第九十八話 三日目朝/ お酒で全てを丸く納めるなんて不可能だ!
遠目に天板に映るエリスは一際大きく煌びやかで豪華な司祭の衣装。
背中のマントを揺らしながら威風堂々と花道を歩いている。
そんな中、エリスの背後で脅威が発生。
ボク達の結婚式を妨害しようと教会の主である牧師の乱入!
ユーフォーをおもわせる大きな円盤のような形の帽子を被り、教卓の立つ。
鍵盤の上を煌めくように尾を引くブルードロップの線が崩れる。
牧師の乱入に続き、結婚式を阻止しようとする牧師の脅迫にリズムを崩されたのだ。
ボク達の結婚式は中断させる事なんてできない!
衣装を着替える事でパァッと華やいだマリオン、それに思わず笑みを浮かべてカッコつけるテリー。
この世界では色がない事務的な結婚式だと……。
だけどそれが変わり華やかな結婚式にかわろうとしてるのだ。
二人の親からも頭を下げられ、『お願いします!』
と……。
その期待に応えなければならない!
だからエリスのためもあるけど、新郎新婦とその親のためにも中断は許されない。
端から聞いてリズムが崩されているけどまだ誤魔化せられるレベル。
だけどこれ以上は完全に崩壊してしまう!
全く手が離せない状況!
どうしたらいい?
「その指をメアリーに頼んでへし折ってもらおうかのう?」
牧師らしからぬセリフ!
まるで亡霊団の残党、あるいは黒幕……。
「ヌフフフフフフ」
怪しい笑みを浮かべ懐から怪しげな木箱をとりだす。
天板にうつるエリスが毅然とした態度で杖を片手に正面を向く。
そして、自分のおしりを叩くように一回二回……。
悲愴の第一楽章がタイミングよく終わり、エリスのハンドサイン。
エリスの正面、教会の扉が開いてしまう!
この瞬間に運命の演奏をはじめなければならない。
バタンッ! と椅子から引きずり落とされ床に膝をつかされる!
「イギギギギッ!」
ボクの手が関節をキメられるかのようにねじられ牧師の手に掴まれる。
「異世界の風習、酒で取り引きなぞと、なんて煩悩よ! あの娘はドンだけ頭がイカレてるんじゃ!」、と、牧師。
確かに日本には酒を飲んで楽しくワイワイしてお互いに許しあったりする風習がある。
「あんな風習で神やメアリー、ワシら崇高な物に取り入ろうなんて頭がおかしい!」
もちろん、無理難題を押し通したり、裏取り引きをするために酒の力を借りるという話は有名だ。
「エリスが、酒で取り引きしたってことか?」
どうやら、エリスは酒で参列者を買収したということだ。
あの時の、『困った時はヌードルで解決』 はこの事だったのかと納得。




