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絆のトレーニングノート:始まりの春、強さの種  作者: たまに何かを書く人
【第8章】届ける想い、伝える未来

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第五節 冬へ続く挑戦

成果報告会が終わった翌週の月曜日。

校庭には赤や黄に色づいた落ち葉が舞いはじめ、季節は確実に冬へと向かっていた。


「……寒くなってきたね」

登校中、ユキが手をこすりながらつぶやく。


「うん。でも空気が澄んでるから、気持ちいい」

さちがその隣で背筋を伸ばす。


「今日からまた、いつもの日常に戻るね」

ハルが言うと、リンがにっこり笑って頷いた。


「でも、もう前の“日常”とはちがうよね。あの発表で、また少し強くなれた気がする」


教室では、成果報告会の感想が黒板に貼られていた。

「すごかった」「感動した」「うちのクラス、かっこよかった」――

その中に「チームトレノの発表は、まるでプロのプレゼンみたいだった」という一文を見つけて、4人は思わず顔を見合わせる。


「えへへ……プロは言いすぎじゃない?」

ユキが小さく笑い、さちが肩をすくめた。


「でも、うれしいよね。私、自分の声が届いたんだって思えた」


「また何か、次の目標がほしくなるね」

ハルが言うと、リンが手を上げた。


「Let’s set a new goal. For winter.(次の目標、立てよう。冬に向けて)」



その日の放課後、4人はリンの家のトレーニングルームに集まっていた。

寒さ対策として、ストレッチの時間を長めに取りつつも、筋トレのメニューは相変わらずハードだ。


「冬は基礎力を伸ばす季節。だから、地道に、でも着実に強くなっていこう」

ハルがホワイトボードに書き出す。



【冬のトレーニングテーマ】

・持久力をさらに伸ばす

・柔軟性の維持と向上

・食事と栄養のバランス管理

・リズム体幹の完全マスター

・来年春の記録会に向けた基礎強化



「あとさ、さち」

ユキがふと思い出したように言う。


「そろそろ、水泳の市大会の予定って出てなかった?」


「うん。たしか……来月の半ばに案内がくるはず。出場したいって思ってる」


「そのためにも、フォームの見直し入れとこうよ」

リンが言うと、ハルがさっとタブレットを取り出した。


「じゃあ、また動画でフォームチェックね。あとは食べる量も意識しないと」


「うん。最近、すぐお腹すいちゃって、いっぱい食べてるけど……筋肉になってくれてるのかな?」

さちが笑うと、3人もつられて笑う。


「トレノの身体は裏切らないよ」

「がんばった分、ちゃんと返ってくる」


トレーニングルームの鏡の前に並んだ4人の姿には、春とは比べ物にならない変化があった。

ただ細いだけではない、芯のある力強さが、力こぶにも腹筋にも表れていた。


「寒さに負けずに、もっと強くなろうね」

「うん。“冬の絆”って名前つけちゃう?」


「……いいじゃん、それ!」



季節は、11月中旬。

冬の足音が、すぐそこまで近づいていた。


挿絵(By みてみん)

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