【第2話 ギルドに赤ちゃんトレントを連れて帰ったら大炎上した】
俺は小さなトレントを抱っこしながら、街の門をくぐった。
「きゅう……きゅう♪」
幼いトレントは俺の胸にぴったりくっついて、葉っぱの髪を揺らしている。
めちゃくちゃ可愛い。癒ししかない。
門番のおっさんたちが俺を見て固まった。
「……おい、あれ古のトレントの領域から出てきた奴じゃねえか」
「しかも……トレント抱いてる?」
「赤ちゃん……?」
完全にバレてる。
ギルドに着いた瞬間、入り口が静まり返った。
冒険者たちが一斉に俺を見る。
「あいつ……Fランクのユウキだよな」
「手に持ってるの……まさかトレント?」
「いや、でもあれ、幼木のトレントだろ……? どう考えてもおかしい」
俺はカウンターに直行した。
リリアが俺を見て、
「ゆ、ユウキさん……その子連れて来ちゃったんですか……?」
「うん。』
「…連れて来ちゃダメですよ!?どうするんですか?』
周囲がざわつく。
「Sランクトレントを倒したのか?』
「しかも赤ちゃんサイズ?」
「どういうことだよ!?」
俺は平静を装って言った。
「俺のスキルで若返らせた」
会場が凍りついた。
3秒後、
「「「「えええええええええええええええ!!!?」」」」
大爆発。
「若返らせたって……マイナス三千年とか!?」
「そんなバカな!」
「証拠見せろ!」
「ギルドマスター呼べ!!」
騒ぎが収まらないうちに、奥からドカドカと足音。
ギルドマスター(筋肉ムキムキのドワーフおじさん)が現れた。
「……お前がユウキか。トレントを若返らせたのは本当か?」
「本当です」
俺はトレントをそっと床に下ろした。
幼いトレントはトテトテとギルドマスターの足元まで歩いて行き、
「きゅー!」
と小さな腕を伸ばして抱きついた。
ギルドマスターの顔が、みるみる赤くなった。
「……くっ、可愛い……いや、そうじゃない!」
トレントはSランク指定だぞ!?」
「でも今は427歳の子どもです」
「427歳でもトレントはトレントだ! 危険……くそ、可愛い……」
完全に葛藤してる。
リリアが慌てて仲裁に入る。
「で、でも! ユウキさんのスキルはモンスター限定で、人間には一切影響ありません! 危険性はゼロです!」
「しかし……こんな力があれば、モンスターを全部赤ちゃんにできるってことじゃねえか!」
「理論上は……はい」
再び大騒ぎ。
最終的に、ギルドマスターが頭を抱えて決断した。
「……とりあえず、緊急会議だ。ユウキ、お前とそのトレントは控室で待機しろ」
「はい」
控室に連れていかれると、幼いトレントが俺の膝に乗ってきて、
「きゅう♪」って甘えてきた。
俺はもう完全にデレていた。
(これ……最強の癒しじゃん……)
すると、ドアがノックされて、リリアが入ってきた。
「ユウキさん……大変なことになってます」
「やっぱりな…』
「上層部が三派に分かれてるんです」
「三派?」
リリアが指を折りながら説明した。
1. 「危険すぎるから即拘束・スキル封印派」
2. 「こんな便利な能力、国が独占すべき派」
3. 「……モンスターが可愛すぎるから保護して育てたい派」
……3番目、完全に私情じゃねえか。
俺はため息をついた。
「で、結論は?」
「まだ決まってません。でも……」
リリアが小声で続けた。
「私、3番目に入れました」
俺と目が合って、二人して吹き出した。
その時、控室の窓から外が見えた。
ギルドの前に、すでに野次馬と記者(?)みたいな人たちが群がってる。
『……噂広まるの早いな〜』
俺は幼いトレントを抱きしめながら呟いた。
「これから、めっちゃ面倒くさくなりそうだな」
トレントが「きゅい♪」って嬉しそうに頷いた。
第2話 終わり。
(次回、ギルド緊急会議の結果と、
「赤ちゃんトレント保護運動」の爆誕)




