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38 招待状

「ミーちゃんの望みって?」

私の答えを即すように聞いてくるエイリーク。


「あのね。私、お城の舞踏会っていうものに出てみたいの。」

絵本に描いてあった舞踏会。

カッコいい王子様と一緒にホールでくるくると踊る様子が書かれていた。

私も出てみたい。

踊るのは難しそうだけど、その場の雰囲気を味わうだけでも良い。

私が叶えたかった夢の一つだ。


「なーんだそんなことか。簡単だよ。その内私の王太子即位を発表する場がある。そこでこの国の有力貴族たちを集めて夜会をするつもりだからその場に招待しよう。」

「ええ!こんな簡単に叶っちゃうのね。」

たぶんエイリークなら叶えてくれるとは思ったけど、想像以上に簡単にいいよって言われたので驚いてしまった。


「本当はミーアちゃん主体のパーティでもいいくらいだけど、それは嫌なんだよね?」

「それは嫌!私はそんなに目立ちたくないから、パーティの隅っこにいるくらいでいいから。」

私主体だなんて、正体がいつばれるかもわからないのに無理無理。


「残念だね。君の能力は国が保証してもいいくらいなのに。」

残念そうに言うエイリーク。


「ミーアは自由に生きるから良いんですよ。国の物にすべきではありません。」

フィンが私の好きなようにすべきですと言ってくれる。

フィンはいつでも私のことを考えてくれるから好きだ。


「わかっているさ。そこは無理強いしないよ。じゃあミーアちゃん。舞踏会の詳細がわかったら招待状を送るから、フィンとパートナーとして一緒に出席してね。」

「パートナー?」


パートナーとはなにか?

一緒に出る人ってことかな?


「パートナーとは、夜会や舞踏会に出席する際に一緒に同伴する者のことです。大抵は婚約者が務める者ですが。」

とエイリークの横で彼を警備しているダニエルが教えてくれる。


婚約者。


私とフィンが?



フィンと私が結婚式を挙げているところを想像して顔がボン!っと赤くなる。


「ミーアちゃん顔真っ赤だよ可愛いー!」

「エイリーク王子!茶化さない方がいいですよ。」

リーヤがあわあわしながらもエイリークをたしなめてくれる。


「じゃあそろそろいいですか?これ以上ミーアをエイリーク王子の玩具にされたくなので僕たちは行きますね。」

顔が真っ赤のままの私をフィンが部屋の外に連れて行こうとする。

エイリークから見えないようにしているように感じるのは気のせいかしら。


フィンが足早に歩くものだから私たちはエイリーク達に別れの挨拶もそこそこに部屋を出てしまった。


バタン。


「エイリーク王子。あんまりフィンをからかうのを止めてください。」

「からかう?」

「ミーアのこと。結婚だとかふざけすぎですよ。」


「ふざけてるつもりはなかったんだけどな。」



部屋の中の会話は私たちには聞こえない。


そのまま私たちはお城を出てお家に帰るのだった。

憧れだったお城ではまさかの体験の連続ではあったが。

フィンの友達であるエイリーク、ダニエル、リーヤと仲良く出来たことは嬉しかった。


好きな人の友人と仲良く出来るって嬉しいことなんだ。

私は初めてのことがいっぱいで楽しい気持ちになる。


例えフィンが私を好きじゃなくてもいいんだ。

私はフィンが一緒にいてくれるだけでいい。



でも。



もしフィンに好きな人が出来たら?


もう一緒にはいてくれなくなるのかな。



私はなんとなく思ってしまったことで悩みながらも日々を過ごした。

そしてエイリークの宣言通り、お城で開かれる舞踏会への招待状が届いた。


「まあミーアちゃん。舞踏会に行くの?いいわねえ」

「マールおばあちゃんは行ったことないの?」


「うーん。一度貴族のお家にお呼ばれしたことはあるけれど。お城で行われるような派手な舞踏会はないわねえ。」

「え。普通は行かないものなの?」


「行かないというか、行けないが正しいかしら。お城に呼ばれる人なんてお貴族様くらいだからね。後はお城に勤めている人たちとかかしらね。あ、だから私の息子や孫のフィンは行ったことあると思うよ。」

「そ、そうなんだ。」

気軽にお願いしたことをちょっぴり後悔してしまった。

そんな場にただの庶民である私が行っていいものなのか。


そもそもこの町の住民に最近なったばかりでもあるのに。

マナーだってまだよくわかっていない。


最近王子様と仲良くなって麻痺していたけど、王宮にお呼ばれするってことはそういうことだ。

貴族たちの中で浮く自分が想像できる。



ああどうしよう、ずーん、と舞踏会の日まで落ち込んでいた。



「ミーア。迎えにきたよ。」

舞踏会の朝、またフィンが迎えに来てくれた。


「フィン。私。よく考えたら場違いなのではって不安で不安で。」

私はここ数日ずっと悩んでいたことを離した。

フィンは私の話を真剣に聞いてくれた。


「大丈夫。僕がずっとそばにいるから。一緒に楽しもう。」

笑顔で私に話しかけてくれる。

不思議だ。

フィンに話しかけられると不安だった気持ちが一瞬でどこか行ってしまう。


フィンとずっと一緒にいたい。

私は自分の気持ちを抑えられないかも、と思ってしまった。


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