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第四十三話★ 二日目/三文芝居再び! ボクは悪役? お代官様と呼ばれるエリス



 譜面台に置かれた古ぼけたノートをペラリと捲ると第二楽章。



 白と黒の鍵盤の上……。


 若い二人の男女が舞台の上を華麗に踊るようなイメージ。

 若い男女の頭上にはお月様が燦然と煌めく。



 抱き合うベルチェとカミラの視線がボクを見つめる。

 第二は、この母娘にとって忘れられない1曲。


 なぜならカミラの目はこの第二楽章で光りと色を取り戻したのだから。 


 もちろん、それはボクにとっても同じ事。

 

 この曲で母と娘に希望をあたえる事ごできた一曲。






…………。


 「まったく……!」


 エリスは立ち上がる。

 第一楽章で涙を流し、第二楽章ではその音色に思わず聞き入っていた。


 「やはり異世界は凄いものだ!」


 二つの楽章で虜にされたエリス。

 

 「グゥの音もでないとはまさにこのことだ!」


 二つの楽章に文句をつけようがないとエリスは言っている。



「前のとまったく違うものでびっくりしました」 と、ベルチェ。


 カミラに至ってはボクの演奏を目を離さずにずっとみていた。


 「リュウ、お主もなかなかの悪よのぅ……」


と、僕達の世界での悪代官の吐くセリフ。

 

 ボクが悪? まだ何も言ってないんだけど……。


 首を傾げエリスをみると、ニタ! っと笑い

 鼻で笑う。


「おまえの考えがわかったぞ! リュウ、この親子の処分についてだ……!」


 ボクはまだなに一つ言ってないし提案もした覚えがない。



 「さすがに無罪放免にはできぬが、ベルチェよ!」


 お白州という公共の場ではないけどエリスの裁き。


 「裏も表も世界の全てを知り尽くしたお主ならば顔も広く、あらゆるものを手中に納めることができるのだろ?」

 

「はいっ、お代官様! 私に不可能はありません」


 ちょっとまって! 今『お代官様』 とかエリスの事を!?


 もしかしてベルチェもボクの故郷に毒されて?


 「ふふふ、その響きにはなんだか背筋がゾクゾクするのぅ……」


 エリスは完全に調子にのってはなしを進め、ベルチェにボクの探してる楽譜の情報をあつめる事を命令。


 さらに、約束を守らせるため、カミラを人質として預かると言い出した。


 いやいや、ちょっと待って!  人質って、そんな大げさな!



 ボクが慌てて口を挟もうとすると、エリスがニヤリと笑って手を振る。


「心配するな、リュウ!  完全に引き離すわけではない。 カミラはウチで大切に預かり、ベルチェがちゃんと戻ってくる保証にするだけだ!」


「そ………、そうですわ、お代官様!  娘のためなら私、どんな情報でも集めてみせます!」



 ベルチェもノリノリで答える。


 カミラは少し不安そうに母を見たけど、すぐに微笑んで頷いた。


「そして、ベルチェ!  娘が待つリュウの元へ、こまめに帰ってくること!  以上だ!」


 エリスはあの時の奉行さながら、胸を張りドヤ顔で締めくくった。


 ボクはただ、呆然とその芝居がかったやり取りを見つめながら、内心で呟くしかなかった。


……。 ボク、ほんと何も企んでないんだけどっ!? カミラがそっと母の手を握るのを見て、ふと気づく。


 エリスの言う『人質』なんて、ただの口実……。


 カミラを安全な場所で守りつつ、母娘の絆をちゃんと繋いでおくためのエリスなりの気遣いなのかもしれない。


 ……それにしても、エリスの異世界への憧れは転移してきた人達の影響をうけすぎている!





 



「それではお代官様、旅の道中申し訳ありません! こちらの馬車をお使いください」



 時代劇のラストを飾る名場面が終わり、安心したと思った矢先ベルチェはまだ引きずっている。




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