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6 旅立ち

「私街に行ってみるわ!」

両手を腰に置いて両足を広げて大きな声で宣言する。


目の前には夕飯を食べている鬼姉と鬼パパ。


結局あの後私を心配した鬼パパと合流して村に戻ってきた。


「まだそんなこと言ってんの。」

昼間に鬼パパがとってきた熊を材料に作られた熊鍋を食べながら鬼姉が言う。


「私ね!街に一緒に行ってくれるっていう男の人と会ったの!」


「お、男!パパ心配だよ!」

山のような大男が情けない声で言う。


「大丈夫!彼はいい人だから!」

メラメラした闘志を燃やした目をしながら絶対に譲らない!という意志を示す。


「こりゃ一度痛い目みないとダメか。」

鬼姉は許容するというよりは諦めに近い気持ちで反対するのをやめる。


「パパは基本的にはミーアちゃんの応援したいよ?人間なんて弱い種族に鬼族がやられることはないからそこの心配はしていない。ただ鬼は強さを求めるだけだけど、人間の中には仲間同士で騙しあったり貶めあったりするから。ミーアちゃんも変なことに巻き込まれないか心配なんだよ。」

本当にただただ娘を心配する父親のようだ。


確かに、今日フィンのお友達が襲われたって言っていたのも、魔物ではなく人間同士のいざこざのように思えた。


でも、それでも私は。。


「街に行ってみたいの。」


私の話すトーンが変わったので二人は改めて私を見る。


「二人に、いいえ、鬼族にとって私が言っていることの方がおかしいってわかってる。でもだから自分の気持ちに蓋をしてずっとこの村で暮らしたいとも思えないの。」

今までとは違い本気なんだと二人にわかってもらうために冗談なんて混ぜずに真剣に話す。


真剣に話す私を見て鬼パパはフーって息を吐きながら、

「ミーアちゃんが本気なのはずっとわかっていたよ。心配なのは変わらない。でもその気持ちを応援するよ。」

今まで冗談だと思われていたけど、私の気持ちをわかってくれてたんだ。


「わーん!ありがとー!」

と涙を流しながら気持ちを伝える。

「わーん!寂しいよー!」

鬼パパも負けずと涙を流すが、流す量が滝の量である。


「やれやれ、そんなんで街に行ってうまくいくのかね。」

一人冷静な姉がわんわんと泣く二人の姿を見ながら熊鍋を食べていた。






次の朝、簡単な荷物だけカバンに詰めて村を出る。

カバンと言っても豹の皮を繋げたものだ。

これが鬼族の流行らしい。


「もし人間に嫌なことされたらすぐ帰ってくるんだよ!鬼族総出で街まるごと滅ぼすから!」

「鬼パパが言うとシャレに聞こえないんだけど。」

私は顔を引きつりながら、でもありがとう。とお礼を告げた。



別れの挨拶もそこそこに私は昨日歩いた道を思い出しながら、タンタンと軽やかに大樹の隙間を歩いていく。

昨日は怒りに任せて歩いていたが、今日は全く真逆の気持ちだ。

これから楽しくてオシャレな街での生活が待っている!


ワクワクしながら昨日より足早に歩いているとすぐにあの遺跡にたどり着いた。


「着いたー!」

両手両足を目一杯広げて目的地に着いた喜びを表す。


遺跡の周りをキョロキョロと見渡すと、昨日倒れている彼らを横にしていた大樹を見つける。

その大樹のそばまで近寄るが周りに人の気配は全くない。


「フィン、あの後帰れたんだ。」

その場にいないと言うことは倒れていた3人とも目を覚まして4人で歩いて行ったということ。

「無事に森を抜けられていると良いけど。」

その場にいない彼の心配をするが、森の静けさの中私は気付いてしまう。


「あれ、もしかして、私、いつ会うか約束していない?」


がーん!!


そうだ!あの時街に行くって約束をしたけど、いつどこで会うか約束していないわ!

どこではまあ、ここしかないだろうし、ここにいるしかないか。


でもいつ戻ってくるのだろうか。

一度街に戻ってあの毒蛇から薬を作ってまた戻ってくる?

それってどれくらい?


うわー!わたしのばかー!!


せっかく街に行ける千載一遇のチャンスを。。

その場に膝をつきあからさまにダメージを受ける。


まだ時間がかかりそうなら一度村に戻っても良いけど。

村に戻っている間にフィンがきちゃったら?


それならずっとここにいるしかない。


「うう。仕方ない、か。」

私は自分がしてしまったミスを後悔しつつもそれしかないとどうにか自分を納得させるのだった。


「きっと来てくれるわ。それまで気長に待ってよう。」

幸い沢も近くにあるし、村の近くよりは強い魔物もいないし、のんびり待って居よう。


そう考えると大樹に腰を下ろしていつ来るかもわからない人間の彼のことを待つのだった。


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