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「老化/若返りの一撃しか持ってないけど、モンスター限定で仲間がどんどん増えます」  作者: nekorovin2501


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第12話 新たな旅立ちと、世界に散らばる古き者たち

魔王──いや、クロノが仲間になった翌朝、王都の屋敷は異様な静けさに包まれていた。

魔王軍の崩壊は一夜にして世界に知れ渡った。

黒い霧が消え、闇に染まっていた地域の空が青く戻り、

各地で「魔王が消えた」という噂が瞬く間に広がった。

王宮からは感謝状と金貨の山が届き、

冒険者ギルドは「ユウキの赤ちゃんパーティ」を公式に「世界平和貢献者」として認定した。

だが、俺たちはそんな栄誉に浸っている暇はなかった。

庭に集まった八匹の仲間たちを見ながら、俺は静かに言った。

「これで魔王軍の脅威はなくなった。

でも、世界にはまだ、長く生きすぎて苦しんでるやつらがたくさんいるはずだ。

俺たちは……それを救いに行く」

クロノが少年の姿で頷いた。

黒髪が風に揺れ、赤い瞳が穏やかに輝いている。

「俺も……一緒にいく。

数万年、ただ破壊しか知らなかった俺に、

お前は『生きる意味』を教えてくれた。

だから、今度は俺が、お前たちを守る」

モミジが枝を優しく伸ばしてクロノの肩に触れ、

ルビーが小さな炎をぷすぷすと灯して歓迎のサインを送る。

タコ丸は触手を伸ばしてクロノの指に絡みつき、

ピヨは頭上で小さな炎の輪を描いて喜びを表現し、

ソラは風を起こしてみんなの髪を優しく撫で、

クロは尻尾を振ってクロノの足元にすり寄り、

シャドウは闇の鱗を少しだけ光らせて「仲間だ」と示した。

全員が、静かに、しかし強く同意している。

リリアが地図を広げて言った。

「王都の図書館で調べたんですけど……

世界の各地に、まだ『古き守護者』と呼ばれる存在がいるみたいです。

彼らは魔王軍とは関係なく、数千年~数万年生き続けて、

孤独と疲労で動けなくなってるんです」

俺は地図を覗き込んだ。

北方の氷原に眠る「永遠の氷竜」、

南方の砂漠に埋もれた「砂の守護精霊」、

東方の深海に沈む「海底の古王」、

西方の山脈に佇む「天空の巨鳥」……。

どれも伝説級の存在。

どれも、長すぎる生に疲れ果てている。

「よし、まずは一番近いところからだ。

北方の氷原へ行こう。

永遠の氷竜……あいつを、救う」

その日の午後、俺たちは王都を出発した。

王女様が涙目で見送りに来て、

「絶対に無事で帰ってきてくださいね!」と抱きついてきた。

王様は「王国はいつでも味方だ」と約束してくれた。

旅の馬車は、ギルドが特別に用意した大型のもの。

中は赤ちゃん軍団専用のクッションだらけで、

みんながじゃれ合って遊べるようになっている。

道中、クロノが静かに話しかけてきた。

「ユウキ……お前は、なぜこんなに優しいんだ?

俺は……お前を殺そうとした側だったのに」

俺は笑って答えた。

「最初は、ただのゴミスキルだと思ってた。

でも、モミジを若返らせた瞬間、

『生きすぎて苦しんでるやつを、楽にしてあげられる』って気づいたんだ。

それが、俺の生きる意味になった」

クロノは少しの間黙ってから、

「俺も……そうなりたい」

と呟いた。

数日後、北方の氷原に到着した。

吹雪が荒れ狂う中、巨大な氷の洞窟が見えた。

その奥に、青白い鱗に覆われた巨竜が横たわっている。

【永遠の氷竜 年齢:推定1万2千年】

巨竜は目を開け、俺たちを睨んだ。

「人間……何用だ。

この身は、もう動けぬ。

去れ」

声は低く、疲れ果てている。

俺は一歩前に出て、右手を翳した。

「俺は、救いに来た。

若返りの一撃──マイナス一万二年!!」

青白い光が洞窟を満たし、

氷竜の巨体がゆっくりと縮んでいく。

鱗が輝きを取り戻し、

体が若返り、

最終的に……

子犬くらいのサイズの、青い子竜になった。

「きゅう……?」

子竜がキョトンとして、俺の足元に寄ってきた。

みんなが一斉に駆け寄る。

モミジが枝で優しく包み、

ルビーが暖を取らせ、

タコ丸が触手で抱き上げ、

ピヨが炎で温め、

ソラが風で浮かせ、

クロが尻尾を振ってじゃれ、

シャドウが闇で守り、

クロノがそっと手を差し伸べた。

子竜が、ゆっくりとクロノの手の上に乗る。

「きゅう……ありがとう……」

俺は子竜を抱き上げて言った。

「名前は『ヒョウ』でいいか?

氷のヒョウ……似合うだろ」

「きゅう♪」

ヒョウが嬉しそうに鳴いた。

頭の中にメッセージが響く。

【スキルレベルアップ:レベル6】

【新機能解放:複数同時操作(一日一回に限り、2体まで同時若返り可能)】

俺はみんなを見回した。

「これで九人目。

次は砂漠だ。

まだ、まだ救えるやつがいる」

吹雪の中、九匹の赤ちゃんたちが俺の周りに集まる。

小さな体で、大きな世界を変えようとしている。

クロノが微笑んだ。

「ユウキ……俺たちは、もう家族だな」

俺は頷いた。

「ああ。

これからも、ずっと一緒に」

赤ちゃん軍団が一斉に鳴いた。

「きゅう!」「きゅる!」「ぷにゅ!」「ぴよ!」「くぅん!」「くぅん!」「くぅん!」「きゅう♪」「くぅん!」

九つの声が、氷原に温かな響きを広げた。

旅は、まだ始まったばかりだ。

第12話 終わり。

(次回、灼熱の砂漠へ──

 砂の守護精霊との出会いと、新たな仲間誕生!?)

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