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30 紅茶

とにかく緊張はしていたが、まずはお互い落ち着いて話そうということで部屋の中にあるテーブルにつくことにした。


ま、まさかフィンの友人が王子様だったなんて。

しかも子供の頃夢見ていた王子様そのものじゃない。


こんなの緊張するなって方が無理だわ!


私は一人で混乱していると、エイリークは席について改めて紹介をしてきた。


「私は第二王子で。横にいる騎士は私付きの従者でダニエルだ。そこのポンコツ執事も私付きの従者でリーヤ。そしてミーアちゃんと既に仲良くしているフィン。皆仕事仲間ではなく私の大事な友人だち思っているよ。」

一人一人紹介されるたびに私はどうも、と頭を下げていた。


「あの、私からもお礼を申し上げてよろしいでしょうか。」

王子付きの騎士であるダニエルが席に座っている私に一歩近づいてきた。


「は、はい。」

私はこれ以上驚かすのは止めて欲しいなと身構えてしまう。


「私が毒に倒れている間に、エイリーク王子達が危険な行動に出ていたと意識を取り戻してから知りました。危うく命を落としかけたとも。それを救って頂いたミーア殿には感謝してもしきれません。私からもお礼を言わせてください。」

そう言うとダニエルはその場で大きく頭を下げてありがとうございます。とお礼を述べてくれた。


「わ、私だって!私だって森の中に王子達と一緒に行きたかったのですが、戦闘に関してはポンコツで逆に皆さんの足手まといになると思い参加は出来なかったのですが。」

「戦闘以外もポンコツだけどな。」

王子!とダニエルにたしなめられるエイリークはこの場ではあまり王子様に見えない。


「私はダニエルの傍で皆さんの帰りを待つことにしたのですが。本当に気が気ではありませんでした。森の中のどんな魔物に襲われるかもわからない中、無事に帰還してくれた事本当に嬉しかったです。ミーアさん、皆さんを助けれくれてありがとうございます。」

リーヤも大きく頭を下げてお礼を言ってくる。


私、本当に大したことはしていないのに。

こんなに皆から感謝されてしまいどうすればいいのかわからなくなってしまう。


「ミーア。ミーアにとっては大したことないことかもしれないけれど、僕たちからしたら本当に感謝しているんだ。かしこまらずに、この気持ちを受け取ってくれないか。」

フィンは私が困っていることを気付いてくれてさり気なくサポートしてくれる。

彼のこの優しさが私は好きだなと再確認したところで、確かに謙遜し過ぎても堂々巡りになってしまうと思った。


「ええ、みんなが助かったのが私も嬉しかったわ。このような場は私には相応しくないかもだけど、それでも嬉しいです。」

私はみんなの気持ちを素直に受け取ることにした。


「うん。しかし一つ疑問なのだが。ミーアちゃんみたいな可愛い女の子がどうやってあの石のゴーレムを倒したんだ?」


ギク!


絶対に聞かれると思ってた質問が来たわ!


ええと。

「私ハ元々森ノ中デ魔物ヲ倒シタリシテ体ヲ鍛エテイタンダケド。アノ日タマタマ通リスガッタラフィンニ会ッタノ。石ノゴーレムハ4人トノ戦闘デボロボロニナッテイタカラ、私ハトドメヲ刺シタダケナノヨ。」

私はフィンと考えたストーリーを一語一句間違えないようになぞって言う。

石のゴーレムを一人でボコボコにするのはやはり不思議に思われてしまうため、既に最大限に体力が削られていたって設定にした。


「既にボロボロになっていた?そうだったか?我々は手も足も出なかったように思ったが。」

勘の鋭さはやはり王族だからか。

私はバレないかドキドキしていた。


「ええ、エイリーク王子達の攻撃は効いていないように見えていただけで、実際には石のゴーレムは虫の息まで追いつめていたんです。」

フィンは笑顔を張り付けながらスラスラと嘘を言う。


フィン、すごい。

私はもう口から心臓が飛び出そうだよ。


「ふーん。」

じろりと私たちを怪しむ目で見ていた時だった。


コンコン。


またこの部屋に別の来訪者が来たようだ。

どうやら私をもてなすためのお茶会の準備みたい。

リーヤとはまた別の執事服を着た男性が銀色のワゴンにティーセットを乗せて入ってくる。


私は先ほどの説明がうまくいったのか心配していた。

目の前にいる王子様がじーっとこっちを見てくるので気が気ではない。

心臓がバクバクしていて周りの声があんまり耳に入ってこない。


給仕の人がテーブルの真ん中にシフォンケーキみたいなものを置いた後に、私たちの前にティーカップを置く。

ティーポットから紅茶を注ぎながら、

「この紅茶は南の特産品でございます。暑い地方が紅茶を飲むために作ったものですので、冷ましてから飲むとより一層香りが引き立つのが特徴です。少し時間を置いてからお飲みください。」

そう言いながらまずは私のカップから赤い紅茶を注いでいく。


しかし私の耳には何も入ってこない。

憧れの王子様がいること、慣れないマナーを気を付けること、鬼族だってバレないこと。

様々なことが私を緊張の崖に突き落とした結果パニック状態なった私は自分でも何を思ったのか。


目の前のティーカップをガシッと力強く掴んで、


「グビグビグビ!」


と一気飲みしてしまったのだ。

まだ王子様のティーカップに注いでいる途中なのに。


皆一様に驚いてこちらを見ている。


そして紅茶を飲んだ私はカップをテーブルの上に置いて、


「あ、エイリーク。この紅茶毒が入っているから飲まない方がいいわよ。」


と紅茶を飲んだ感想を素直に告げるのだった。


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