Episode.α「forest」
※少々えげつない部分あります。了承の上お読み下さい。
なかなか出口が見えない生い茂った森の道。
「はぁ。」
ガタガタな道のせいでゴトゴトとハンドルが揺れる中、誰かが溜息を一つ吐いた。
「どうしましたアナ。」
二十代後半の女性の声。髪色が黒のロングヘアーの東洋人。瞳の色、ブラウン。
「…長いですね師匠。」
アナと呼ばれる十代前半の男性の声。
髪色がブラウンの英国人。瞳の色、ブラウン。
「ええ。森ですからね。」
師匠と呼ばれる女性は窓を開けて外に少し顔を出す。
「それにしてもタイヤが滑って酷いです」
「こんなに血が流れているのだからしょうがないですよ。」
師匠と呼ばれる女性は辺りを見回す。
「安全運転お願いしますね。」
「二日前から頑張ってますって。」
ハンドルを一気に右に回しカーブ。
「見事な道ですね」
「昨日の今日ですからね」
「死臭がないことだけでも有り難いです。」
ギアを変え更にスピードを出す。
「誰かにこの状況を聞きたい所ですが…」
「ええ。生存者が居ないですからね。」
枝と枝の隙間から黄色とオレンジの光が入る。 夕時に近付いてきた。
「こんな森で死体の山に会うとは思いませんでした。後で洗車お願いしますよ」
「やっぱり僕なんですか」
「いけませんでしたか?」
師匠と呼ばれる女性はサラッと流す。
「森から出れば街が見えますよ。」
「だといいんですけど。
」
グチョグチョの道をベチャベチャと走っていく。
「……長いですね。」
「ええ。森ですからね。」
流れていく死体の山に文句を付ける。
おんぼろワゴンは止まることなく走る。
END.
お読み下さり有り難う御座います。秋人です。この小説は『師匠と弟子の旅の途中に起きたこと』を書き表してます。まだまだ書いていこうと思っていますので宜しくお願いします。秋人でした。