表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
25/40

25 馬車

待ち合わせの当日、私は朝から身支度をしていた。


フィンのお友達に会うんだから、ちゃんとしないとね。


私はいつもより念入りに鏡と向き合いながら髪をブラッシングしていた。

「よし。」

鏡に映る自分を見て一度気合を入れてから部屋を出る。


リビングにはいつものようにマールおばあちゃんがいた。

「マールおばあちゃん、今日はお店手伝えなくてごめんね。」

私は今日お出かけすることによって食堂のお手伝いが出来ないことを謝った。


「いいんだよ。ミーアちゃんのおかげで従業員も増えたしね。」


当初従業員が雇えなかった食堂だが、最近お客さんがみるみる増えたことにより売り上げが上がってもう一人雇うことが出来たのだ。

その人はなんとキッチンで料理もしてくれるので、ウエイターと両立してくれる超優良物件だ。


「本当にミーアちゃんのおかげで良いことばかり起きちゃうね。もしかしてミーアちゃんは座敷童かなにかなのかしら。」

ふふって笑いながら話すマールおばあちゃん。


実際には座敷童ではなく鬼なんだけどね。


カランコロン。

「ミーアいるー?」


「あ、はーい。」

食堂の入り口の鐘が鳴るのと同時にフィンが私に声をかける。


「じゃあマールおばあちゃん行ってきます!」

「ああ、楽しんでおいで。」

私はマールおばあちゃんに挨拶をした後、元気にフィンがいる食堂への扉を開ける。


「フィン、お待たせ。今日はよろしくね。」

「こちらこそ。変なことに突き合わせてごめんね。行こうか。」


フィンを見るとなんだかいつもよりフォーマル?な恰好をしている。

普段街歩きする時もちゃんとした格好なんだけど、どこかラフな感じはしていたのに。


今日はどこか貴族のような気品さを感じる。


「じゃあこの馬車に乗っていくから。」


「え、馬車?」

食堂を出た先には馬車が一台待機していた。

馬車はよく城下町など走っていたが、個人的な馬車の中にいるのは貴族など高貴な身分の人が多い。

庶民は乗り合いの大きめの馬車に乗るので、フィンと少し遠くにお出かけする時は乗り合いの馬車に乗っていた。

あれお出かけ感があって楽しいんだよねー。なんて思い出にどっぷりつかってしまう前に現実と向き合う。


「この馬車どうしたの?」

「これから行くところにはこの馬車じゃないといけないんだ。ごめん、とりあえず乗ってもらえるかな。」

そう言われたらとりあえず乗るしかない。

乗り込む時に馬車に付いている紋章を見て、どこかで見たよなー?なんて疑問が湧いたけれど、フィンがお手をどうぞってエスコートしてくれたことに頭がいっぱいになってしまって紋章のことは忘れてしまうのだった。


私たちが乗り込むと、フィンが御者の人にお願いします、と声をかけて馬車が走り出した。

よくわからないけれど、フィンの友達が手配してくれたのかしら?

この馬車一台を手配するのにいくらかかったんだろう。

私にお礼なんてことのために申し訳ないことをさせてしまった。


私が心の中で反省している間に目的地へと着いたみたい。


そんなに遠くなかったわね。


馬車から降りる時も、フィンが先に降りて、また手を添えてくれた。

それが格好良すぎてその場で何度も上り下りしたくなっってしまう。


「ここがフィンのお友達のお家なの?」

私は降りた先にある目の前の建物を凝視した。


ここって。


高級ブティック?


フィンのお友達のお店?なのかしら。


「ここでミーアの洋服を用意しようと思って。」

「え?洋服?」

私は今着ている洋服を見る。

フィンに買ってもらったワンピースだからそんなにみすぼらしいことはないと思うけど。


確かにフィンも今日はちゃんとした格好だからこれでは失礼に当たるのかしら。


「来て、ミーア。」

「う、うん。」

フィンは私の手を取ってその高級ブティックの中に入る。


中にはたくさんの綺麗な洋服がずらりと並んでいる。

洋服だけではなく、アクセサリーやシューズなどキラキラしたもので埋め尽くされている。


「わあ、素敵。」

町に住んでから洋服屋さんには一人でも何度か行ったが、こんな高級なお店には来たことがない。


「よし、じゃあミーアの好きな服を選んでいいよ。」

「え、え?」

私は戸惑うだけだった。

だって今日はフィンのお友達に会うって約束だったはず。


それなのになんでこんな高級ブティックで私のお買い物をしているのだろう?

疑問の顔をフィンに向けると。


「そんな怪しむ顔しないでよ。」

フィンは、はははって笑い出す始末。

「もう!フィン!」

最近のフィンはわざと私を困らせて楽しんでいる風にも見える。


「ごめん、ごめん。ミーアって本当に可愛いね。」

可愛いって言えば私がなんでも許すって思ったらお門違いよ。


まあ、実際は許しちゃうんだけどさ。


「実は僕の友人は貴族でね、会うのにいつもよりは正装で行かないといけないんだよ。このお店で売っているものなら大丈夫だから、この中からミーアの好きなものを選んで。」

選んでって言われても、馬車を手配されていた時点でお金持ちなのかなって思っていたけれど。


予想通り貴族様だったか。


フィンのお友達に会うってだけのつもりだったのに、なんだか自体は私が思うよりも大事になっているのでは?

とこの時私は少し不安に思うのだった。



「面白い!」「続きを読みたい!」など思った方は、ぜひブックマーク、下の評価を5つ星よろしくお願いします! して頂けると作者大変喜びます! ぜひよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ