【第15話 天空の巨鳥と、空の新仲間】
東方の深海を後にして、さらに数週間後。
俺たちの馬車は西方の険しい山脈に到着した。
ここは雲海に覆われた高峰の連なり。
天空の巨鳥──推定年齢4万年を超える、空を統べる伝説の存在。
その巣は、山頂の絶壁にあるという。
登山用の魔法ロープと翼のブーツを借り、俺たちは登攀を開始した。
風が強く吹き荒れ、雲が視界を遮る。
赤ちゃん軍団はみんな協力して進む。
クロノが闇の足場を作り、
ソラが風を操ってみんなを浮かせ、
ヒョウが氷の橋を架け、
サラが砂の粒子で足場を固め、
カイが泡のバリアで風を防ぎ、
ピヨが炎で道を照らし、
タコ丸が触手でみんなを繋ぎ、
ルビーが小さな火で暖を取らせ、
クロが敏捷に先導し、
シャドウが影で隠れ場所を、
モミジが枝を伸ばして支えとして。
「ユウキ……あの上だ」
クロノが指差した先。
絶壁の頂に、巨大な巣が広がっている。
その中に、金色の羽に覆われた巨鳥が翼を畳んで横たわっている。
【天空の巨鳥 年齢:推定4万2千年】
巨鳥の目がゆっくり開き、風のような声が響いた。
「地上の者ども……何用か。
この身は、もう空を飛ぶ力もない。
ただ、風に還るのを待つのみだ。
去れ……」
声は高く、寂しげだ。
長すぎる生に、空の自由さえ失ったようだ。
俺は絶壁の縁に立ち、右手を翳した。
スキルレベル8の新機能──範囲操作を使って、周囲の小さな鳥の群れも一緒に若返らせてみようかと思ったが、
まずは主役から。
「救いに来た。
若返りの一撃──マイナス四万二年!!」
青白い光が山頂を照らし、風が渦を巻く。
巨鳥の羽が輝きを取り戻し、
体が急速に縮小し、
最終的に……
手のひらサイズの、金色の小さな雛鳥になった。
「ぴぃ……?」
小さな巨鳥がキョトンとして、俺の手に飛び乗ってきた。
羽はふわふわで、触ると柔らかい。
みんなが一斉に飛んできて(浮かんで)集まる。
モミジが枝で優しく包み、
ルビーが小さな炎で暖を、
タコ丸が触手で抱き上げ、
ピヨが炎の輪で一緒に飛ぶマネをし、
ソラが風で浮かせて遊ばせ、
クロが尻尾を振ってじゃれ、
シャドウが闇で影を作って休憩所を、
ヒョウが氷の息で涼しくし、
サラが砂の粒子で遊び場を、
カイが泡で浮遊のゲームを、
クロノがそっと手を差し伸べて「ようこそ」と伝える。
小さな巨鳥が、ゆっくりとみんなに溶け込んでいく。
「ぴぃ……ありがとう……」
俺は小さな巨鳥を抱き上げて言った。
「名前は『テン』でいいか?
天空のテン……ぴったりだろ」
「ぴぃ♪」
テンが嬉しそうに羽をパタパタさせた。
その瞬間、頭の中にメッセージ。
【スキルレベルアップ:レベル9】
【新機能解放:永続効果付与(若返り対象に、任意の年齢で固定可能)】
これで、仲間たちを好きな年齢でキープできる。
赤ちゃんのままでいたいやつは、そのまま可愛く保てるようになった。
リリアが息を切らしながら笑った。
「これで十二人目……赤ちゃん軍団、ついに一ダースですね」
俺はみんなを見回した。
モミジ、ルビー、タコ丸、ピヨ、ソラ、クロ、シャドウ、ヒョウ、クロノ、サラ、カイ、そして新入りテン。
十二匹の小さな仲間たちが、山頂で輪になってじゃれ合ってる。
クロノが静かに言った。
「これで世界の四方位の古き者たちはすべて救った。
次は……どこへ行く?」
俺は地図を思い浮かべた。
まだ、秘境や忘れられた土地に、隠れた存在がいるはずだ。
「そうだな。
中央大陸の禁断の森とか、
あるいは……異界の門の向こう側か。
救えるやつが、きっとまだいる」
山頂の風が優しく吹く中、
俺たちは下山した。
テンが俺の肩に乗って、羽を広げてみんなを少しだけ浮上させてくれる。
ソラと相まって、空の移動が楽しくなる。
旅は続く。
赤ちゃん軍団の冒険は、ますます広がっていく。
だが、雲の向こうに、
新たな光がちらりと見えた気がした。
──それは、さらなる古き者たちの気配か、それとも……新しい始まりか。
俺はみんなに微笑んだ。
「よし、次は禁断の森だ。
みんな、準備はいいか?」
十二匹が一斉に鳴いた。
「きゅう!」「きゅる!」「ぷにゅ!」「ぴよ!」「くぅん!」「くぅん!」「くぅん!」「きゅう♪」「くぅん!」「すう♪」「ぶく♪」「ぴぃ♪」
十二つの声が、山脈に温かな響きを広げた。
第15話 終わり。
(次回、禁断の森の謎──
赤ちゃん軍団、未知の存在と出会う!?)




