【第5話 不死鳥をひよこにした日】
ギルドに戻って数日後、俺たちのパーティは完全に街の名物になっていた。
朝起きて宿の食堂に行くと、
モミジが足元で「きゅう♪」、
ルビーが肩で「きゅるる♪」、
タコ丸が腕にぴたっとくっついて「ぷにゅ♪」。
リリアが苦笑いしながら朝食を運んでくる。
「ユウキさん、もう四人でテーブル占領してますよ……」
「増える一方だしな」
ギルドマスターがドカドカ入ってきて、掲示板に新しい紙を貼った。
【特級Sランク依頼:炎の谷の不死鳥討伐】
【報酬:金貨1000枚+王都からの特別感謝状】
【詳細:不死鳥フェニックスが転生を繰り返し、数万年の歳月を生きている。
暴走状態で谷全体が炎上中。早急な対処を求む】
周囲の冒険者たちがざわつく。
「不死鳥か……転生するから倒せねえんだよな」
「数万年生きてるって、マジで神話級だぜ」
「誰が行くんだよ、あんなの」
俺はリリアと目が合った。
「……行くしかないだろ」
「ユウキさん、無茶ですよ! 不死鳥は転生するたびに若返るんです。
スキルでさらに若返らせたら、どうなるか……」
どうなるか、ちょっと興味ある。
即座に受注して、炎の谷へ向かった。
谷に近づくだけで熱風が吹き荒れる。
空を覆う巨大な炎の鳥──不死鳥が、絶え間なく咆哮を上げている。
「フィーーーーーー!!!」
炎が渦を巻き、地面が溶け始めている。
推定年齢:少なくとも2万年。転生回数不明。
赤ちゃん軍団は熱が苦手らしく、俺のマントの中に隠れた。
リリアが盾を構える。
「ユウキさん、危なかったらすぐに逃げましょう!」
「わかってる」
不死鳥が急降下してくる。
炎の翼が俺たちを飲み込もうとした瞬間、
俺は右手を翳した。
「今日の一発。若返りの一撃──マイナス二万年!!」
青白い光が炎を貫き、不死鳥の巨体を包んだ。
次の瞬間、
不死鳥の姿がみるみる縮み、
羽が柔らかくなり、
炎が消え、
最終的に……手のひらサイズの、ふわふわのひよこになった。
「ぴよ……?」
ひよこ(元不死鳥)が地面にポテッと落ちて、
キョトンとした顔で俺を見上げた。
周囲の炎が一斉に消えていく。
谷全体が静かになった。
リリアが呆然と呟く。
「……転生する前に、完全に赤ちゃんに戻っちゃった」
俺はひよこを抱き上げた。
温かくて、軽い。
「名前は……『ピヨ』でいいか?」
「ぴよ♪」
ピヨが嬉しそうに鳴いた。
その直後、頭の中にメッセージ。
【スキルレベルアップ:レベル3】
【新機能解放:若返り対象の“潜在能力”を一部引き継ぎ可能】
【赤ちゃん状態でも、ピンチ時に一部の力を発動できるようになります】
おお、これはデカい。
帰り道、ピヨは俺の頭に乗って満足げに寝てる。
モミジ、ルビー、タコ丸が周りでじゃれ合ってる。
リリアが笑いながら言う。
「もう完全に保育園ですね」
「赤ちゃんパーティ、正式に四人目だ」
ギルドに戻ると、また大騒ぎだった。
「不死鳥がひよこだ!!」
「マジで神だろ、ユウキ!!」
「次はどんな伝説モンスターを赤ちゃんにするんだ!?」
ギルドマスターが頭を抱えながらも、笑顔で報酬を渡してきた。
「……お前、本当に世界を変えるかもしれんな」
俺は赤ちゃん軍団を見回した。
モミジ、ルビー、タコ丸、ピヨ。
みんな俺の周りで楽しそうに遊んでいる。
「まあ、変えるとしたら……可愛さで、だな」
赤ちゃんたちが一斉に「きゅう!」「きゅる!」「ぷにゅ!」「ぴよ♪」と鳴いた。
第5話 終わり。
(次回、王都から召喚状が届く──赤ちゃん軍団、ついに全国区へ!)




