【第7話 庭に落ちてきた巨大な卵】
王都の新居に引っ越してきて三日目。
朝起きたら、庭が大騒ぎになっていた。
「ユウキさん! 大変です!!」
リリアが部屋に飛び込んできた。
顔が真っ赤で、息が上がってる。
「庭に……庭に巨大な卵が落ちてるんです!!」
俺は慌てて飛び起きて、赤ちゃん軍団を連れて庭へ駆け出した。
そこにあったのは、
本当に巨大な卵だった。
高さは俺の腰くらい。
表面は青みがかった銀色の鱗模様で、ほのかに光を放っている。
周囲の草が少し焦げてる──熱を帯びてる証拠だ。
モミジが「きゅう……?」と不安げに近づき、
ルビーが「きゅるる!」と威嚇するように小さな火を吐き、
タコ丸が触手を伸ばして卵をツンツン突っつき、
ピヨが「ぴよぴよ!」と頭上で飛び回る。
リリアが王宮からの報告書を読んでくれた。
「昨夜、王都上空を巨大な影が通過したって報告が複数。
その後、この庭に何か落ちてきた音がしたらしいです。
……おそらく、天空を支配する伝説の竜『スカイドラゴン・レヴィア』です」
スカイドラゴン?
聞いたことある。
雲を操り、雷を落とし、数千年単位で生きる最上位の竜種。
魔王軍にも利用されてない、完全な野生の古竜。
「年齢は……推定8000歳以上。
最近、魔王軍の影響で凶暴化してたらしいです」
俺は卵を見上げた。
「……落ちてきたってことは、疲れ果てたのか?」
「もしかして……もう生きるのに疲れて、自分から落ちてきたのかもしれません」
リリアの言葉に、俺は決めた。
「よし、今日の一発はこれだ」
俺は卵に手を翳した。
「若返りの一撃──マイナス八千年!!」
青白い光が卵全体を包む。
卵の表面が輝き、
少しずつ、少しずつ、
小さくなっていく。
最終的に……
俺の手のひらに乗るサイズの、
小さな銀色の卵になった。
「カチ……カチ……」
小さな音がして、
殻にヒビが入った。
パカッ。
中から出てきたのは、
手のひらサイズの赤ちゃんスカイドラゴン。
銀色の鱗に、青い瞳。
小さな翼をパタパタさせて、
俺の指にしがみついてきた。
「くぅ……くぅん♪」
めちゃくちゃ可愛い。
リリアが涙目になってる。
「ユウキさん……また増えました……」
「名前は……『ソラ』でいいか?」
「くぅん!」
ソラが喜んで、俺の頰をペロッと舐めた。
その瞬間、頭の中にメッセージ。
【スキルレベルアップ:レベル4】
【新機能解放:若返り対象の“記憶”を一部保持可能】
【赤ちゃん状態でも、元いた頃の記憶を少しだけ思い出せます】
ソラが俺の顔を見て、
急に瞳を潤ませた。
「くぅ……くぅん……」
まるで「ありがとう」って言ってるみたいだった。
庭に集まった王宮の関係者たちが、遠巻きに見守ってる。
王女様が駆けつけてきて、ソラを見て大興奮。
「可愛い!! 空の竜がこんなに小さくなって……!!」
俺はソラを抱きながら、みんなを見回した。
モミジ、ルビー、タコ丸、ピヨ、そして新メンバーのソラ。
五匹の赤ちゃんモンスターが、俺の周りで楽しそうにじゃれ合ってる。
リリアが微笑む。
「赤ちゃんパーティ、ますます賑やかになりましたね」
俺は空を見上げた。
遠くに、黒い雲が広がってる。
魔王軍の気配だ。
「これで五人目か。
まだまだ、救えるやつがいるはずだ」
ソラが「くぅん!」と力強く鳴いた。
小さな翼で、ほんの少しだけ風を起こして。
俺は笑った。
「よし、次は誰を赤ちゃんにしようか」
第7話 終わり。
(次回、魔王軍の先遣隊襲来──
赤ちゃん軍団、初の実戦デビュー!?)




