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13 歓声

「え、ええと。。」

マイクを持った司会の人は困惑しているみたいだ。


周囲の観客も何が起こったかわからずポカーンとしている。


「あれ?」

私は思っていた反応と違くて戸惑ってしまう。


「私、変なことしちゃったかしら?」

もしかしてルール違反とか知らないことをやってしまったのか、そう思った時。


「うわー!!お嬢さんすごいねー!!」

「あのケヴィンに勝つなんて!」

「すごい!すごい!」

一瞬の静寂の後の大歓声が広場に響く。


私はみんなの歓声が嬉しくて思わずアピールするように両手を上げながらぴょんぴょんその場で跳ねる。


「で、では。。そちらのお嬢さんのか、勝ち。。ということで。」

司会の人はまだ困惑していたが、一応現状ミーアの勝ちには変わりないので勝利宣言をしようとした時。


「納得いかねえ!」


ミーアに注目していた観客たちは大きな声に驚いてそちらに視線を向ける。


倒れていたケヴィンが立ち上がってミーアを睨みつけている。


「そこの女!どんなズルをした!」

女の子に負けるなんて思ってもみなかったケヴィンはミーアが何かしらのズルをしたと思ってしまったようだ。


「ズルー?そんなのしてないわよ。単純にあなたが弱かったんでしょ?」

ミーアにしてみればその通りなのだが、プライドを傷つけられたケヴィンの怒りは増す。


「き、貴様!許さねえぞ!!」

突然ケヴィンはミーアに襲い掛かる。


「ミーア!危ない!」

観客席にいたフィンは襲われそうになっているミーアに駆け付けようとした時、


ミーアは襲い掛かってきたケヴィンをひらりと避けた、


すると避けられると思っていなかったケヴィンは躓くように前に倒れそうになる。


倒れそうになっているところをミーアは右足で軽く足払いをする。


「うおお!」

足をすくい取られて一瞬中に浮くケヴィン。


その瞬間、ミーアは彼の背中に拳を振りかざす。


ゴガギャン!!

ケヴィンが地面に大の字に叩きのめされた音だ。


ミーアはとどめをさそうと右手を振りかざした時、


「鬼パン「ミーア!!ダメだ!!」

!!突然フィンに止められる。


私はフィンを見てから、下にいるケヴィンを見ると既に意識がないみたいだった。

鬼パンチを繰り出そうとした右手を収める。


そして右足を倒れているケヴィンに乗せて、左手を腰に、右手を誇らしげに天高く上げる。

勝利のポーズだ。


その瞬間、先ほどよりも更に大きな歓声が広場に響く。


「お嬢ちゃんカッコいいぜー!」

「強い!カッコいいし可愛い!」

「あのケヴィンを倒すなんて痺れる!」

口々にミーアを褒めたたえる。


ミーアはきゃっきゃとみんなに答えるように手を振る。


「ミーア、もう行こう。これ以上目立ってはダメだよ。」

鬼族である彼女の存在がばれないようにこの場を去ろうとする。


「あ、お嬢さん、一応これは景品ですのでお持ちください。」

マイクを持った司会の人が、勝負の場の酒樽とは別の上に乗っていた硬貨を巾着袋に入れてミーアに渡す。

「え、いいの?やったー!」


素直に喜んでいるミーアの腕を引っ張って、さあ行こう、とフィンはグイグイ進んだ。




しばらく足早に歩いた後、あの喧騒を抜けた先でくるりと振り返りミーアに向きあう。


「ミーア。」


「はい。」

怒られるかもって思ったら、飼い主に怒られるのを待つ犬のようになってしまう。


「ミーアが鬼族だって知られたら街中パニックになってしまうんだよ。君のことを悪用しようとする悪い人間だっている。気を付けよう。」

フィンの言うことは至極当然の正しいことだ。


「ごめん。」

叱られた犬のように耳を垂れる。実際には垂れる耳はなく、角があるのだが。


「フィンがあまりにも優しいから、人間はみんな優しいんだって思ってるところもあるかも。」

しゅんとしながら上目遣いでフィンを見る。


「う。そう言われると怒るに怒れないよ。全くミーアは天然でそれをやるんだからたちが悪いよ。」

ブツブツひとり言のように言うフィン。


「うん、次から気を付けよう。」

今度は大きく私に聞こえるようにハッキリと言う。


「はーい!」

私はフィンに答えるように右手を上げて大きく返事をする。


フィンに怒られないように頑張ろう!

気持ちも新たに私たちは街中を歩いていく。


しばらく街並みを楽しみながら歩いていた私は、少し先を歩いてたフィンが立ち止まったので一緒に立ち止まる。


「着いたよ。ここでスイーツを食べよう。」

フィンが右手をその建物に向けて紹介してくれたそのお店を胸を躍らせながら見るのだった。







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