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11 洋服

ご飯を食べた後、フィンは一旦荷物を置きに城下町にある自分の家へと帰っていった。

私は空いている部屋の一室を貸してもらい今日はそこに泊めさせてもらうことになった。


「今日はお互い疲れているから、明日出かけよう。朝迎えに来るから。」

笑顔でそう言ってくれたフィンを思い出してにやにやしてしまうのを繰り返していた。


フィンにも会えたし、フィンのおばあさんにも会えて、フィンのお家にお泊りしてたくさん彼のことを知れた日だった。

明日はもっとフィンと仲良くなれるかな。


「明日が楽しみだな。」

私は初めてベットというフカフカした寝床に寝そべりながら目を閉じるのだった。




「美味しい!」

マールおばあさんが用意してくれた朝食を頬張り私は歓喜の声を上げていた。

「この三日月形のパン?!さっくさくなのにふわふわしてて美味しい!」


「それはクロワッサンさね。おかわりもあるから遠慮せず良いなよ。」

ニコニコしながら私の食べる様子を見てくれるマールおばあさん。

こんな美味しいご飯を用意してくれた上に優しいなんて神?!

感動しながら目の前のハムや目玉焼き、サラダなどを食べ進めている。


カランコロン。

ちょうど食べ終えた頃に食堂のドアが開く音が聞こえた。


「ミーア、お待たせ。ご飯食べ終わってるなら行こうか。」


「フィン!迎えにきてくれてありがとう!今お皿を片付けるから待ってて!」


「ミーアちゃん、ここはいいからお出かけしてきな。」

笑顔で送り出してくれるマールおばあさんに感謝しながら私はフィンと外に出るのだった。


フィンは昨日の森の中に入っていくような服装ではなく、襟のついたシャツで落ち着いた格好をしていた。

整った顔立ちのフィンがより格好よく見えてしまう。


それに比べて私は。。


自分が身にまとっている虎の毛皮の裾を握りしめて悲しい気持ちになっていると。


「ミーア、着いたよ。」

フィンが入ろうとしているお店の中を見ると洋服が並んでいるように見えた。


「ここって。」

呆然としている私を置いてフィンはお店の中に入っていく。

私は慌てて彼の後ろを追いかけるのだった。



「うあー。」

お店の中には色とりどりの可愛らしい洋服が並べられてある。

私はキラキラした眼差しでお店の中のキョロキョロ見てしまう。


「ミーアの好きな洋服はどれかな?」

「わ、わたし?!」

突然言われて驚くが、目の前の可愛い洋服たちに目線を向けてみる。


フリフリのフリルがついた洋服、リボンがついた洋服。

赤色、青色、黄色、オレンジ色などカラフルな彩り。


どれが良いって全部良い!


選ぶなんて出来ないなんて贅沢な悩みを考えていたら、フッと一つの洋服が目に留まった。


「これって。」

私は目に留まった一つの洋服を手に取る。

それは上は白色の半袖で、カットシャツだが胸元には大きなリボンがついている。

下はハイウエストにドッキングされたピンク色のフレアスカートが可愛らしい。


私はスカートのピンク色が気になったのだ。

フィンが私にくれて、今も頭に巻いているスカーフと同じ色だったからだ。


「それが気に入りましたか?」

店員さんと思われる人が、洋服を手に取った私に話しかける。


「あ、はい。」

おずおずと答えると、それなら着てみましょうと試着室と書かれているカーテンの向こう側に私を押し込める。


こ、ここで着替えればいいの?


わからないことばかりだけど、意を決して私は着ていた虎の皮を脱いで、手に持っている洋服に着替えるのだった。




数分して、シャッっとミーアが入っていたカーテンが開かれる。


「あ、ミーア、着替えられ。。た。。」

フィンがミーアを見ると少し固まってしまう。


「ふぃ、ふぃん。どうかな?」

もじもじと出てくるミーアにフィンは頬を染める。


ハッとした後に、

「ごめん、ミーアが可愛くて驚いちゃったよ。」


「え、えええ!」

あまりえにもストレートな言い回しにあわあわしてしまう。

あわあわしている私を置いてフィンは店員さんに、

「これ着ていくのでお願いします。あと適当に何着か見繕ってください。」


「え!フィンそんないいよ!」

突然のフィンの言葉に終始驚きっぱなしで対応が追い付かない。


「ううん。これはお礼だから気にしないで。これでも王宮で働いているからお金の心配は無用だよ。」

二コリとほほ笑まれると何も言えなくなってしまう。


なんてカッコいい男の子なんだろう。

人間の男の子ってみんなこんなカッコいいんだろうか。


ふわふわした気持ちのままに私たちはお店を出ていくのだった。


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