第九十三話 三日目昼/カミラによる天然癒し系による奇跡!
「お父様! どうして!?」
悲劇のヒロインのように叫ぶマリオン!
「俺たちの結婚に賛成してくれたんじゃないのかよ!」
目に涙を浮かべて激昂する新郎テリー。
「二人の門出を邪魔する不届き者よ! 正当な理由はあるのかね?」
冷静な佇まいで胸元まで垂らした白いヒゲを撫でながら神父。
火に油が注がれ、消すことの出来ないほど燃え上がる炎。
「どういうことだね? マリオンの父、バルカン!」
参列者の中を掻き分けてテリーの前に立つ父親。
「キャー! 拳と拳がぶつかる熱い展開~!」
集団が何らかのパニック状態に陥ると、それは膨れ上がり収集のつかない状態に陥る。
ヤバい…………。
ハッキリいってこの状態はやばい!
娘さんへの演奏どころか結婚婚式すら破談になってしまう勢いだ!
ダッダーン!」
ヒヒーンと一際大きく嘶くほーちゃん。
前脚をあげて後ろ二本脚で興奮するかのように立ち上がる。
カミラだ!
ほーちゃんの胴体に沿うように脚で挟み、バランスを取りながら危険な状態!
ほーちゃんにまでパニックが伝染したのか?
だとしたらかなりヤバい状況!
ベルチェもほーちゃんとカミラの動きに一瞥。
カミラがバランスを崩して落ちても大丈夫なようにほーちゃんの背後へ!
一瞥したカミラの視線が背後にまわったボクと合わさる。
…………。
大丈夫だ……。 そんなメッセージの籠った視線。
そのままほーちゃんが前脚を完璧に着地させるとぶるるふ!と鼻を鳴らす。
そしてカミラが今度は「ダダダダーン!」 と叫ぶ。
カミラが、このパニック状態をほっこりさせようとやったのかと思った。
だけど違う! その二つのプレーだけで十分!
ベルチェの視線に気付いて親指をたてて返す。
ダダダダ! とその場を離脱。
ーーバーンーー
と不用心にも戸締まりをしていない教会に侵入!
薄暗くて神秘的。
どこか静謐な空気が漂う、これ以上のことに思わず罪悪感を感じてしまう。
だけど今はそんな一時の感情に囚われてる場合じゃない!
ユラユラと揺れる燭台の灯り。
定番の教会の作りで助かった。




