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第一節 転校生のさち
4月のある晴れた日。
青空に白い雲が浮かび、校庭では子どもたちの元気な声が跳ねていた。
6年2組の教室では、朝の会が始まっている。
「えー、今日は転校生を紹介します。皆さん、仲良くしてあげてくださいね」
先生の声に、クラスがざわつく。
「さあ、自己紹介をどうぞ」
前に出てきたのは、ショートボブの髪型で少し内気そうな、恥ずかしげな表情の女の子だった。
「……白川さちです。前は関西に住んでました。運動は……ちょっと苦手です。でも、よろしくお願いします」
軽く頭を下げたさちに、クラスから「よろしくー!」と元気な声が返る。
その後ろの席から、にっこり笑って手を振る二人組の女の子がいた。
「こんにちは! 私はハル!」
「ユキです! 私たち、双子なんだよー!」
見た目はそっくりな二人だが、ハルは活発で話し方も元気いっぱい。ユキはおだやかで落ち着いている。そのバランスが絶妙で、クラスでも人気の双子だった。
「よろしくね、さち。困ったことがあったら、なんでも聞いて!」
「う、うん。ありがとう……」
こうして、さちの新しい生活が始まった。