第七十四話☆ 二日目夜/ どこかでみたことのあるあのダメ女と重なるエリス
今となってはエリスのおしっこネタに関してはネタでしかないと思ってるから大丈夫だ。
チャプチャプと川袋の中で揺れる飲み水をゴクリと一口。
「変な夢は全くホントにな、夢なんてものはいつもメチャクチャだからな!」
ボクを心配するように不安気な表情でボクを見つめるエリス。
夢の内容を思いだしながら乾いた口を湿らすようにゴクゴクと喉を鳴らす。
チャプンッと揺れる水袋をおもわず見つめるとそれを回収するエリスの手。
泉を挟んだ向こうの陸地で消えかけている焚き火の残骸がプスプスと音をたてている。
「なんならヌードルでもやるか?」
エリスは一本の色付きの瓶とコップまで出してくる。
「ヌードル?」
カップヌードルならわかるけど色付きの瓶に入った飲み物がなんなのか全くわからない。
「そうだな、こっちの世界ではビン……。 ビンというのは通貨といえばわかるよな?」
と、エリスは説明しながらも取り出した瓶の蓋をスポンッとあけると用意した二つのカップに注ぎながら説明してくる。
「通貨と言えば日本では円。海外ではドルとかペソとかイロイロ」
「もちろん、そのくらい知ってるぞ。 一円玉から始まり五円玉、十円玉、五十円玉とあるんだろう?」
さすがエリス、日本の通貨事情はバッチリだ!
「ふふん!」
エリスは得意気にドヤ顔を決決める。
「ホレ飲んでみろ!」、そういいながらチャプンと揺れるカップを渡されてチビリと一口。
口にした瞬間にピリッと舌先に感じる苦味、そして直ぐに口の中に広がる複雑な味わい!
エリスが説明しながらキラキラと輝く期待の眼差しに思わずゴクリと飲み込む。
この展開はおしっこネタ?
だけど、飲んだ事のあるむせるような感触にもしやと思いながら、「これはお酒?」
「冒険者だけじゃないこの世界、どこへ行ってもこのヌードルは必需品でな、一言でいえば酒だ!」
と、ニヤニヤしながらエリスはもう一方の自分のカップに口をつけてチビる。
「ダメです~! お酒は未成年が飲んではいけません!」
おしっこではなくお酒。やっぱりお酒だった。
これならまだおしっこの方が良かったなんて言えない。
エリスが笑みを浮かべてお酒を飲もうとしてるのには悪いけど、バシャッ! 受け取ったカップを逆さにする。
「ナニをするリュウ!」
エリスは激昂する!
「ヌードルはな! ビンよりも貴重で困った時にはヌードルで解決が基本だ! それにわたしはもう大人だ!」
とまくしたてる。
「リュウ……。 エリス、どうしたんだ」
ムニャムニャと眠そうな目を擦りながら毛布を剥いで起き出すベルチェ。
「リュウがヌードルを飲んだらダメだって!」
エリスがベルチェに泣きつく。
「子供はお酒を飲んじゃダメだってぇ~!」
間髪いれずに追加の告げ口。
まるでどっかのなにかで見たあのダメ女の面影と重なるのは気のせい?
「リュウはこの世界についてまだまだ知らないことが多いからな、続きは明日にしよう」
それだけ言うとベルチェは毛布をかぶって夢の世界へ戻る。
「明日キチンと説明するからな! 覚悟しろッ!」
と、カップに注がれた残りのヌードルをグビッグビッ! と一口で煽りボクに宣戦布告。
バサリと、毛布を被り現実世界に踵を返す。
「ヤバ! エリスに嫌われちゃったかな?」




