8 森の外へ
しばらく走った後に立ち止まる。
「ふう、ここまで来れば大丈夫かな。」
「フィン、私あんな山賊くらいに負けないわよ。」
シュッシュとシャドウボクシングをしながら先ほどまで手を繋いでいたフィンに言う。
「そうだね、でも僕が君を守ってあげたかったんだ。ごめんね。」
ニコっと笑うフィンに私はまたしても胸をキュン!として赤くなった頬を両手で抑える私。
「歩きながら話そうか。」
「うん、フィンはあの後どうしたの?」
私は歩き始めながら疑問だったことを一番先に聞いてみることにした。
「あの後ね、倒れていた友人3人はちゃんと目を覚ましたんだ。それで事情を話して森を抜けることにした。」
「みんな無事でよかった。心配してたの。」
「ありがとう。それで街に戻った後、僕は王宮で働いている薬の研究室でベネノスネイクからエキスを抽出して、そこから毒に対する特効薬を作ることにしたんだ。」
「確か、あの襲われた際に毒のついたナイフで倒れちゃったって友人を助けるためよね。」
頷きながらフィンは続ける。
「毒薬は研究室のみんなと協力してなんとか完成することが出来たんだ。」
さらっと言っているけど新しい薬を作るのって大変なことなのじゃないかしら?
フィンって実はすごい薬師さんなのでは?
心の中でフィンのことを尊敬していると、
「それでその件が落ち着いた後、ミーアとの約束を果たそうとしたんだけど。」
ジロッとこちらを見ながら、
「ミーア、あの時どこでいつ会うか何も話さないまま行っちゃっただろ。」
「うっ!」
痛いところをつかれて先ほどとは別の胸の痛みを感じる。
「ご、ごめんー。私もフィンと別れたあとそのことに気付いて激しく後悔したの。場所はあそこしかないと思ったんだけど、いつかはわからないから、私あそこでずっと待っていたの。」
しょんぼりしながら言う私にフィンは大変驚く。
「え!ずっと?!ごめん、すぐ戻ってきたかったんだけど、森の中を僕一人で来るには魔物がなるべく出ないルートを歩かなくちゃいけなくて通常より時間がかかっちゃったんだ。」
申し訳なさそうに言うフィンに、
「いやなんでフィンが謝るの!フィンが悪いことなんて一つもないよ!私が慌ててたせいだし、むしろあんな約束を覚えててくれたことに感謝だよ!」
両手を前に出してブンブン振る。
「私ね、待っている間にもしかしてあの約束は嘘だったのかなー、なんて考えちゃったんだよね。だからフィンが来てくれた時本当に嬉しかったの。」
頭をかきながら照れ臭そうにへへっと笑う。
「嘘なわけないだろ。ミーアは俺の恩人さ。だからミーアの夢を僕に叶えさせて欲しい。」
真剣な眼差しで話すフィンにまたときめいてしまうのだった。
人間の男の子ってみんなこんなにかっこいいの?!
私、フィンと一緒にいると胸が持たないかも。。
一日だけ森に野宿はしたが、二人で時間を忘れていろいろな話をしていたらあっという間に森の入り口付近に来たようだ。
森の大樹と大樹の間が大きく開けている個所が一か所見える。
その箇所は外から陽の光が差し込んでいて神々しく光り輝いている。
森の入り口付近まで来るのは初めてだったため私はワクワクする気持ちを抑えることができない。
「あ、そうだ。ミーアにこれを上げようと思って。」
ゴソゴソと自分の背負っていたリュックサックを漁るフィン。
目的の物が見つかったと同時に、それを取り出し私に差し出す。
「スカーフ?」
差し出されたものを受け取り私はそのピンク色のスカーフをまじまじと見る。
「それを巻いてミーアの頭にある角を隠そうかと思って。僕はミーアが良い子だってわかっているけど、何も知らない人たちが鬼族を見たらビックリするだろ。街の中では人間にフリをしておいた方が良いよ。」
そう言いながら一度私に渡したスカーフをもう一度手に取り、私の頭に巻いてくれた。
確かに人間たちには気をつけろと鬼パパも言っていたし、用心することに越したことはないか。
ていうかフィン近い!近い!
頭にスカーフを巻いているフィンがすごく近くてまたしても顔を赤くするしかなかった。
「よし、出来た!似合っててすごく可愛いよ。」
二コリと笑いながら小さな手鏡を私に向けてくる。
か、可愛いって。。って思いながらスゴスゴと手鏡を除く。
鏡を除くとピンク色のスカーフを頭に覆い、髪をくくるような感じで縛ってくれていた。
よく物語に出てくる町娘みたいな感じで私は一発で気に入ってしまった。
「すごく嬉しい。ありがとうフィン!大好き!」
私は思ったことをそのまま彼に伝えると顔を赤くしたフィンがゴホンっと咳払いしてから、森の入り口に降り注いでいる光の中に二人で入っていくのだった。
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