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5 約束

蛇を瓶に詰め終えたフィンがこちらに駆け寄ったかと思ったらギュッと私を抱きしめた。

「ありがとう!ミーア!」

私は突然のことに声が出なくなる。


「君は命の恩人さ。今は何もできないけれど必ずお礼をさせてくれ。」

ギューッと私の体を抱きしめる彼に対して私は混乱していまう。


「い、いいのよ!特別なことはしていないし。」

グイっと肩を押して今度は真正面で向き合う。


「ダメ、お礼をしなければ僕の気が済まないよ。」

そこだけは譲れないと意志を明確にだす。


男の人に抱きしめられた経験がない私はワタワタしながら

「じゃ、じゃあ今度街ですいいつを食べさせてほしい!」

ドキドキする気持ちを抑えながら私は思わず叫ぶ。


「すいいつ?そういえばミーアは街の話を聞きたいと言っていたね。」


「そ、そうなの!私ね、街でオシャレなことをしみたいの!すいいつってキラキラした食べ物を食べたり、こんなトラ柄の洋服じゃなくて可愛い洋服も着てみたい!」

ずっと憧れていたことを口にしてみる。

鬼族のみんなにはいつも馬鹿にされていたことだ。


「いいよ。スイーツ食べよう。」

フィンは笑顔で答えてくれた。


「い、いいの?」

「もちろん。」

尚も変わらず笑顔で答えてくれることにジーンと嬉しさがこみ上げる。

ずっとずっと夢見てきたことなのだ。

でも誰にも理解されなかった。

フィンはわかってくれた、それだけで私はすごく嬉しいんだ。


「あ、あとね!王子様と恋愛もしてみたいの!」

ついでに思い出した夢物語も話してみる。


「お、王子様?」


「そう!人間の本で王子様と結ばれるシーンがある話をいくつか読んでね、私もこんな素敵な恋愛してみたい!って憧れたの!」

私はキラキラした目で両手を胸の前に組みながら話す。


「うーん、王子様もそんな良いものじゃないよ。」

フィンは大樹の下で横になっている人物を横目に見ながら話す。


「僕王宮で薬師をしていてね、王族の人とも話したことあるけれど、やっぱり現実と物語は違うかなって感じることがいっぱいさ。」


「フィンってお城で働いているの?!すごい!」

自分の夢の一つを否定されたことよりも彼がお城で働いている事実のが気になってしまう。

お城ってなんて素敵な響きなんだろう。

やっぱり街に行ってみたい。


「お城と言っても僕は薬の研究室にいるからね、ミーアが思い描く華やかな世界とは少し違うかな。」

苦笑いをしながら答えるフィン。


「王子様との恋愛は叶えてあげられないけど、さっき話したスイーツは約束するよ。ぜひ僕にお礼をさせて欲しい。」

改めてフィンは私と約束してくれた。

人間の男性と約束した。

その事実だけでなんだか嬉しくなってしまって自然と笑顔になる。


その後も他愛のない会話をしていると、フィンのお友達たちが少し動き始める。

「どうやら意識を取り戻したみたいですね。」

フィンがお友達のそばに寄って話しかける。


「うーん。。」

その倒れている中で青い髪をしているおかっぱ頭の人が目を覚まそうとした瞬間。


遠くの方でズシーンズシーンと地響きが聞こえる始める。

人間にとってはまだうんと遠いので、耳の良い鬼族の私しか気づいていない。


私は冷や汗をかく。

そう、この地響きは鬼パパの足音!

きっと娘のことが心配になって探しにでも来たのだろう。


あんな山のように大きな鬼を見たらフィンもさすがにひいてしまうかもしれない。

絶対に見られたくない!


「ごめんフィン!急用を思いしちゃったから私もう行くね!」

先ほどまでのんびりと会話していたのに急に慌てだすミーアの様子に驚くフィン。


「そうなんだ、用事があったのに僕たちのためにありがとう。今度必ずお礼をさせて。」

今にも眼を覚ましそうな青い髪の青年を抱きかかえながらフィンが答える。


「うん!今度街に連れて行ってね!」

地響きの音がどんどん大きくなることに焦った私は話もそこそこに足早にその場を離れるのだった。

後ろでフィンが焦ったように私に話しかけるのも見ないふりをして。



駆け足でその場を離れていく私は、焦るあまり大変なミスをしたことにあとで気付くのだ。



そう、いつ会うのか約束し忘れたのだ。



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