第六十九話 二日目夜/流れ星へのねがいごと
慌ててボクとエリスを追いかけてきたらしい、ベルチェとカミラ。
ゆ っくりと歩いていたので直ぐに追い付く事ができたのだろう。
「うん?! どうしたベルチェ?」
エリスに手を捕まれながら立ち止まり振り向く。
「おまえらはこの辺なにもしらないだろ? だったら、良いところに案内してやるよ!」
ベルチェは自信満々にニヒッと白い歯をだして笑みを浮かべる。
「あっ! おかあさん、あそこいくんだね?」
カミラは、オススメポイントがあると言う母親の行先を既に知っているかのようだ。
「ほーちゃんも一緒のほうがいいからな、ちょっと待ってろ」
と、カミラと共にほーちゃんを連れに馬小屋へと戻る。
デートというのは基本的に二人だけでいくワクワクとドキドキとゾクゾクのイベント。
それに待ったをかけられて、一緒に行こうとする母娘にエリスはどう思っているのか?
「デートも二人きりよりも仲間でデートした方が楽しいだろう?」
と、エリスの恋愛観というか恋人として付き合うことを全く知らないような発言。
だけど一方で、もしかしたらこれがこの世界での風習や文化なのかもしれない……。
「ん? 向こうでもダブルデートとかあるんだろ?」
異世界ミーハーなエリスのいう通り。
ダブルデートは普通にある。
恋人以外の人とデートもあるし、男1人に対して数人の異性、もしくはその逆という事もある。
「そういうことだ」、とエリスはまるでぼくの心を読むかのように返してくる。
今さらだけどエリスは人の心をよめるのか?
「なにをいっている? それはリュウもだろ」
と、どうやらエリスは人の心が読めるらしい。
そんなやり取りをしていると…………。
パッカパッカパッカパッカとほーちゃんの蹄の音とともにカミラがほーちゃんの背中にのり、手綱を引くベルチェ。
「おかあさんとバーダックに来る時はいつも夜営するんだよ~! 他の商人や町の人も知らない秘密の場所~」
ほーちゃんの背中の上でご機嫌な様子でわーい! と説明。
そしてそれを引き継ぐベルチェが、「あの森の中なんだけどな? 運が良ければ渡り鳥のレグルスが羽根を休めてるはずだ。
と、ボクとエリスを秘密の場所に案内するらしい。
ほーちゃんの蹄がパッカパッカと楽しいおしゃべりをしていると、目の前に広がる薄暗い景色が白黒に瞬く。
「あっ流れ星だ~! おかあさ~ん!」
と、かミラがほーちゃんの上で空を見上げはしゃぐ。
「どこ? ドコドコ?」 エリスが立ち止まり空を見上げて流れ星を捜す。
「流れ星に願い事をすると叶うんだろ! リュウの世界もそうだろ?」
エリスが目をキラキラさせていたけど、「もう消えちゃったよ~」
とカミラ。
ガックリと肩を落としボクの手を引く。
「カミラ、ちゃんと掴まってないと落ちるわよ!」 と優しく注意するベルチェ。
「ウン! だからカミラ、おかあさんとずっと一緒にいられますように! ってお願いした~!」
カミラの純粋な願いにチクチクと刺さる胸の痛み。
ボクが知るエリスならきっと考えてくれるだろう……。
奴隷としてボクを拉致誘拐したベルチェに下した処分をさらに考えてくれるだろう。
ぼくを掴むエリスの手にわずかな力の変化……。




