第十三話☆ 一日目/急変する彼女の態度
気分を落ち着かせようと、備え付けの水差しから湯飲みに注ぎ、ゴクリと煽る。
ヒンヤリとした水が身体に染み込むように、高揚した身体を冷却。
天井からは件の賢者の石が優しい光りを放ってインテリアとしての置き石や観葉植物を優しく照らしている。
一人では不安になりそうな豪華な一室。
ミチルの案内でボクのためにに用意された部屋。
ミチルがいうには、『専用の部屋が用意できるまでこの貴賓室を自分の部屋だと思って使ってください』 との事だ。
こんな無駄に豪華で広い部屋じゃなくても物置小屋とか、屋根裏部屋でも良かったんだけど……。
正直、イロイロありすぎて休むどころか落ち着く事なんてムリッ!
もちろん部屋が広すぎなのとベッドが大きすぎるのが影響していないわけでもない。
優雅にステップを踏み長い白髪に月明かりを反射させひらりと回転。
ボクと目が合う度に笑顔いっぱいで何度もボクを見つめてきた。
大きな赤い瞳にボクは何度もドキドキした。
この世界に来てボクは一体どうしたらいいのか?
大きなベッドにドスンッと座ると、ほどよい弾力がボクを受け止める。
「ボクは一体どうしてしまったんだ!?』
大声で叫びたくなるのを薄皮一枚で堪え、呟くように吐き出した時だ。
ふと窓辺に掛かるヒラヒラと揺らめくカーテンを見るとその時の情景、彼女が月明かりを受けて優雅に踊る光景を色濃く思いださせる。
ベッドから立ち上がり、窓辺へと向かい、カーテンを開けるとディナールームでみた月が一際際立って瞬いている。
エリス様は言った。
『綺麗な月ですね』
そして、ボクもそれに返すように『綺麗な月だ』 と、答えたのを思い出す。
そう、有名なこのフレーズ。
いくら元の世界の人達が何人もこの世界の呼ばれたとはいえ
まさかの有名な告白のフレーズまで伝わっているとなると……。
ーーコンコンーー
「リュウ……、 時間いいかしら?」
そんな益体もないことを考えていると、エリス様の声。
「ハイッ!」
光の速さで返事を返し、秒で移動しドアを開ける。
自分がよからぬこと、ありえないことを考えていたことを悟られないように……。
「夜風に…、当たりに行くんだけど……。」
と、少し肩を落としハリもなくハッキリしないどこかしおらい言い方……。
ボクを見る彼女の瞳もどこか元気がなく下から見上げるような目線。
なんだか様子がおかしくて、どうしたらいいかわからないけど、ボクの心の中では“断るな!” と警鐘を鳴らしているのがわかる。
一歩部屋を抜けるとエリス様は背中を向けて歩き出す。
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