第二十二話 二日目/転移者の好みに詳しいエリス様
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なんだか時代劇のような三文芝居というか、決められていたような茶番。
エリスが朝早くから忙しそうにして、なにかあったのか疑問だったけど、ここまで真剣に考えて方針を示してくれるとは思ってなかった。
あの腰を痛めたアンおばあちゃんもまさかのギルド長だったとは全く……。
お互いにに親子みたいに息ぴったりのやりとりももしかしたら、実の親子なのでは?
でも、顔形は全く違うから親子ではないだろう。
立ち入り禁止の区画を抜けてギルド内探索の続き、ぼんやりと歩いていると見晴らしのいいスペース。
陽の光が差し込みぽかぽかと気持ちのいい空間。
窓はなくその向こうに階段のように飛び石が並びその先に展望台が見える。
思わず一歩飛び石に脚をかけるとその先へ……。
町全体が見渡せるスペース。
すぐ近くに見える広大な敷地の赤いレンガの領主館。
その周囲に建ち並ぶいくつかの建造物。
そして、その敷地の周囲に並ぶ木造りのログハウスが暖かみのある雰囲気を醸し出している。
「リュウ! こんなところでなにしるんだ?」
背後から聞きなれたエリスの声。
あの後その場で三者三様、全員が散り散りになっていくなか、ギルド長から一言だけもらった。
『リュウ……。 あまり時間がないからね。 その間エリス様の近くに居てやんな!』
と、真剣な表情で訳ありな一言。
『いいかい? エリス様から離れるんじゃないよ!』 と、そんな事を言われて背中を押され念押しされた。
突然そんなことを言われてなにがなんだか……。
エリスが何かを隠しているのか? それとも異世界転位に問題が?
「リュウになにも相談せず、すまなかったね」
エリスが詫びを入れてくる。
相談もなにも上が方針を決めるのは当たり前のこと。
おばあちゃんに言われた事は胸の中にしまいこむと、「あの三文芝居もこっちからの?」
と心中を誤魔化すように茶化す。
「全くリュウ達の世界は面白いものだ。 この世界にいろんなものを持ってきて、根付かせた」
エリスは遠い目で目の前の光景を見つめる。
領地の周囲を取り囲む大きな塀、ここが異世界であるという実感を感じていたその時だ。
「異世界人は鉱山なぞと退屈なものが大好きでな、たかが穴堀に目をキラキラさせて……、全く」
エリスのいう通り、鉱山と聴いてワクワクしない人なんていないはずだ。
「鉱山を案内しようか?」
レールの敷かれた坑道をトロッコで移動、爆薬を使ったりツルハシやスコップで掘削。
漫画やアニメでしか見た事のない世界。
ボクは思わず、「うんっ! 」 と、興奮して答えていた。
そしてエリス様はふふふと笑う。
「これだから異世界人は……」




