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「それでどうなったの?」

私はマールおばあちゃんの話と森で会った時のフィンとがかぶってしまい、早く結末を知りたくなってしまった。


「。。。悲しい結果だけどね、なんとか目当ての薬草は見つかったんだけど、森の中の帰り道で強い魔物と遭遇してしまったみたいでね。その時同行していた仲間をかばって亡くなってしまったんだよ。」

話すことも辛いだろうに、マールおばあちゃんは静かなトーンで淡々と説明してくれる。


「持ち帰れた薬草で治療薬はまた生産出来たんだけど、フィンの母親はその時にはもう手遅れになってしまっていたんだ。」


「そんな。。」

私は言葉を失ってしまった。


「両親を同時に亡くしてしまったフィンはすごくふさぎ込んでしまってね。まあ当然だよね。齢10歳の子には受け止められる現実ではなかったよ。」


私はその時のフィンのことを思い、涙をポロポロ流してしまう。


「泣いてくれるんだね。ミーアちゃん、やっぱり貴女は優しい子だよ。フィンのことも大切に思ってくれている。あの時もね、フィンのことを大切に思ってくれている友人がいたんだよ。」


「友人?」

私は涙を流しながらフィンが話していた聞き覚えのある友人とい単語に反応した。


「そう、引きこもってしまったフィンに毎日毎日扉越しに話しかけてくれてね。それが本当に毎日続くものだから、フィンの方が根負けしちゃったんだよね。それからは両親のような立派な薬師になるって頑張って勉強して、今や宣言通りに王宮で薬師をしているよ。」


「フィン、すごいね。」


「ああ、自慢の孫だよ。」

ニカって笑うマールおばあちゃんを見て、友人もそうだけどマールおばあちゃんの存在もきっとフィンの中で大きいんだろうなって思った。



「それでね、最近フィンの友人が倒れたって話は知っているよね?」

「うん。」

その話は私も途中から当事者みたいなものだから知っている。


「森に入る前に、なんとなくだけだけど話は聞いていたんだ。私はフィンの父親、私の息子のことを思い出してしまったんだ。」

私も話を聞いていて、とても似ていると感じていた。


「嫌なことが起こるんじゃないかって。帰ってきてくれた時は本当に安心したよ。後でフィンに聞いたんだけど、森で危ない目にあった時にミーアちゃんに助けられたんだって。」

鬼族だってことは伏せてくれているだろうけど、そこまで話していたんだ。


そういえば、森の中で会った時に、僕はいざという時役に立たないってすごく後悔している節があったわ。

あれは両親を助けられなかったことに対する自責の念だったのね。


こどものフィンに出来ることなんて限られているのに、フィンは子供の頃から優しくて責任感溢れる子だったんだ。


「あの子にとって、友人を救えたことがどれだけ嬉しかったか。どれだけ貴女に感謝しているか。両親の二の舞にならなかったこと、私からもお礼を言わせて欲しい。」


「そ、そんな、私は本当に大したことはしていないの。」

そこまでかしこまってお礼を言われることに慣れていない私は手を胸の前でブンブンと振る。


「ずっと薬の研究にしか興味なかったフィンがね、こんな可愛い女の子と仲良くお出かけしたりしているを見ると私はすごく嬉しいんだよ。フィンもようやく両親のことを乗り越えて、自分の幸せを考えてくれるようになったことに。」


「可愛い女の子って、フィンは優しいから世間知らずな私にいろいろ教えてくれてるだけだから!」

なんだか勘違いしているマールおばあちゃんの誤解を解こうとする。


「あら、フィンったらまだ気持ちを伝えていないのね。それじゃ私からこれ以上余計なことは言わない方がいいか。」

ふふって笑いながらよくわからないことを言うマールおばあちゃん。


「話に付き合ってくれてありがとう。フィンがミーアちゃんにすごく感謝しているってことを伝えたかったの。もちろん私もね。このままうちの子になって欲しいくらだよ。」

笑顔でそう言ってくれるマールおばあちゃんに私こそ大変感謝している。

ここで住まわせてくれていなかったら、働かせてもらえてなかったら、こんなに毎日幸せに暮らせてなかったかもしれない。


「私だってフィンに感謝している。ううん、私の方が感謝の気持ち大きいよ。マールおばあちゃんにも。恩返ししたいんだ。」


フィンのことが好きだから。


フィンが喜ぶことがしたい。


フィンのために何かしたい。



「私が出来ることならなんでもするよ!」


マールおばあちゃんとの話はここで終わり、私は自分の部屋へ戻っていった。

部屋の中にあるベットにボフッと倒れこむ。


フィンのために何が出来るか。


まだわからないけれど。


「とりあえず、週末にフィンのお友達に会うことを頑張ろう。」


それがまずフィンへの恩返しの一歩だ、と思いながら就寝の準備を始めるのだった。


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