【第13話 灼熱の砂漠と、砂の守護精霊】
北方の氷原を後にして、数日後。
俺たちの馬車は南方の砂漠地帯に到着した。
灼熱の太陽が照りつけ、砂嵐が視界を遮る。
地図によると、この砂漠の中心に「砂の守護精霊」が眠っているはずだ。
推定年齢は2万年を超える、砂漠を創り出した古き存在。
今はただの巨大な砂の山として、動かなくなっているらしい。
馬車を止めて、砂漠の奥へ進む。
赤ちゃん軍団は熱さに弱いので、クロノが闇の影でみんなを覆って守っている。
「ユウキ……あそこだ」
クロノが指差した先。
巨大な砂の山が、ゆっくりと息をしているように見える。
【砂の守護精霊 年齢:推定2万3千年】
砂の山が震え、砂粒が集まって人型のような姿を形成した。
「人間……なぜ来た。
この身は、もう砂に還ろうとしている。
邪魔をするな」
声は乾いた風のように弱々しい。
長すぎる生に、疲れ果てているのがわかる。
俺は一歩近づき、右手を翳した。
「邪魔じゃない。
救いに来たんだ。
若返りの一撃──マイナス二万三年!!」
青白い光が砂漠を照らし、
砂の守護精霊の体が急速に変化を始める。
砂粒が輝きを取り戻し、
体が小さくなり、
最終的に……
手のひらサイズの、砂色の小さな精霊になった。
「すう……?」
小さな精霊がキョトンとして、俺の手に乗ってきた。
体は柔らかい砂でできていて、触るとサラサラする。
みんなが一斉に駆け寄る。
モミジが枝で優しく包み、
ルビーが小さな炎で暖を(砂漠なのに熱いけど)、
タコ丸が触手で抱き上げ、
ピヨが炎の輪で遊ばせ、
ソラが風で砂を舞わせて遊びに変え、
クロが尻尾を振ってじゃれ、
シャドウが闇で影を作って休憩所を、
ヒョウが氷の息で冷やして快適にし、
クロノがそっと手を添えて「ようこそ」と囁く。
小さな精霊が、ゆっくりとみんなに溶け込んでいく。
「すう……ありがとう……」
俺は小さな精霊を抱き上げて言った。
「名前は『サラ』でいいか?
砂のサラ……ぴったりだろ」
「すう♪」
サラが嬉しそうに砂を少しだけ舞わせた。
その瞬間、頭の中にメッセージ。
【スキルレベルアップ:レベル7】
【新機能解放:老化機能の強化(対象を意図的に老化させて一時的にパワーアップ可能)】
老化の機能が強化された。
今までは若返りメインだったけど、これで戦闘時に「ちょっと老化させて強くなる」みたいな使い方ができる。
リリアが汗を拭きながら笑った。
「これで十人目……赤ちゃん軍団、どんどん大所帯になってきましたね」
俺はみんなを見回した。
モミジ、ルビー、タコ丸、ピヨ、ソラ、クロ、シャドウ、ヒョウ、クロノ、そして新入りサラ。
十匹の小さな仲間たちが、砂漠で輪になってじゃれ合ってる。
クロノが静かに言った。
「次は東方の深海か。
あそこは俺も行ったことがない。
楽しみだな」
俺は頷いた。
「そうだな。
まだ、世界は広い。
救えるやつが、きっとたくさんいる」
砂嵐が止み、太陽が優しく照らす中、
俺たちは馬車に戻った。
サラが俺の肩に乗って、砂を少しだけ操ってみんなを涼しくしてくれる。
ヒョウの氷の息と相まって、馬車の中は快適だ。
旅は続く。
赤ちゃん軍団の冒険は、まだ始まったばかり。
だが、遠くの空に、
新たな影がちらりと見えた気がした。
──それは、残された古き者たちの気配か。
俺はみんなに微笑んだ。
「よし、次は海だ。
みんな、準備はいいか?」
十匹が一斉に鳴いた。
「きゅう!」「きゅる!」「ぷにゅ!」「ぴよ!」「くぅん!」「くぅん!」「くぅん!」「きゅう♪」「くぅん!」「すう♪」
十つの声が、砂漠に温かな響きを広げた。
第13話 終わり。
(次回、深海の古王との対面──
赤ちゃん軍団、海底大冒険!?)




