第2話:借金世界一じゃなきゃダメなんです。
「日本は世界一の借金大国です」 そんな言葉を聞いたことがある人は多いと思います。私もその一人でした。ニュースでも、雑誌でも、経済の解説記事でも、よく出てくるフレーズです。
よくよく見ると出てくるのは「対GDP比」ばかり。つまり、その国の経済の規模(GDP)に対して、どれだけ国債を発行しているか、という比率です。 国際比較では、ほぼ例外なくこの「比率」が使われています。
なるほど、経済の大きさに対して借金がどれだけあるかを見るのは、意味があるかもしれません。人にたとえれば、「借金が100万円あっても、年収が1億円なら余裕でしょ?」というような話です。
でも、あるとき気づきました。
「国債の発行額そのもの、どこにも出てこないな……?」
あれこれ探しても、どこも「対GDP比」ばかりで、「国債の総額そのもの」で国を比べている資料がなかなか見つからない。そこで私は、自分で計算してみました。ある資料に書いてあった各国の対GDP比と、その年のGDPをかけて、単純に「いくら借りてるのか」を出してみたんです。
そしたら、出てきました。
——日本より、ずっと多く国債を出している国がある。ダブルスコア以上で。
(ハイパーインフレになっている国は省いています。)
「あれ?」と思いました。 「じゃあ、なんで“日本が世界一”ってことになってるんだ?」
そのとき、ふと気づいたんです。
あ、こうしないと世界一にならないんだ。
「もしかして、“GDPで割る”っていう前提そのものが、見せ方として都合がいいだけなんじゃないか?」
しかも、もうひとつ疑問が浮かびました。
「国債でお金を出して、それがすべてGDPに回ったら、比率はむしろ下がるんじゃないの?」
「とすると、普通にやってたら世界一をキープするのって難しくない?」
例えば、2024年度は、ざっくり、国債1300兆円、名目GDP600兆円だったそうです。割合にすると216%。 次の年、100兆円支出したとして、すべてGDPになったとすると、国債1400兆円、GDP700兆円で、200%。
国債がそっくりそのままGDPに回ったとすれば、
216%→200%
さがるじゃん……。
(※GDPって何?という話ですが、ざっくり言えば「みんなの給料の合計」みたいなもの)
つまり——
借金(の比率)世界一から脱するには、むしろ借金してGDPを増やせばいい。
私は経済の専門家じゃないけれど、これって当たり前の話だと思いました。
分子(借金)ばかりを責めて、分母(経済)を育てようとしない。むしろ、増やさないようにしてるようにすら見える。
なんで、借金増えてんのにGDP増えてないんだ?その仕組み自体がおかしいんじゃないの?
いや、やっぱり世界一の称号は、みんなのあこがれ。みんなの給料より大事なんだ。
みんなで目指そう世界一。
そしてまたひとつ、モヤモヤが晴れた気がしました。