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31 刺客

「あ、エイリーク。この紅茶毒が入っているから飲まない方がいいわよ。」


私の感想と共にみんなはその場で固まってしまった。

私の発言は耳には届いているはずだけど。


言っている意味がわからないようだった。


誰もが発言せずに固まっている中、一番早く反応したのは執事服を着た給仕の人だった。

私の紅茶を注いだ後、今はエイリークのカップに紅茶を注ごうとしているポーズで止まっていた。


彼はその場に紅茶を注ごうとしていたポッドを捨て置き、扉の方に走り出す。

その際に適当に置いたポッドが落ちた際に鳴ったガチャンという音で皆も正気に戻る。


この間は本当に一瞬だったけれど、何故か長い時間に感じた。


正気に戻ったエイリークは、立ち上がるやいなや、

「その者を捕らえろ!」

と叫ぶのと同時にダニエルとフィンが走り出す。


リーヤは戦闘面はポンコツと言われてただけあってその場であわあわしているだけだった。


エイリークが指示を出すまで一瞬ではあったが、相手もこんなところまで潜り込めるくらいの手練れ。

追い付かれずにもう扉に差し掛かろうとしていた。


私はテーブルの横に置かれていた銀色のワゴンに手を伸ばす。

これはあの執事がティーセットを乗せてきたワゴンだ。


まだ使われていなかった白くて丸いお皿を一つ手に取る。

そしてそのお皿を右手で持ち、一旦左肩まで振りかぶった後にその執事めがけて投げつける。


フリスビーを投げる用法で投げ出されたお皿は綺麗に執事の頭に直撃する。


パリーン!


直撃すると同時にお皿は粉々に砕け散る。


「おわ!」

その衝撃で執事は足をもつれる。

その瞬間を逃さないようにダニエルとフィンが追い付く。


執事は逃げ切ることは出来ないと悟ったのか。

急に振り返り、捕まえようとしていたダニエルとフィンの不意をつく。

彼らの間をかいくぐり、テーブル近くに立っていたエイリークに向かって走り出す。


不意をつかれたとしてもダニエルは王子付きの騎士だ。

それを欺きかいくぐれるのは相当この人が手練れと言うこと。

部屋の中に緊張感が走る。


「第二王子!覚悟!!」

執事が隠し持っていたナイフを取り出してエイリークに襲い掛かろうとした時。

彼らは以前賊に襲われた際に侵された毒を思い出してしまう。

もう同じ過ちはしたくない、ダニエルとフィンがエイリークに手を差し伸べながら向かって走り出す。



エイリークが倒れてしまったらまたフィンが悲しむ。



もうフィンのことを悲しませない。



私が守って見せる!



その執事が王子に近寄ってきた瞬間。

私は目の前にあるテーブルを掴んで大きく振りかぶる。


そしてその執事が一番近づいてきたタイミングで、


「鬼!ハエ叩き!!」

ゴシャ!!


思いっきり上から下に叩きつける!



これは鬼姉が小さい虫を捕まえるのが苦手で、ならテーブルの面で叩き潰せばいいじゃない、と考案した技だ。

ご飯を食べている時にいきなりやるものだから、やったと同時にテーブルにのっているものをどかさないといけないからこちらも反射神経を問われるから困ったもんだった。



テーブルの下に叩きつけられた執事はモゴモゴしている。

気絶するくらいには力を抑えたけれど、これでまだ意識があるだなんて。


私は人間が死なない程度に力を抑えるように普段から練習していた。

本気でやったら死んでしまうからだ。


だから死なないように気をつけたけれど、それを差し引いてもまだ意識を保っていることに驚いた。

私が驚いている隙を狙って、その執事はテーブルをどかしてなおもめげずにエイリークに近寄ろうとする。


「お前を殺さないと俺が殺される!死んでくれ!!」

けれど叩きつけられたことにより体はボロボロになっているため動きは先ほどより鈍っていた。

私はそのナイフを持っている手を簡単に掴む。


エイリークが立っているところに、ナイフを顔に向かって差し出しているところを、私が手首を掴むことによって固まってしまった。


「てめえ!この女!離しやがれ!!」

私に向かって恫喝する。

右手を掴まれているので、左手で私の手を離そうと奮闘する。

けれど私の手は離れない。


「な、なんだこいつ!この馬鹿力!」


「だれが馬鹿力よ!失礼しちゃうわね!」

私は手首を掴んでいた手にギュッと力をこめる。


「ぎゃー!痛い!痛い!折れる!!」

ぎゃーぎゃー騒ぎながら痛みによって手に持っていたナイフをその場に落とす。


エイリークは落ちたナイフを蹴って遠くに飛ばす。


「す、涼しい顔ですごいことされますね。」

リーヤは私の行動に驚いている。


「さあて。この賊。どうするかな。」


私が捕まえている執事を上から下までジックリと嘗め回した後。

エイリークはその綺麗な顔を悪役のようにニヤリとしたのだった。


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