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第九十二話  朝/燃え上がる炎




 

断崖絶壁の向こうに広がる壮大な景色と澄み渡る青空の間、見晴らしのいい山間部の小さな教会。


 その庭に立つ巨大な一本の御神木を後ろに 


「では、二人が結婚し、結ばれる事に異議があるものは……。」


厳粛な空気もそのままに沈黙が支配する厳正な空気。




マリオンとその新郎の結婚式もこのまま順調にいけば終わってしまう。


 まさに結婚式のクライマックス!


 ……。


 その時だ!


 「では、新郎テリーと新婦マリオン! 誓いのハムハムを……!」


 マリオンとテリーが神父と参列者にみつめられながらの口づけ。


 そしてこれが終れば二人の結婚式が終ってしまう!


……ッ!!


  ちょっと待って! 今、神父が『誓いのハムハム』 をとか言わなかったたか?!

 

誓いのキスではなくて、誓いのハムハム……。


 ボクの頭の中でチクチクと、つい最近あったことを思い出す。


 領主館の真下の空洞でボクはえエリスとハムハムした。

 

 エリスの赤い瞳の見詰められて、ボクの唇を奪うかのようにハムハムと……。



 ぼくもそれにならって、無意識的にエリスの唇のハムハムした!

 

 「ハムッ……!」

 

 エリスにハムハムについて聞こうと思った。


  だけど、「ハムッ! といいかけてエリスはぼくにニヒッと笑みを浮かべてすぐに踵を返す!


 それが、ボクの聞きたいことに関する笑みなのか? 


 それとも、結婚式をのっとることに関しての不適な笑みなのかわからない……。



 だけど事態はそんなボクの疑問をおいてきぼりのして進んでいく。


 「ちょっとまった~!」


 と 大声を張り上げて結婚式に乗り込む!


 本来なら愛し合う新郎と新婦が結ばれることに反対して飛び込むのがこのセリフの真の意味。

 

 開放的でありながらも、和やかな青天上、そしてどこか神聖な空気と緊張感の漂う参列者。


 神聖な儀式に飛び込むエリスを筆頭に四人(おじさんを含む。) と一頭。

 

 結婚式の中心である新郎新婦が目をかっぴらき、「なっ……!」と驚きを隠せない新郎の一言。


 そして、それと同時に「なにごとですかぁ!?」 と新婦が叫ぶ!


 そして、この誓いの儀式を執り行う長い顎髭を胸元まで垂らした神父。


 独特の威圧感を醸し出し怒りをあらわに、 神父の厳めしい目付きと表情で、無言の圧力!



 動揺する参列者の「なんだ? なんだ?」 と、ボク達闖入者に不審の目を向ける参列者。


「テリーとマリオンの結婚に反対ですってぇ~熱い展開だわぁ~!」 と物珍しぃ状況を楽しむ声。

 

 神聖で厳粛な空気に満たされたそこだけの空間が一瞬にして燃え上がり熱を帯びる。


 

 「安心しろ! 二人の結婚を引き裂くのではない!」


 と、エリスの熱の籠った第一声。


「なんだてめえ!、テリーとマリオンの結婚を邪魔するのか?」

 

 「きゃ~! 二人の結婚に反対ですってぇ~!」


「なんだねキミ達は!」


 エリスの第一声で静まるワケがない。

 

 むしろ、燃え上がるように熱を帯びる。


 

 渦中の中心で僕達は囲まれた!

  




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