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33 作戦会議

「はい、ミーアちゃん。あーん。」

エイリークが自分のケーキにフォークに差してから、その刺さっている一口サイズのケーキを私の前に差し出す。


「え、え。」

私はその差し出されたケーキをどうしようかと悩んでいると。


「ミーアちゃん。これも敵に見られているから。ちゃんと恋人同士のふりをしなくちゃ。」

「そ、そうね。あ、あーん。」

私はエイリークに言われた通りに口を開けてそのケーキをパクリと食べる。


「よくできました。」

満面の笑みで私を褒めてくれるエイリーク。

「これで本当に大丈夫なの?」

私はエイリークにだけ聞こえるような小声でコソコソと話す。


「だーいじょうぶ。だからもっと仲の良い恋人のように振る舞おう。フィンがやきもち焼いちゃうくらい。」


いったい私たちは何をやっているのか。

この大通り沿いのカフェテリアのテラス席で。





「ではこれから作戦を言う。」

あのひと騒動から少したった後、またお城に呼び出された私とフィンはエイリークの部屋にいる。


「あの刺客はどうなったのですか?」

フィンがまず一番気になったことを聞いてみる。


「あの刺客はな。通常の牢屋とは違うところに幽閉している。」

「違う牢屋?」

何故そんなことをするのだろうと疑問に思った。


「そもそも今回の毒殺未遂事件だが。あの場で毒殺しようとしたのは、恐らくミーアちゃんを犯人に仕立て上げようとしたのではないかと思っている。」

「わ、わたし?!」

何故そこで私の名前が出てくるのか。


「以前にあった賊に襲われた毒殺未遂事件の後、私は極力人と会わないようにしていた。事件の首謀者を捕まえていないから、また同じように狙われるのではないかと思ってね。」

確かに。アーノルト王太子が犯人であれば、またいつどこで狙われるかなんてわからない。


「そんな中、身分も保証されない名も知れない少女が同席している場で毒殺されてみろ。向こうは仮にも第一王子。自分の権力を使ってあの手この手で犯人に仕立て上げられるぞ。」

「そんな。私がエイリークを殺した犯人になるところだったの?」

怖い。

私はそんなことに巻き込まれそうになっていただなんて。

鬼パパが言っていたことはこういうことなんだ。

力ではない、人間はずる賢い生き物だって。

私は今までにない恐怖に出会ったことに少し震えてしまった。


「ミーア。ごめんね。こんなことに巻き込んでしまって。」

フィンは優しく抱きしめてくれる。

その優しさはいつも私を包み込んで幸せにしてくれる。


そうだ。

私はこの幸せを守りたいんだ。

ここで私がしり込みしてしまっても、エイリークやフィン、周囲の人間は危険に晒されたままだ。


最強だろ私!

逃げるな!


「フィン。大丈夫。私に出来ることがあるなら手伝いたい。皆を守りたい。」

フィンのためにも。


「ミーア。」

彼は私を優しく抱きしめながらなおも心配しているという目で見つめてくる。

その優しさに私は勘違いしそうになってしまう。


パン!

乾いた音が響く。

エイリークが手を叩いた音だ。

「イチャイチャするのはその辺にして。」

イチャイチャなんてしてない!って私は顔を真っ赤になりながら反論するが、エイリークはスルーしながら話し始める。


「あの時紅茶が冷めた時に飲んでいたら、あの刺客はもう手の届かない場所まで逃げていただろう。そうしていたらもう終わりだった。ミーアちゃんのファインプレイだね。」

「そ、そんな。私は緊張のあまり耳に説明が入ってこなくて。」

極度の緊張状態からあの時どうしてあのような行動をしようと思ったか。

自分でもわからないが、結果的には良い結果になったのだから良しとしよう。


「まあ、どうしてミーアちゃんにはあの毒がまったく効かなかったって疑問は湧くが。」

「う!」

ずいっと身を乗り出して私の顔に自身の顔を思いっきり近づける。


そうだ、最大の疑問点。

私はあの普通の解毒剤では治せない毒薬が全く効かなかったのだ。

それは鬼族だからってネタバレすればなんてことない種明かしなのだが。

何せ夕飯にベネトスネイクの蒲焼をむしゃむしゃ食べるのなんて鬼族くらいだ。


それはエイリークでも言えない。

それならば、普通の人間には耐えられないあの毒をどうやって対処出来たのか。


私がどうしようと汗をダラダラ流していると。


「ミーアは小さい頃から森の中で修業していて。その時から野草を定期的に摂取することで長い年月をかけて毒に対する耐性を身に着けることが出来たのです。」

フィンは私の肩に手を置きながらスラスラと説明する。


す、すごい。フィン。

聞かれると思って事前に準備してきたのかしら。


「ふーん。」

ジロジロと私を見るエイリークに生きた心地がしない私。


「まあいい。ここでミーアちゃんの素性を問い詰めて、ミーアちゃんに逃げられでもしたらそっちの方が損だからな。そういうことにしておこう。」

エイリークは私からようやく目線を逸らす。


あ、危なかったー。

私は冷や汗とともに、これからエイリークが話す作戦の説明を聞くことにした。



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