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22 フィン マックベル③

「あっははは!」

先ほど一瞬静寂の間で包まれたこの執務室だが、今はエイリーク王子の笑い声で満ちている。


「だから言いたくなかったんだ。」

僕はこの王子がこのような態度を取ることは予想していた。

だから今までお茶を濁して言わないようにしていた。


「エイリーク王子。笑い過ぎですよ。」

流石にそろそろ止めないとと思ったダニエルがエイリーク王子をたしなめてくれた。


「だ、だって。フィンが、あのフィンがだぞ。今まで薬の研究にしか興味がなくて、割とモテるのに女の子からのアプローチも無視していたあのフィンが。」

まだお腹を抱えて笑いをこらえる仕草をしている。


「好きな子が王子様に惚れちゃうって心配して。。ぶは!」

あはははとまた大きな口を開いて笑い出す。


あんたそれでも一応王子様なんだから他の貴族みたいに綺麗に笑えよ。

王子様に夢見ている女の子が幻滅するだろ。


いや、ミーアに限っては幻滅してくれた方が都合が良いのだが。


ずっと大笑いしていたエイリーク王子だが、

「ちょっと待て!!」

急に真顔になり僕とダニエルは驚いて彼を凝視してしまう。


「今気づいたんだが。。」

神妙な面持ちで、重い雰囲気を出す彼に緊張していると。



「この前フィンのために、王族御用達のカフェを予約させられたのだが。もしかしてその女の子とのデートのためか?」

僕はもっと深刻な事を言うのかと思ったので一気に脱力してしまう。


「お前あの時、お祖母さんと一緒に行きたいからって言っていたよな?」

僕は何も言えず、一筋の汗をかいて、ふいッとエイリーク王子から目線を逸らす。


「デートだったのか!そうと知っていたら後からつけて覗き見したのに!」

エイリーク王子は親の死に目に会えなかったくらいの勢いで悔しがる。


「いやあんたがそう言うと思ったから言わなかったんですよ。」

もう自分の想像通り過ぎて呆れてしまう。


「そういえば、最近フィンが女の子と街歩きしてるのを見たって買い出しに行っているメイドが言っていたな。フィンのこと狙ってたからショックだって。」

ダニエルがこのタイミングで余計なことを言う。


「おい!なんでそんな面白そうなことを私に報告しなかったんだ!」

もう面白そうなことって隠しもせず言う彼に余計呆れてしまう。


「いやまさかあの研究一筋のフィンが女の子とデートだなんて信じられなくて。俺が寝込んでいる間にフィンも色々あったんだなー。」

うんうん、と我が子の成長を喜ぶみたいな態度をとるダニエルだが、彼とは同い年だったはず。


「しかし王子様と恋だなんて、そんな夢みたいなこと言うの子供くらいだぞ。」

エイリーク王子は一旦冷静になり、ミーアのことを聞いてきた。


「彼女は純粋なんですよ。」


実際王子様との結婚なんて本気で思う女の子なんていない。

子供の頃は絵本を読んで夢見るかもしれないが、ある程度の年齢になれば現実もわかってくる。

貴族の間でさえ、上位貴族くらいしか王族との婚姻を狙っていない。


その上位貴族の中では王子の婚約者の座を巡ってバチバチしているがそれはまた別の話。



僕が心配しているのは、ミーアがエイリーク王子を好きになってしまうこと。

怖いのは、エイリーク王子は面白いことが大好きだからミーアのことも好きになってしまう可能性もある。

普通は庶民と王族との結婚なんてありえないが。

あり得ないことを可能にしてしまう手腕を持っているのがこのエイリーク王子。


絶対に会わせたくない。


「よし!その女の子をお城に呼ぶことに決めたぞ!」

こうと決めたら絶対にひかない彼の悪い癖が出た。


「この前の毒殺未遂事件があるから私は安易には外に出れない。だから申し訳ないがお城に来てもらうことになる。が、フィンの気持ちも考慮して私が王子だと言うことは伏せよう。」

僕の気持ちに考慮するのなら会うこと自体取りやめて欲しいものだが、既にエンジン全開になっている彼を止めることは出来ないため余計なことを言うのは止める。


「王子と言うことを伏せるってことは親戚か何かってことにする感じですか?」

素直なダニエルは普通の疑問を投げかけている。


「そうだな、ダニエルの親戚ってことにしておくか。ダニエルの父君は騎士長だし、お城に呼び出す理由としてはなんとか言い訳になるだろう。」

悪知恵に関してはポンポン浮かぶその手腕に脱帽する。

出来ればその能力の高さは国政にだけに使用してもらいたいものだ。


「さあ!その女の子をお城に連れてこい!これは王子命令だぞフィン!」


右手を僕に突き付けて声高らかに宣言する。


お礼をしたいと言う理由から、僕の好きな子を見たいって言う好奇心に代わっていることにこの王子様は気付いているのだろうか。

僕は呆れながらも、ここぞと言う時に使ってくる王子命令に従わざるを得ないのだった。









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