【第3話 緊急会議と赤ちゃんドラゴンの予感】
控室で待機すること数時間。
俺は幼いトレント(名前、まだ決めてない)と一緒に、壁にもたれてぼんやりしていた。
「きゅう……?」
トレントが心配そうに俺の袖を引っ張る。
「大丈夫だよ。お前は悪くないからな」
俺が頭(葉っぱ部分)を撫でると、嬉しそうに「きゅい♪」って鳴いた。
ドアが開いて、リリアが入ってきた。
表情が明るい。
「ユウキさん! 決まりました!」
「どうなった?」
「スキルは公認! ただし、ギルドの監督下で使用すること。
そして……『赤ちゃんモンスター保護制度』が新設されます!」
俺、ポカンとした。
「赤ちゃん……保護制度?」
「はい! ユウキさんが若返らせたモンスターは、すべてギルドが保護・管理するんです。
危険がないか観察しつつ、場合によっては冒険者のパートナーとして貸与も可能。
もちろん、ユウキさんは優先権持ちです!」
リリアが目を輝かせて続ける。
「これで、ユウキさんのスキルは『慈悲の力』として認定されました!
長生きしすぎたモンスターを優しく若返らせる……なんて、素敵じゃないですか?」
確かに。
「ジジイ殺し」じゃなくて「慈悲の救済者」みたいなイメージなら、恐れられる心配はないな。
ギルドマスターが後ろから入ってきて、咳払いした。
「……まあ、俺も最初は反対だったがな。
だが、あの可愛さを見たら……くっ、仕方ねえ。保護するしかねえだろ」
完全に私情だろ、おっさん。
「それと、報酬だ。
古のトレントを若返らせた功績で、金貨100枚とランクアップ。
お前は今日からEランクだ」
「おお、ありがとうございます!」
ギルドマスターがトレントを見て、頰を緩める。
「……名前、決めたか?」
「いや、まだ」
「なら、俺が付けてやる。『モミジ』だ。葉っぱが紅葉みたいだからな」
「きゅう!」
トレント──モミジが喜んで飛び跳ねた。
いい名前だ。
それから、ギルドの外へ出ると、
野次馬たちが拍手で迎えてくれた。
「ユウキさん、すごい!」
「赤ちゃんトレント、超可愛い!」
「次はどんなモンスター若返らせるの!?」
完全に英雄扱い。
さっきまでの騒ぎが嘘みたいだ。
リリアが俺の隣で囁く。
「これで一安心ですね。
でも、スキルは一日一回だけだから、無茶はしないでくださいよ?」
「わかってるよ」
その時、ギルドの掲示板に新しい依頼が貼られた。
【緊急Sランク依頼:山岳地帯の暴れ竜退治】
【報酬:金貨500枚】
【詳細:古竜が村を脅かしている。長年生きすぎて凶暴化。討伐至急】
俺とリリア、顔を見合わせる。
「……これ、ぴったりじゃね?」
「ユウキさん……まさか」
俺はニヤリと笑った。
「行ってみようぜ。モミジも、一緒に」
「きゅい♪」
山岳地帯への道中、俺たちは馬車で移動した。
モミジは俺の膝で寝てる。平和だ。
到着すると、村人たちが怯えた顔で出迎えた。
「冒険者さん! あの竜、5000歳は超えてるんです!
もう誰も近づけない……」
5000歳か。
山頂に近づくと、
空を覆う巨大な影。
赤い鱗の古代竜が、咆哮を上げて飛んでくる。
「グオオオオオオオ!!!」
村人たちが逃げ惑う中、
俺は深呼吸して、右手を翳した。
「よし、今日の一発だ。
若返りの一撃──マイナス4500年!」
青白い光が竜を包む。
竜の巨体が、みるみる縮み始め、
鱗が鮮やかになり、
翼が小さくなり、
最終的に……手のひらサイズの赤ちゃんドラゴンになった。
「きゅるる……?」
赤ちゃんドラゴンが地面にポテッと落ちて、
俺の足元までトテトテ歩いてきて、
尻尾を振った。
村人たち、絶句。
「……え?」
「竜が……赤ちゃんに?」
「ユウキさん、何者!?」
俺は赤ちゃんドラゴンを抱き上げた。
ふわふわで、温かい。
「これで、脅威はなくなったよ」
モミジが「きゅう!」って挨拶して、
二匹がじゃれ合い始めた。
リリアが呆然と呟く。
「……また仲間が増えた」
俺は笑った。
「これから、どんどん増えるかもな」
第3話 終わり。
(次回、赤ちゃん軍団結成の始まり!?)




