そのためこうやって金のありそうな馬車によっていって自分たちが作った商品を売ったり
馬に水をやったりブラシをかけたり、靴磨きなどでチップを貰うのだ
今も男の子がメルからチップを貰って嬉しそうにかけて行った
結構な額を貰ったのだろう、まぁあの子にとってのだが…
…くぅ~少年、健気だ…強く生きろ…
ちなみにこういう時乗ってるのが貴族のオヤジだと自分の体を売りに来たりする女もいる
…いや、全然こないかなぁとか思って無いけど、ぜんっぜん思って無いけどね!!
大事な事なので2回言いました
「なぁ、シギンはん、娼婦の子でごっつ美人な子とか来ぉへんかな…」
………ハクくん、そんなこといけないと思うゾ☆
オレは思って無いよ!!思って無いって!!
「あ?シギンはんも思っとったやろ~なぁ?なぁ?」
…もうオレこいつ嫌い…
想像の自由くらい与えてくれてもいいだろ!!
いや!!断じてそんなふしだらなこと考えてないけど
そんなこんなでギャーギャーやってたらオレの願いが通じたのが二人の女が近づいてきた
結構可愛い
ただしきっと6、7歳…
残念ながらオレにそんな趣味ない
近寄ってきた子は二人ともとてもよく似てた、きっと双子なんだろう
高い位置でツインテにしたつり目の強気そうで無愛想な女の子と低い位置でツインテにしたたれ目で愛想のいい女の子
頭から羽が生え鳥の足の鳥人の子だった
ちなみにこういう子どもは奴隷として価値が高かったりする、双子セットでかわいいとなおさら…
そんな彼女たちはこっちに何かの包みを差出ながら指で2を作っている
こういう獣人は人の言葉ではなくてその獣の言葉を話す
でもオレたちが外国語ならって話せるようになるのと一緒で話せるやつらもいるまぁこの子たちは話せないみたいだけど
ちなみに人が獣の言葉を話せるようになるのはほとんどムリらしい
まぁたまに話せるつわものがいるらしいけど…
オレは強いし…召喚師だし…この子達と話すこともできる…ドヤ!!
リンクって言う高位召喚魔術でその名のとうり召喚獣とリンクする術だ
要するにこれで鳥系の召喚獣とリンクしたらオレはこの子達と話せる
この術を使うと外見も能力もコピーできる要するにほぼ鳥人と同じになる
他の召喚獣でやれば他の召喚獣のコピーになるけどね
獣人を獣と人の間って言う表現をしたら召喚獣と人の間になるって事
オレはこんなとこで鳥人間に変身して目立つのはごめんだから使う気はないけどね
で話がそれたけどこの子達は子の包みを買って欲しいらしい
いろんな光景をみて若干カルチャーショックを受けてて心が寛容になってるのもあって
この子達には頑張ってほしい(可愛いし)だから俺はそれを一つ買うことにした
いろいろ買う時の金はハクが出してくれたからオレの所持金はまだ10万ジュエルのままだ
懐から200ジュエル出してその子たちに渡して包みを受け取る
双子は手の中を見ると顔を輝かせて頭を何度も下げてから路地裏に消えて行った
そんなに喜ばれるとは…いつもそんなに売れないのかな~
ちなみに中身はクッキーだった、素朴な家庭の味って感じ、オレは好きだよ…前世を思い出す…ぐすん…
あっさりこっちに来たけど別に悲しくなかったわけじゃない
「なぁシギンはんなんであの子らにあんなに払ったん?シギンはんロリコンやったん?」
人が感傷に浸ってる時にいちいち嫌味な言い方をしてくるやつだ
「いやこれ買ったんだよ」
オレはクッキーの包みを見せる
これおいしい…ぐすん
「いくら言われたん?」
オレは口をムグムグさせながらあの子たちがやったように指で2を作る
一度ハクの目が点になる
「ぎゃははははは!!シギンはんそれ20ジュエルやで!!そのクッキーに200ジュエルって!!
あっははははは!!苦し、それであの子ら一か月は生活できるわ!!ぎゃっはっはっは…ウエッ!おえ!!」
笑い過ぎでえづいてやがる…自業自得だ
オレはクッキーをタイガとドラゴに分け与えながらハクに憐みの視線を向けとく
しかしどうやらこっちに来て日の浅いオレは金銭感覚が麻痺してるらしい…
それにしてもあいつはまだえづいてる…もう知らん
情けをかけたつもりはないがあの子たちがあれで一か月暮らせるのならあげても惜しくないと思う
しかし一か月200ジュエル生活は金銭感覚麻痺のオレでもわかるが少ない
前世でオレが見ていた某テレビ番組なんかよりもよっぽど少ない…
頑張れ!!強く生きよ!!
そんなこんなでやってるうちにサラキさんの家(と言うか城?屋敷?)についた
敷地内に入ってもしばらく馬車に乗るくらい広い
…くそう!!羨ましい!!
しばらくして馬車を降りるとちょっと待っててくれと言ってサラキさんとメルは屋敷に消えて行った
そしてすぐに二人の代わりに無表情なメイドとニコニコと同じ笑顔を崩さない執事が出て来た
「シギン様とハク様でいらっしゃいますね?お話はお嬢様よりお伺いしております」
「お二人のことは兼ねてから風の噂で…」
執事とメイドが恭しく頭を下げる
二人とも表情が変わらない、すげぇな表情筋
この二人の話によると
オレらは目立ちたくない
でも本屋敷のほうに入れてしまえばほかの使用人の目につき確実に噂は流れてしまう
なので信頼のおけると言うこの二人がオレらの世話をしてくれるらしい
俺たちには塔を一つ(風呂、食堂、中庭なんてのもついている)貸してくれるらしい
塔一つって単位がおかしいと思う…
…くそう!!うらやまs(略)…
そのかわりサラキさんたちの住む別棟には他の使用人もいるので入るなとのことだった
なるほどなるほど了解了解
「なお夜10時までには塔へお戻りください」
「へ?」
思わず間抜けな声が出てしまった
「え~10じぃ~!?子供やあらへんしいややいやや~」
それが子供っぽいと思うぞ…うん…
「我が屋敷では夜10時より警護のため番犬を敷地内に放させていただいておりますゆえ」
そんなのオレらどうにでもできると思うけどな~
「え~そんなん蹴倒すぐらいうちらできるわ~」
人様の犬を蹴倒すのはどうかと思うけどね
「もしも、と言うことがありますので…」
「いややいや…」
「こればっかりは必ず、何があろうとお守りください」
ハクが言い終わらないうちに執事が笑顔を絶やさず食い気味に言う
ちょっとこわい
ハクはまだダダこねてる
あの状態の執事さんにダダこねるとかこいつの心臓鉄かなんかなのかよ
とりあえずはハクを押さえておく
これ以上するとちょっと怖い展開になりそうだ
「では御用の際はこちらのベルでおよびください」
そう言ってメイドと執事は出て行った
ハクはまだブーブー言っている
「なぁシギンはん別んとこ探そうや~うち夜花街行きたいねん」
こいつさらっと何言ってんだ
もっとマシな理由なら考えてやらんこともなかったのに…
「金持ちには金持ちなりの理由ってのがあるんだろそれぐらい我慢しろよ」
ただでさえ目立つのにこいつが花街なんか行った日にはより目立つうえ本意じゃない噂が立つのは目に見えてる
よってオレはこいつを絶対に花街にやってはいけない
「そうだ!!情報集めと観光もかねて街周りにいかないか!!うんそうだ!!それがいい!!そうしよう!!」
若干むりやりか?
まぁこいつはこのままここにいてもずっとダダこねるだけだししかたない
と言うことでオレらは観光がてら街に行った
今日は早めに休みたいから近場しか回らなかったけどそれだけでも充分この国の状態がわかった
裕福なのはホントに一部の富裕層だけみたいだ…
とりあえずオレらは飯を食うことにした
飯屋なら情報も集まりそうだし
メイドと執事が飯も用意してくれると言ったがハクが拗ねて断った
オレとしてもあの二人はちょっと不気味で苦手だったので特に異論はなかった
こうしてオレらは手頃そうな郷土料理の店に入った
ちなみにダイダルの郷土料理はスパイスが効いててインド料理みたいだった
いや、オレ前世でインド料理とか食ったことないけど…きっとこんなの
そして情報の方はというと…皆無だった…
と言うかオレらもリオの容姿がわからないから「ちょっと変わった変な女の人みませんでした?」としか聞けてないのが原因の一つなんだけど…
聞くたび変な顔されたよ…
いちようルリアさんに聞いては見たのだが神使は姿を自由に変えることができるらしく今のリオの姿はわからないとのことだった
ここにいるのは確からしいんだけどな~
まぁとにかく情報はなかった
にしてもハクがさっき「ちょっとトイレ~」とか言って席を立ってからずいぶん帰ってこない…
………………これはやっぱそう言う展開ですよね…
オレは静かに席を立ってトイレを見に行く
「おい!!ハク!!」
ドアをドンドン叩いてハクの名前を読んだら中から小さく
「…はいってますぅ~」
って帰って来た
くっそやっぱりだ逃げられた!!
店に金を置いて通りに出る
あ~くっそ完璧油断してた…
ハクの分の会計をオレが払うぐらいはいい
でもあいつは絶対花街に行きやがった…確実に
とりあえずフードを深く被って走る
くっそオレまでそういう奴みたいな噂が立つのは勘弁してほしい
とりあえずオレは花街の入り口まで来ていた
なんか…派手だ…
フードを深く被りなおしてタイガとドラゴをポケットに隠せるぐらいの大きさにして花街に踏み込む
やっぱり花街と言うだけあって派手な格好に派手な化粧にキツイ香水の女ばかりだ
そいつらが客を取ろうと店頭で客寄せしてる………やっぱり美人だと思う…スタイルもいいし…
まだ10歳ぐらいの幼女もいる…こういう子は奴隷を娼館が買って商品にするのだ
そういうのを求める趣味の悪い客もいるのだ
あとは見世物小屋や男性娼館(これもそういう趣味のやつがいるって事だろう)、遊女屋等々が並んでる
前世でそういう経験が豊富だったオレにとってはこんなところなんとも…………今「ん?」って思ったやつ覚えてろよ…
まぁとにかく経験豊富だったオレにはこんなところなんでもない
決して店頭に立ってるお姉さま方の誘いに乗りかけたり、男性娼館や幼女娼館の前でそういう扉を開きそうになったりなんてことは無い…
ホントだよ!!
それにしてもハクがどこに行ったかがわからない、きっちり気配消しやがって…
こんだけたくさん店があるとどれに入ったかもわからない
さらに入っていって探すなんて死んでもしたくない…
しかも今は9時45分このまままっすぐ帰って時間ギリギリって言うとこだ
アノ執事とメイドとの約束を破るなんてオレは怖くてできない…
オレは「噂の鎮静化とメイド執事との約束破り」と「噂の拡散と約束を守る(自分の身も)」を天秤にかけた結果屋敷に戻ることにした
ハクはあいつらから制裁を受ければいいんだ…
帰りもお姉さまがたに誘惑されたがスルーし…ホントだよ!!
スルーしてオレは花街を後にした