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23 流行り病

ミーア視点に戻ります。

「じゃあ週末、約束の時間になったら迎えに来るよ。」


「わかったわ。」

その私にお礼をしたいって言うフィンの友人に会うための待ち合わせを取り決めして今日はお別れした。


最後まで何故かフィンは断ってくれても良いんだからねって念を押してきた。

フィン自体は会わせたくないのかしら?

会わせたくないのか会わせたいのかよくわからなかったけど、とりあえず約束はしたので私は言われた通りにするだけだ。


フィンを食堂の玄関でお見送りした私は自分の部屋に帰ろうと振り返った時だった。


「ミーアちゃん、ちょっといい?」

振り返るとマールおばあちゃんが立って私に話しかけてきた。

先ほどフィンとお話したばかりなのだが、今度は何だろう?と次はマールおばあちゃんとリビングに入る。


二人で暮らしているのでリビングのテーブルに着いている椅子も、お互い座る位置が決まっている。

お互いの定位置に着いて、向かい合って座る。


「マールおばあちゃんどうしたの?」

リビングに入って席に着くなり私は質問してみた。


「ごめんね、さっきフィンと話してたばかりなのに。疲れてないかい?」

「ぜーんぜん!まだまだ働けるくらいよ!」

私は右腕の力こぶを出してアピールする。

鬼族は1週間狩に出掛ける時もあるくらい元気いっぱい種族なのだ。


「ふふ、ミーアちゃんって不思議な子ね。こっちまで元気をもらえちゃうわ。きっとフィンもそういうところに惹かれたのね。」

マールおばあちゃんが元気になってくれるのはいい事だけど、フィンが惹かれるとはどういうことだろう?

フィンはいつでも誰にでも優しい人だけど。


「実は話したいことってのは、そのフィンのことなんだ。」


「フィンのこと?」

改まってフィンの何を話すのだろう?と私はマールおばあちゃんの話を待った。


「しばらくミーアちゃんとフィンのことを見ていてね。二人はとっても信頼しあっているってのが見て取れたよ。そんなミーアちゃんに知っておいて欲しいことがあるんだ。」

「う、うん。」

なんだか気軽に話すような内容ではなさそうなので緊張してしまう。


「あの子の両親なんだけどね。」

「両親?」

つまりフィンのお父さんとお母さんってことか。

そう言えばあまり意識していなかったけど全然見かけないわね。


「私の息子とそのお嫁さん。フィンの両親はもう亡くなっているんだ。」


「え。」


私は思ってもみなかったことを言われて驚いてしまう。


なんて言葉を言えばいいのかわからず困っていると。


「ごめんね、急にこんな重い話をして。でもね、ミーアちゃんには聞いておいて欲しかったんだ。」

申し訳なさそうに謝りつつも、私の眼を見てハッキリと告げる。


「ううん。驚いたけど。フィンのことが知れて私は嬉しいよ。」

「そう言ってくれてありがとう。」


「聞いてもいいのかしら。どうして亡くなったのか。」

フィンの年齢を考えると何か理由があって亡くなったのはわかる。

私は一歩踏み込んで聞いてみた。


「ええ。私の息子は王宮の薬師長をやっていたの。私に似ずにすごい賢い子で自慢の息子だったわ。」

「薬師長!」

長ってことは一番偉い人ってことよね!それはすごいわ!


「王宮の研究室で一緒に働いていた人と結婚して、産まれたのがフィンなの。」

「へー。だからフィンも王宮の研究室で働いているのね。」


「うん、賢い両親に恵まれてフィンも同じようにとっても賢く育ったわ。私は鼻高々よ。」

ふふふって笑いながら言うマールおばあちゃんは本当に家族のことを愛しているのがわかる。


「フィンが10歳の時だったかな。王都で流行り病が広がってしまったの。」

「流行り病?」


「私は昔も今もこの街外れに住んでいるから被害にはあわなかったんだけどね。人が多い王都、城下町、市街地中心部ではそれは酷い有様だったわ。」

あんなにも華やかな街で昔はそんな酷いこともあったなんて、私は当時の様子を想像して悲しい気持ちになってしまう。


「フィンの両親は王宮の薬師であったから当然最前線で治療にあたっていたわ。けれど運悪く、母親の方が流行り病にかかってしまったの。」

「お母さんが。。」


「その治療薬の材料が足りなくて、魔物が出る森へと材料を取りに行くことになったんだけど。どの薬草かを調べるために薬師は必ず同行しないといけなかったから、薬師長でもあるフィンの父親が森に入ることになったんだ。」


あれ。


なんだか最近似たようなことがあったような。



私はマールおばあちゃんの話を聞きながら、最近友人のために森に入った薬師のことを思い出していた。

そう、出会った時のフィンのことだ。



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