第十八話 二日目/ボクは奏者の魔女に気に入られたらしい
「こりゃぁ……、たまらんワイ!」
気持ちよくしているおばあさんに腰だけではなく背中から肩、首筋と念入りに擦ると
「そこそこ! そこじゃワイ」
父さんの背中で教わったキモチいいヵ所を中心に擦り続け、最後に背骨に沿うように拳を丸め上下させて終わり。
「ありがたやありがたや、どこの誰か知らんけど、凄く楽になって助かりましたわい」
「ピアノの手入れだったらぼくも手伝うよ」
ぼくはおばあさんに一言断りを入れると散らかったバケツと雑巾を拾ってピアノを拭き始める。
「ホゥ……。 こりゃなかなかのもんじゃわい。 ワシ以外に触らせないメアリーが喜んでおるワイ!」
顔色がよくなって生き返ったような清々しい顔。
「うん、ピアノは演奏する時だけじゃなくてもいつもこうやって拭いてあげないとね」
「ワシはアン。 お前さん、ピアノを演奏できるのかい? もしかして昨夜演奏したのはおまえさんかい?」
「そうだよ。 このピアノ、他のピアノと違って凄くいい音だったよ」
ヤバい……。 ぼくは思わずピアノを演奏したことをくちばしってしまった。
「ホゥ~おまえさんメアリーに許されたんじゃな?」
だけどおばあさんは清々しい顔のまま話しを続ける。
「メアリー?」
「王国で“奏者の魔女” として死ぬまでピアノを愛していた王国のお姫様さ」
「奏者の魔女?」
おばあさん、アンおばあさんの話しではこのピアノがどこぞの王国にあったものでメアリーというお姫様が死ぬまで愛していたピアノだ……、と。
ぼくがこのピアノを演奏したことが悪かったのか、奏者の魔女と聞き返した事が悪かったのかはわからない。
目を細め何かを察して疑うような視線。
「そうじゃ、奏者の魔女。 この世界じゃ知らないものはいない……」
ぼくが異世界からの転移者だと疑っている。
もちろんぼく自身転移者であることを隠すつもりは毛頭ないし、別に話してもいいと思っている。
だけどこのギルドで『転移者の確保』 というアナウンスがあったりしたことを思い出し、ルフィからの忠告があったことも考えると言わない方が賢明。
「さてはおまえさん余所者だな? その顔立ちロード大陸か? それとも……」
おばあさんがボクを完全に疑っている。
「まぁワシの仕事をやってくれた礼だ。 黙っててやるよ」
と刺すような視線を緩めて穏やかな表情で、「一曲聞かせてもらえないか?」
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