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絆のトレーニングノート:始まりの春、強さの種  作者: たまに何かを書く人
【第7章】重なる過去とつながる未来

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第三節 秋風とチームの約束

10月に入り、空は高く、風は澄んでいた。

通学路の並木道では色づき始めた葉がゆっくりと舞い、空気にはほんのりと金木犀の香りが混じっていた。


「秋、だねぇ……」

スイミングスクールの帰り道、さちがふとつぶやく。


「うん。汗はかくけど、夏よりずっとトレーニングしやすい!」

ハルが笑いながら、バスタオルを肩にかけて応える。


スイミングに放課後のトレーニング――。それらは4人の生活の一部として、完全に馴染んでいた。「習慣」というより、「日常」と呼ぶ方がふさわしかった。


春にトレーニングを始めた頃と比べて、さちの体つきは明らかに引き締まっていた。

肩や背中にはうっすらと筋肉のラインが浮かび、腹筋もしっかりと割れ目が見えるほどに。

全身の動きにも無駄がなく、しなやかで力強さを感じさせる。

その姿は、小学生とは思えないほど鍛えられていた。


「最近、腕のサイズ測った?」

ユキがさちの二の腕を軽くつつく。


「この前、お母さんがメジャー持ってきて測ってくれたよ。1センチ伸びてた!」


「最近のトレメニューも、最初の頃よりずっとハードなのに、もう“普通”にできるようになったよね」


リンが感心したようにうなずく。


「でも……最近、やたらお腹すかない?」


「めっちゃわかる!」


「朝練した日の昼食、足りないもんね!」


4人は顔を見合わせて笑い合う。


「でも、無理に食事を減らすのは違うと思うんだよね」

さちが真剣な表情で言った。


「うん。私たち、小学生だし。まだ体をつくってる途中だもん」

ユキも静かに続ける。


「いっぱい食べて、いっぱい動く! それがチームトレノの基本だよ!」

ハルが胸を張る。


「Agreed. バランスよく、Strong body & Happy mind!」

リンが両手でガッツポーズを作り、4人は笑顔になった。


その日のトレーニング後。マットの上で水筒のフタを開けながら、さちがふと思い出したように言う。


「そういえば、来週の校外学習、楽しみだね!」


「うん、小学生最後の遠足だもん!」

ハルが声を弾ませる。


「行き先は東京だよね。国会議事堂の見学、ちょっと楽しみ」

ハルが目を輝かせる。


ユキがメモ帳を広げて確認する。


「リン、日本での遠足は初めてだよね。私たちでいろいろ案内するから!」


リンは嬉しそうに頷いた。


「楽しみ! Let’s go exploring, Team トレノ!」


校外学習を前に、学校では準備が進んでいた。

学級活動の時間になると、教室中がにぎやかになる。


「はいはい、バスの座席は~……あ、トレノの4人はセットで決まりだよね?」


「うんうん、あの4人はバラすと不自然すぎて逆に困る!」


周囲のそんな声に、4人は思わず笑ってしまった。


「なんか……自然に“いつも一緒”って思われてるね」

さちがくすっと笑う。


「でも、それって……うれしいよね」

ユキが静かに言った。


「見学後は、自由行動だって。どこ行くか、班で決めるんだよね」

さちが言うと、ハルが手を挙げるようにして提案した。


「私たち、ペンダント作りに行こうって話してたよね?」


「そうそう。博物館で体験できるって! 記念にもなるし、絶対楽しいよ」


「じゃあ、決まりだね」


トレノの4人は、移動手段にもこだわった。


「路線バスじゃなくて……歩いて行こうよ。せっかく東京に来るんだし、トレーニングにもなるし!」

ユキの提案に、全員が賛成した。


班決めや座席割りでは、誰もが「チームトレノはそのままで」と暗黙の了解で受け入れていた。

他の班が4人以外で自然に構成され、担任の先生も笑いながらこう言った。


「君たちは固まってる方が安心だね」


校外学習当日が、ますます楽しみになってきた。



そして迎えた当日。

クラスメイトたちはバスの前に集合し、わいわいと話し合っていた。


「おはようございます!」

4人そろって元気よく挨拶すると、担任の先生がニヤリと笑った。


「お、来たなチームマッスル女子!」


「せんせー! ちがうよ、“チームトレノ”だってば!」


「はっはっは、すまんすまん!」


笑い声がクラスに広がる中、4人と仲間たちが円陣を組む。


「小学生最後の遠足、思いっきり楽しもう!」


「おーっ!」


さわやかな秋風が吹き抜ける中――

彼女たちの足取りは、これから始まる一日への期待と、変わらない友情に満ちていた。


挿絵(By みてみん)

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