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20 フィン マックベル①

※今回はフィン視点になります。

「フィン マックベル。第二王子がお呼びだ。」


王宮にある研究室で、いつものように同僚達と仕事をしていた時のことだった。

研究室の扉を叩いて入ってきた騎士が僕にそう告げた。


「みんなごめん。ちょっと抜けるね。」

僕は周囲にいる同僚に声をかける。


「いいよいいよ。第二王子もあんな事があって大変だろうし。友達であるフィンが支えてあげなよ。」

同僚の一人がそう言ってくれると、周囲の人たちもそうだよって賛同してくれる。

研究者は仕事がら落ち着いている人が多いけれど、優しい心持の良い人ばかりなので僕はこの職場が好きだった。


「ありがとう。なるべく早く戻るね。」

僕はみんなに聞こえるようにお礼を言うと、研究室を出るのだった。


研究室のある部屋はお城の中でも端っこにある。

そのため王子達主要人物がいる部屋まで少し歩くことになる。


歩きながら呼び出された用件について思い当たることを考えていた。


恐らくあの毒殺未遂事件のことだろう。


最近毒で倒れていた友人が職場復帰したと聞いた。

恐らく彼も交えて今回の件について話し合うのだろう。


そもそも今回の毒殺のターゲットは今僕を呼んでいる第二王子だったのだ。

それを護衛だった第二王子付きの騎士がかばったことによって友人は倒れてしまった。



僕の両親が王宮勤めの薬師だったため、僕は幼い頃よりこの王宮にはよく来ていた。

両親と一緒にいたくて付いて来ていたのだが、まだ子供だったため、やはり研究室にいるだけでは飽きてしまう。

研究室を抜けだした僕はお城の中を探検している内に中心に赤い薔薇がきれいに咲き誇る庭園へとたどり着く。


「わあ、きれい。」


僕はその薔薇に見惚れていた時、


「誰?」


突然声をかけられたことに驚いて振り向く。


そこにはとてもきれいな顔立ちをした青い髪の男の子が立っていた。

赤い薔薇を背景にするとそのサラサラの青い髪がより際立って、まるで童話の1ページのような美しさがあった。


「誰かって尋ねているんだが。」

彼は幼いながらもどこか気品を兼ね備えていた。

王宮にいることからも彼が上級貴族の子息だということは推測できる。


「ご、ごめん。僕はフィン マックベル。父と母が王宮の研究室で働いているので一緒に付いてきたんだ。」

僕は改めて尋ねられたことで我に返り、急いで自分の身分を明かした。


「ふーん。あのマックベル薬師長のねー。」

僕のことをジロジロと上から下まで値踏みするように見てくるその美少年。


な、なんなんだ、この子。


僕がジロジロ見られていて動けなくなっている時、


「エイリーク王子ー!」


中庭から見える位置にある渡り廊下で、同じくらいの年頃の子が誰かを探しているのが見えた。


「げ!ダニエルだ!おいフィン!隠れるぞ!」

突然その美少年の彼は僕の手を取って走り出す。


「え?え?え?」

突然のことで驚いたが、足をもつれそうになるのを我慢して手を引っ張る彼の後ろを一緒に走る。


薔薇の庭園の中でもより薔薇が生い茂る位置に隠れる。

渡り廊下側からはこちらは見えない。


「エイリーク王子ー!どこですかー?!」

探し人を探している子は庭園の近くまでは来ているがやはりこちらは見つけられないみたいだ。


「やばい。こっちに来ているぞ。」

探している子を薔薇の影から様子見ている。

そもそもなんで隠れる必要があるのか。



ん?


と言うか。。


あの子が探しているのって。。



「エイリーク第二王子??!!」

僕はこの青い髪の美少年が彼の探し人ならば、当てはまる事実に驚き思わず立ち上がって大声を上げてしまった。


「あ、ばか!」

エイリーク王子らしき人物は慌てて座れ!とジェスチャーをしている。


「あ!いた!エイリーク王子!」

当然のように見つかってしまう。


「探しましたよ!貴方王子という立場わかっているんですか!」

探していた子がこちらに来てエイリーク王子に対して怒っている。


「くそ。フィンのせいだぞ。」

「え、なんでですか?!」

僕は突然現れたその王子様に驚かされるばかりだ。


「君は?」

探していた彼が僕を見て不振がっている。

「彼はマックベル薬師長の子息のフィンだ。友達になったからよろしく!」

エイリーク第二王子は僕を友達と宣言する。


「友達?!そんな僕は庶民ですよ。王子様相手に不敬です。」

僕は無理無理!と手を胸の前でバッテンにして抗議する。


「そんなの関係ない!王子命令だ!」

「君。フィン君だね。このわがまま王子は一度決めたことは撤回しないから諦めた方がいいよ。」

普段からエイリーク王子に振り回されているであろう彼の心労が伺える。


「僕はダニエル。僕の両親は騎士をしていてね。その関係で第二王子の護衛を任されているんだ。」

僕と同じくらいの年なのに護衛だなんて、騎士の家系はすごいなと感心する。


「護衛じゃなくてダニエルも友人さ。3人揃ったから3人で遊べる遊びをしよう!今までダニエルと2人だったから遊べることが限られていてつまらなかったんだよ。」

「貴方はまたそんなこと言って、遊ばずに部屋に帰りますよ。」

「嫌だ。」

「王子様ってもっと儚いイメージだったのになんだか崩れたよ。」


薔薇の庭園で3人の子供が仲良さそうに笑いあっている。


その時から3人で一緒に過ごすことが増えて、唯一無二の友人となったんだ。

お互いに大人になってしまって、立場は違えどいまだに仲は良い。

それこそ誰かが命を落とす危険が迫るならば、盾になってもいいくらいに。



コンコン。


「入れ。」


ガチャ。

「失礼します。」


あの時からあの青い髪の美少年の彼は、美青年の彼になっていた。



「フィン。私を助けてくれたその女の子に会わせてくれないか。」



そして今もなお僕を困らせることばかり言ってくるんだ。


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