第三十九話★ 二日目/転移者行方不明騒動の真相
「流石リュウ……。 ピアノで自分の居場所を知らせるなんて思ってなかったぞ」
ボクは拉致された。 そして、まさかの誘拐……。
だけど、その誘拐にも理由があって目が見えない金髪のカミラに月を見せたいというベルチェの願い。
ボクの実力? それとも偶然か奇跡?
ボクは月を見せるどころかカミラの視力を取り戻してしまった。
そして、そんな感動的なシーン。
ギルド長と現状確認していたエリスが、ボクのピアノの音を頼りにボクを発見。
「ふむ、このゴールデンモスの燐粉を吸えば意識を失って眠りに落ちる」 ぼくの隣、感情を押し殺したように淡々とエリスの口が開く。
テーブルに置かれた金色の羽根の羽虫の死骸をみつめる。
「ヒィッ!」
エリスの鋭い眼光に射貫かれたベルチェが思わず悲鳴をあげる。
エリスの横顔は泣いたり笑ったり、ぼくを求める表情とは全くかけはなれた鬼気迫る表情。
「お母さん、ごめんなさい!」
と、ぼくの左手の袖を摘まんでいただけの小さな手が、ギュッと、思わず強く握られる。
ぼくの隣で顔を真っ青にさせながらガクガクと震えるのはカミラ。
エリスの氷のような冷たい瞳がゆっくりとした動きでボクを一瞥。
ピシャァンッ! と空気が凍り張り詰めるのがわかる。
なんでぼくまで? 誰か助けてえ!なんて言えない状況。
耳障りな濁流がよりいっそう際立ってきこえる。
「いいんだ、カミラ……」
カミラの謝罪に優しい表情で許しを与え、「お前は悪くない」
と。、……。 間をおいてカミラに穏やかな表情の中に、どこか諦めたかのような切ない表情。
そして、「私が……、私がやらせたんだ……」、 と。
全ての罪を認める。
「貴様らはこの方法で転移してきた者等を誘拐してきたようだが……!」
声のトーンを落として鬼のような形相。
そういえば“この世界に転移してきたものが直ぐに行方不明になる” とルフィ。
もしかしてその黒幕がベルチェ?
ゴーゴーと流れる濁流の音がエリスの感情を投影しているかのような重い雰囲気。
エリスの後ろ髪を留める髪飾りが照明の灯りを反射してキラリと瞬いたと思った瞬間。
「今回は運が悪かったな……」
と、感情の籠らない底冷えするような低い声。
そして……。
スッと一歩、足を前に進ませて二歩、三歩……。
ーーダン!ーー
ドコに隠し持っていたのか、テーブルの上にナイフを突き立てる。
「それを知ってか知らずかわからぬが、それは許せぬ狼藉!」
銀色の刃先がキラリと光る。
「本来なら貴様らはここで殺されても文句はあるまい……!」
その迫力は鬼神のごとき振る舞い。
ぼくはその圧力に立つ事もままならず
僕の袖を掴んでいたカミラはギュッとボクの手を掴み、ボクの後ろに隠れる。
ーードスンッ!ーー
だけど、ベルチェはその迫力をモロに受け椅子から転げ落ちる。
シュッとテーブルを超えて影が移動。
青く線を引いて光りの尾。




