第二十八話☆ 二日目/身体が痛くて動けません! ルフィの実力
鼻息が荒く耳障りな呼吸音、ふたつの穴が空いた豚鼻。
ピンクの肌に目付きの悪いおちくぼんだ瞳……。
その相貌が豚の獣人だとわかったのは一瞬だ。
「目覚めたか、だらしない!」
聞き覚えのある嗄れた声。
エリスのそばに仕える獣人で、ヒトと共存するこの世界の住人、豚鼻のオーク、ルフィ。
ボクの中では間違いなくバケモノ認定。
彼女はエリスと共にこの領主館に居る獣人。 こんなバケモノがなぜエリスのそばにいるのか?
彼女、ルフィが何故ここに居るのかわからないし、役割も使用人とだけ。
ただひとつ、言えるのは、ボクとルフィは仲がわるい。
だから当然だけど…………。
「バケモノだ~! 助けて~!」
思わず叫ぶ!
ルフィが驚いてボクを睨みける。
次の瞬間、ダダダッとけたたましい足音と共にみたこともない獣人。
口の大きいワニのような獣人に、頭におおきな耳の、夢の国の主人公のようなネズミの獣人。
兎?、アレは兎か? 長くてモフモフした耳に被り物のような丸顔、そして赤い瞳。
その他多種多様の獣人が広すぎた部屋を一瞬にして隙間を埋めた!
「テ……、テメェ!?」
ルフィの悪態を向けられる。
だけど!
つぎの瞬間。
「うぎゃぁ!」
「ウヌゥッ!」
「ウピィッ!」
「ぶひゃぁ!」
「らんらんる~!」
ルフィの圧倒的で驚異的な力で全ての獣人が声をあげて……、(一部変な叫びも聞こえた?) 宙を舞う。
そして、ドタン!バタン! と派手な音を響かせて落下。
圧倒的な力量! その姿は魔王を彷彿させるような強さ!
この世界に魔王は存在しないとエリスは言っていた。
次は、こ騒動の元凶であるボク?
恐怖だけではないけど、身動き出来ないボクはルフィの後ろ姿を戦々恐々と見詰めていると、
「なんだ! どうした! 侵入者か?」
今度は全身を鎧で固めた男達。
それに続いて
杖や何かの本を片手に持つ女子供、老人の一行。
だけど、そんな人間に見向きもせず、おちくぼんだ瞳がボクを睨んで直ぐ、明後日の方向を睨みつける。
「でてこいよ! 相手してやんぞ!」 と、吠える。
ボクもルフィの視線の先を見つめるけどそこには、なにも存在しなかった。
ルフィが何に吠えたのかわからず数秒後。
「けっ、やってらんねぇ……」、と呟き、ドスドスと足音をならして視界から姿を消した。
入れ換わりに、「どうしましたか?」
と、おっとりした口調でミチル。
「さすが獣人代表!」
「イテテテテ、老体にはこたえるわい」
「あはっ投げられちった」
と、方々から聞こえる声に
「皆さん、さほどダメージはないようですよね? うちのルフィが暴れて申し訳ありません」
と、足場の悪い場所をヒョイヒョイと避けては飛び越え、ボクの枕元。




