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絆のトレーニングノート:始まりの春、強さの種  作者: たまに何かを書く人
【第9章】走り出した挑戦の記録

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42/50

第一節 記録会という名の挑戦

11月のとある週末。雲ひとつない青空の下、冷たい空気に日差しの温もりが映える朝。


「さむっ……!」

玄関を出たさちは、思わず声を漏らす。


吐く息は白く、冬の到来を肌で感じる季節。それでも今日は、彼女たちにとって特別な日だった。

4人で計画した**“自主トレ記録会”**――今の自分たちの実力を確かめる、小さな挑戦の日だ。


「体、ちゃんと動かしてからじゃないと、怪我するからね」

ユキがストレッチマットを敷きながら声をかける。


会場は、リンの家のトレーニングジム。広々とした空間に、今日のメニューがホワイトボードに書かれていた。

•リズム体幹:連続回数

•スクワット:記録回数

•プランク:保持時間

•開脚角度

•柔軟チェック(I字バランス)


「じゃあ今日は、これを順番にやって、春からどれだけ成長したかを見てみよう!」

ハルの声とともに、記録会が始まった。



リズム体幹


かつてはテンポについていけなかったさちも、今は安定したフォームで、リズムに合わせて体を上下させている。


「いち、に、さん、し……!」


「フォームきれい!」「さち、崩れてないよ!」


8回、9回、そして10回目のゆっくりとしたプッシュアップ。


「よしっ!」

「10回フルクリア、おめでとう!」



柔軟性チェック


リン直伝のストレッチを続けてきた成果は、着実に現れていた。


「おお、さち、脚がまっすぐ開いてる!」

「I字バランス、姿勢もきれい!」


ポーズをキープしながら、さちは息を整え、誇らしげに微笑んだ。



プランク保持


「スタート……」


ストップウォッチが動き出す。1分、2分、3分……。


「前は90秒が限界だったのに……」


「……3分40秒! すごっ!」


仲間の拍手を浴びながら、さちは額の汗をぬぐった。



一通りの記録を終えた4人は、床に座り込んで水を飲みながら、静かに天井を見上げていた。


「春には、どんな私たちになってるんだろう」

ユキがぽつりとつぶやく。


「もっともっと強くなってるよ」

「うん。どこに出しても誇れる“トレノ”になろう」


リンの言葉に、3人も深くうなずいた。



「じゃあ、クールダウンと並行してフォーム確認しようか」


ハルがテレビモニターを操作すると、映し出されたのは最近の水泳大会でさちが泳いだ映像。スイミングスクールで月1回撮影しているフォーム確認用のものだった。


「これ……私?」とさちが驚く。


「そう。スクールで録ってもらってるから、今のフォームと比べられるよ」


ハルに促され、さちは腹筋ベンチに腹ばいになる。画面を横目にクロールの動きを再現する。


「肘が少し開きすぎかな。もうちょっと内側を通すと、水をしっかりつかめるよ」


ユキがそっと助言する。


「呼吸のタイミングも見直そうか。……ここ、3秒後あたり」


タブレットで映像を一時停止し、現在のフォームと並べて比べる。


「おぉ……結構違うんだね」


「でも、確実にきれいになってる。努力の成果、出てるよ」


「うん。最初はバランスとるだけでも大変そうだったけど、今は真っ直ぐ伸びてる!」


照れ笑いを浮かべながらも、さちはその言葉をしっかりと胸に刻んだ。


その後もハルとユキがベンチに乗ってフォームを再現し、リンは元体操選手ならではの視点で細かなフィードバックを続けた。


気がつけば外は夕暮れ。空気は冷え込んでいたが、ジムの中には熱気と笑顔が満ちていた。



「じゃあ、今日の記録、ノートにまとめようか」


「“絆のトレーニングノート”、冬バージョンだね!」


記録は、数字だけじゃない。

今日の頑張りも、仲間と過ごしたかけがえのない一日も、すべてがそこに刻まれていく。


笑いながら、4人は今日の成果をノートに書き留めていった。

目指すのは、昨日の自分より一歩でも前へ。

その積み重ねが、彼女たちの確かな力になっていくのだった。


挿絵(By みてみん)

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