第二十四話☆ 二日目/全裸で懇願するエリスの願い。
トロッコ列車から見るゴツゴツした岩質ではなく自然にできたかのような滑らかな岩質。
エリス様を見失ってしまうほどの美しくひんやりとした静謐な空気。
ここが特別な空間である事を色の違う岩盤が醸し出している。
ーージャポン!ーー
周囲の景観に目を奪われ、エリス様の姿を見失ってしまったなんて言えない。
だけどなにかが水場に落ちる音でそこにエリス様がいる事がわかる。
「リュウ、こっちだ! リュウも服を脱いで飛び込んで
!」
地上を支えるようにそそり立つ壁は開け、その向こう側をたゆたうようにゆっくりと流れる無色透明な流れのなか、ぷかぷかと浮かぶのは大きな桃。
違う! 桃じゃなくてエリス様の二つに割れたおしりだ。
だけど次の瞬間にはおしりが沈み、水底で揺れる白髪。
溺れているワケじゃなさそうだけど、何かを探している?
ボクも脱いで入水しようと思った。
ムリだ……。
ムリムリムリムリィ~
わかるよね? 別に水が苦手とか泳げないというワケじゃなくて、察してくれとしか言えない。
「ほら、見てみろリュウ!」
と、満面の笑顔で川底の砂をかき集めたようで肩まで浸かりながら両手をだし、両手の中にそれはあった。
透き通るような青い欠片が混じった歪な形の石。
ぼくは思わずそれを摘まんで取り上げた時だ!
視界の端で彼女は口角を上げてイタズラっぽく目を細めたのがわかった。
だけどボクの思考が追いつかず、次の瞬間。
バッシャーン!
彼女に勢いよく引きずり込まれる。
一瞬の出来事だった。
水中の気泡が泡立つように遮る視界のすき間、巻き上がるキラキラとした川砂。
幻想的な光景。
川底の彼女の足元には宝石箱のように瞬く色とりどりの欠片。
彼女に引きずり込まれた事を忘れ、ぶはぁっと水中で口を明けると彼女の肢体が泡立つ気泡に包まれてそこにたっている。
ゴボッ!
息がっ! 息が、できない!
ボクが水面から顔を出し、ゲホッゲホッと咳き込み、少しだけのみこんでしまったものを吐き出す。
そんなボクのマヌケっプリにエリス様は
「アハハハハハハハ!」
と、ジェットコースターのようなトロッコ列車に続き、お腹を抱えて笑いだす。
空洞内に反響しする笑い声が響く。
ボクの喉と呼吸が落ち着き、ひとしきり笑った領主様……。
昨晩の領主としての苦痛と慟哭を吐き出した彼女とは大違い!
そして、彼女はいたずらっぽく笑ったかと想うと、ボクが身につけていたものをスポポポポーンと剥ぎ取り放り投げる。
「なっ!」
思わず声をあげようとしたけど次の瞬間、彼女はボクの首に手を絡めて身体を密着させた。
…………っ!!!!
起きる現実が全て予想外過ぎて頭の中は真っ白になり思考が追いつかない。
水の中でひんやりとした冷たさを感じる中、彼女の体温が伝わり脳内で熱暴走している。
「お……いだ」
つい先ほどまで笑い声をあげていたエリス、ぼくの首に絡めていた腕に力をこめて全身を密着。
そして、聞き取れなかったけどボソボソと呟く声でなにかをいったかと思うと、彼女の腕が震えているのがわかる。
「お願いだ……。 どこにもいかないでくれ!」
今度は震えるような声で叫び声が反響。
顔をあげたエリス様と目が合う。
涙を浮かべ、潤む彼女の赤い瞳がボクを見詰める。
「お願いだ……。 本当に、どこにもいかないでくれ!」
震える声に涙を浮かべて叫ぶエリス様。
本音をいえば彼女がなにを言いたいのかさっぱりわからない。
どこにもいかないでと懇願されても全くわからない。
だけどエリス様はボクに求めてくる。
首に絡めた細い腕に力が入り、そのまま彼女はボクの胸に顔を埋めてシャクリだす。
どうしたらいいかわからない!
だけど、ぼくは本能的に彼女を抱きしめ頭をポンポンと撫でる。
そして、 「どこにもいかないから安心して、ぼくはエリス様のそばにずっといるから……」
身体を密着させ、しがみつく彼女の耳に優しく囁くように答える。
さらに頭を優しく撫でる。
震える彼女が少しずつ落ち着いてきているのがわかる。
エリス様が安心するまでずっと頭を撫で続け、落ち着いてきたころに背中に手を回す。
「取り乱してすまない」
鼻を啜りながらエリス様は話しはじめる。
「リュウがギルドの監視をうけながらギルドのクエストを請負ってしまうだろ?」
エリス様は淡々と胸中をはなしはじめる。
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