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10 食堂

その食堂は入り口の扉に「CLOSE」と掲げていた。

周りにあるお店は普通に営業していたので、祝日というこではないみたいだ。


今日が定休日なのかしら?と思いながらフィンの後ろをついて中に入っていく。


中は机といすが均等に並べてあるこじんまりとした食堂だった。

一か所カウンターがあり、その奥にはキッチンがあることから、お客さんの目の前で料理をして提供するんだろうな、というのはわかった。


「マールばあちゃんいるー?」

誰もいない食堂の中でフィンは叫ぶ。


奥の方でガタガタと音が鳴った少しした後に、奥の扉から白髪の女性が出てくる。

「誰かと思ったらフィンかい?久しぶりだね。今日はどうしたんだい?」

その白髪の女性はフィンを見るけると嬉しそうに尋ねる。


「突然ごめんね。マールばあちゃんに紹介したい人がいて。」

「紹介したい人?」

フィンの隣にいる私をみるそのご老人の視線で少し恥ずかしくなりもじもじしてしまう。


「み、ミーアです。フィンとはお友達です。」

おずおずと自己紹介する。


「ミーアは王宮で働いている時に知り合った子なんだ。ミーア、こちらは僕の祖母のマールばあちゃん。」

フィンは先ほどと同じ紹介する説明をしたあとにそのご老人のことを教えてくれた。

「マールです。フィンが女の子を連れてくるなんて珍しいこともあるもんだね。」


「実はいろいろあってね、ミーア泊まるところがないんだ。ここでしばらく休ませてあげてくれないか?」

「うちはもう私しか住んでいないからね。部屋はいっぱい余っているから好きに泊まればいいよ。」

「あ、ありがとうございます!」

私は心優しいそのご老人をやっぱりフィンの家族は優しいんだってわかったことが嬉しかった。


「とりあえずご飯でも作ろうか?二人ともなんだか疲れているようだし。」

「そうだね、じゃあ願いしようかな。ミーア、マールばあちゃんのご飯はとっても美味しいから期待して待とう。」

「うん!」

初めて食べる町のごはんを楽しみに待つことにすることにした。


食堂の中にあるカウンターに置いてある椅子を引き座るフィン。

私はその隣の席に座る。


マールおばあさんはカウンターの中に入り、フライパンを一つ取り出す。

コンロに火をつけた後、バターをひとかけらフライパンに投入する。


「今の黄色い塊なに?!」

「あれはバターって言ってね、牛のミルクを発酵させて作るものだよ。」

へーって言いながら興味津々に見る。

「バターを知らないなんて不思議な子だね。」

そう言いながらフライパンを揺らしてバターを全体的に塗るように回す。

フライパンを温めている間に、玉ねぎ、人参、ピーマンを慣れた手つきでみじん切りに切っていく。

そして温まったフライパンにざっと入れる。


バターと相まって香ばしい匂いがカウンターに広がる。

「いい匂いー。」

私は目を瞑って匂いを堪能する。

野菜が焼けたと確認した後に冷蔵庫から冷や飯を取り出して追加で投入する。

そして赤い色の何かを混ぜてからフライパンをダイナミックに振る。


鬼族の村では基本的に丸焼きで食べることしかなかったからこの工程を見るだけでも楽しい。


用意されてあった平べったいお皿に上に赤くなったご飯を置く。

「赤い。。」

あっけにとられている私に

「まだ終わりじゃないよ。」

とフィンが教えてくれる。


空になったフライパンにもう一度バターなるものを入れるマールおばあさん。

そしてバターが解けたあとに卵を溶いた黄色い液体を入れる。

ジュージュー言う黄色い液体をならして広げていく。


そしてその黄色いものを先ほどの赤いご飯の上に乗せる。


「さあ出来たよ。オムライスさ。」

そういって私とフィンの前にドン!っと置く。


「お、おむらいす。。」

初めてみる私はドキドキしながらそのおむらいすなる物体にスプーンを向ける。


「あ、待って。その前に上にケチャップかけるね。」

「けちゃっぷ?」

フィンは私のおむらいすなる物体の上にけちゃっぷなる赤い血のようなものをかける。

「血まみれ。。」

「いや血じゃないから。騙されたと思って食べてみて。」

笑いながら言うフィンに騙されたつもりでパクリと一口食べてみる。


「お。。」


「「お?」」

二人が私の様子を固唾をのんで見守る。


「美味しいー!!!」

ななにこれ?!この世の食べ物なの?!

私が今まで食べていたものはなんだったの?!

あらゆる感情が湧きあがってくる。


「そんなに美味しそうに食べてくれると作りがいがあるね。」

ニコニコしてマールおばあさんはこちらを見てくる。

「マールばあちゃんのオムライスはこの国一美味しいからね。」

美味しそうに食べる私の反応に満足して自分の分を食べ始めるフィン。


私はそのおむらいすというものをあっという間に食べきるのだった。



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