昨晩の記憶と拉致 2/3
ファミレスでの食事を終えた俺たちは電車で自分たちの街へ帰って帰路についていた。その時には周囲は真っ暗になり虫の音が聞こえていた。
「で、そのレポートの進捗はどうなの?セイくん」
「今日一日中、図書館で資料を調べた甲斐もあって明日には完成しそうだよ。」
道と家の場所の関係で別れる直前に大学のレポートの進捗に関する話題になり、俺は状況を答えた。
「で、華乃の方はどう?」
一方の華乃は…
「私はあんまり進んでなくて…ピンチだから明後日に手伝って欲しいんだけど…良いかな?」
「良いよ、手伝うよ。後で『ROAD』のチャットの方で時間を教えて、」
あまり進んでおらず手伝って欲しいと言うので手伝わせてもらうことにした。
「あ、そうこうしてたら分かれ道だね。じゃあねセイくん、また明後日にね。」
「うん、バイバイ。」
そうして、俺たちは別れて俺は家へ歩き出す。歩く中で俺は…
「(俺に恋愛をする権利があるわけがない。)」
小声でそうつぶやき、俺は華乃と話す中で忘れかけていた、正当な自己評価を確認したその瞬間だった。
何者かが俺の後ろに音もなく近づき、目にも留めようのないほどの早業で俺の腕に注射器を刺し何かを注入した。そして、意識が薄れていき俺はその何者かに担ぎ上げられ意識を失った。
急展開