第二節 新しい年、変わらない絆
冬休みに入り、街はすっかり新年の装いに包まれていた。冷たい風が頬をかすめ、窓の外には霜が降りている。吐く息は白く、ふわりと空へ舞い上がる。
それぞれの家で、4人は年末らしい日々を過ごしていた。
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さちの部屋では、こたつに足を入れながら、さちは宿題のプリントに向かっていた。読書感想文、理科の観察記録、家庭科の献立づくり。
「う~ん……あと半分」
隣には、トレーニングノート。軽いストレッチや腕立て、スクワットの記録が毎日書き込まれている。少し体を動かさないと、落ち着かないのはすっかり習慣だ。
「今年の最後まで、ちゃんとやりきろう」
そう言って、さちは立ち上がり、ダンベルを手に呼吸を整えた。
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一方でハルとユキの2人の共有部屋には、トレーニングマットとダンベル、そして壁には「トレノ」のホワイトボードが立てかけられている。
「ハル~、窓拭きお願いね~!」
廊下から、あかねの声。
「りょーかい! スクワットしながらやるとちょうどいいんだよね~」
「またトレーニングと一緒にしてる……」
ユキは苦笑しながら、机の上の自由研究ファイルを整理していた。
「でもさ、この部屋……最初にみんなで集まった場所だよね」
「うん。ここが“始まり”って感じ」
机の隅には、成果報告会で使った模造紙の切れ端やメモが丁寧に残されている。ホワイトボードの片隅には、小さく「2024→2025」の文字。
「また、新しい1年もここからスタートだね」
2人は自然にストレッチを始め、軽いメニューで体を温めていった。
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リンの家では、静かなリビングに、掃除機の音が響く。リンはキャサリンの代わりに、家中をきれいにしていた。
トレーニングルームでは、ホワイトボードやマットを片付け、床を丁寧にモップがけ。
「Thank you, my gym…」
ぽつりと呟いた言葉が、静かに空間に染み込んだ。
腹筋ベンチに横になり、軽く体を伸ばす。鏡に映る自分の姿に、リンはまっすぐな目を向ける。
「もっと強くなる。もっと、なりたい自分に近づきたい」
その瞳は、自信と希望に満ちていた。
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大晦日の夜、4人は連絡を取り合い、近くの神社で合流した。
凛と澄んだ空気。鳥居をくぐると、灯籠の明かりが静かに境内を照らしている。
「さむ~……でも空気が気持ちいいね」
「こういうの、初めてかも」
「年越しって、日本ならではって感じだよね」
日付が変わり年が明けた後、並んで手を合わせ、それぞれの思いを込める。
「速くなれますように」
「もっと強くなれますように」
「みんなと一緒に、成長できますように」
「最高の一年になりますように」
鈴の音が静かに響き、4人の願いが夜空に舞っていった。
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帰り道、さちがつぶやいた。
「最初は、自分がここまで来られるなんて思ってなかった」
「でも、今は違うよね」
「うん。だって――」
「――私たち、“チームトレノ”だから」
星がきらめく夜空の下、新しい年の足音が近づいていた。
4人の絆と努力は、これからもまっすぐに未来を照らしていく。




