第六十一話 二日目/夜 メインディッシュのデザートはカレーの後
「リュウ~! エリス! カミラ~! 飯まだだったよなぁ!?」
メシ……。 そういえば人力車ギルドの出張所で軽く焼き肉しただけなのを思い出す。
後片付けはベルチェの申し出に任せて炊事場を任せていた。
随分時間がかかったと思ったら夕飯を作っていたらしい。
エリスとカミラが仲良く歩いている背中を見送り、入れ違いにアイスの状態を確認する。
ーーモミモミーー
冷たくて柔らかい感触。
氷水を使って温度管理した効果で順調に固まってきている。
生活の必需品とされる賢者の石も使わせてもらつてるから間違いないハズだ!
「お兄ちゃ~んおかあさんがご飯作ってくれたよ~!」
カミラが叫ぶ!
「リュウ! アイスはまだか!?」
どうやら、鼻がきくエリスはボクの後を追ってきていたようだ。
「ご飯食べたあとが頃合いかもね」
と、その言葉にエリス、「食後のデザートだな?!」 パァァと目を輝かせると、ボクの手を掴んで引っ張る。
ベルチェが腕によりをかけて作ったらしい料理の数々、しかも濃厚なスパイスの香りが漂うテーブルの上。
キャンプ場の定番といえばカレーだ!
「やはり異世界人の知識は素晴らしいものだ!」
白いご飯はないものの、パンとスープカレー。
しかも異世界の文化が融合したと思われる、大きな肉の塊と二つに切ったホクホクのジャガイモ。
「おかあさんが作るカレーは凄いんだよ~!」
と、木製のスプーンを握りよだれを垂らしているカミラ。
「確かに、異世界人のカレーは格別だったな。 再現するのにミチルが凄く苦労したものだ」
ふむ、知識や技術が持ち込まれても原材料が違えば全くの別物になるのは自明。
「全く、転移者共が持ってきたカレーは辛すぎて食べれなかったけど、ベルチェのカレーはどうだろうか?」
どうやら、この世界に激辛マニアが持ってきたカレーと、普通に食べれるカレーが持ち込まれたらしい。
そして、エリスはミチルにカレーを作らせたらしい。
「なんだこれは!」
エリスがスプーンで救ったスープを一口……。
顔色が一瞬で強ばる。
いったいなにがあったのか?
ボク自身カレーを一から作ったことはないけど、野菜を煮込んで甘味をだしてカレールーを溶かして作るのはよくある。
メーカーによって味は微妙に違うけど、おおまかに甘口と中辛、辛口の三種類。
カレーといえば、動画配信サイトで辛口の大食いが大人気だけど……。
それはなんか違うと思うのはぼくだけだろうか?
味わうことなく流し込むように胃袋へいれるだけの行為はカレーに対しての冒涜。
コトリ……。
ボクはおもわすスプーンを落としてしまう。
「リュウ?!」 ベルチェが目を見開きボクを見つめる。
「お兄ちゃん?」
カミラが首をカクンと倒しキョトンとボクを見詰める。
その一方で、エリスもまたスープを口に含みコトリとスプーンを落とす。
「エリス様!?」 ボクへの反応よりもオーバーな表情でベルチェが立ち上がる。




