侍女殺人事件 推理
今日も午前に仕事を終わらせ、お昼ご飯を食べている時の事。相変わらず玄米と野菜だけの質素な献立だなあとか思っていると、何やら周りが騒がしい事に(今更)気づいた。
「何かあったのかな」
友達の莱莱に言うと、莱莱は「蘭蘭知らないの!?」と言った。
「ある侍女が自分の部屋で首を吊って死んでたんだって!しかもそれは過去にも何回かあったらしいの!おかげでその宮にいる侍女は呪われるって噂されてるの」
呪いだあ?くっだらね。
「呪いだなんて、そんなモン現代にあったら今頃私らも殺られてるよ」
「えー-」
「あれだよ、よくある仕事や人間関係のストレスでやられて自殺。呪いなんかじゃないよ」
さて、午後もいつも通り推理しますか、と考えていた時、前来たあのイケメン宦官が来た。
「何の御用でしょうか、麗申様」
「例の侍女事件は知っているか?」
「噂くらいは」
「お前に頼みがあるんだが」
「はあ、何でしょう」
「その事件を解決してくれないか」
はあ?
「彼女はメンタルをやられて自殺したのではないのですか?」
「どう想像したらそうなる?調べた結果、自殺ではなく他殺だという事が分かったらしい」
「他殺か……」
他殺となると、現場を見に行かなきゃ分からないな……
「現場に行かせてください」
イケメン宦官はにっこりと笑みを浮かべると、殺人現場に連れて行ってくれた。
女が殺されたその女の自室に行く。侍女は首を吊って死んでいた。推理アニメとかでよく観たけれど、実際にこの眼で見ると怖い。逃げたくなる。
というか、それにしても、めっちゃ色んな物が荒らされてるな。犯人と揉めた跡か?まあでも、侍女の下に机や椅子等の台が見当たらないという事は、他殺で間違いなしだろう。自殺の場合、台が無いと不可能だから。
それに、女官の首に傷跡がついていた。紐に抵抗した跡、つまり爪の跡が残されている。
「あの、この遺体はいつ発見したんですか?」
「今朝だ。死んだのは昨日の夜と思われるらしい」
「この遺体の第一発見者は誰ですか?」
「同じ宮の侍女だ」
「では、この宮の侍女を呼んでください。もちろん妃も」
「分かった」
やがて侍女達がやってくる。この宮の侍女は少ないな。普通は十数人連れているから、時間がかかると思ったけど。
「では、一人ずつ、この侍女が殺されていた時間、どこで、何をしていたか、教えていただきます。ではまず、貴方から」
「……その時は自室にいたわ」
「それを証明する人は」
「いないわよ。自分の部屋に居たんだもの」
「ありがとうございます。次は貴方」
「その時は、その、部屋の掃除をしていました……」
「それを証明する人は」
「いません……」
「ありがとうございます。最後は貴方」
「その時、厨房に居たわ。和菓子作りするのが私の趣味で、みんなに頼まれたから」
「それは本当ですか」と二人の侍女に問う。
「あ、はい。私達は甘い物が好きで……。白恋様もお好きでしたから」
白恋様とは、ここの宮の妃の事だ。
「今、その和菓子はありますか」
「ええ。厨房にあるけど」
「その厨房はどこにありますか」
教えてもらった場所へ行く。厨房はたくさんの種類の調理器具や果物がたくさんあった。そして、棚のところに苺饅頭が数個あった。うまそ。確かに、和菓子を作ったという事は本当だ。だが、作っていたところは見た事がないと二人の侍女が言っていたから、犯行が外されたわけではない。苺饅頭を早めに作り終わって、そのままあの侍女を殺しに行く事もできる。だけど、戻ったら誰かが見ているはず。
他の二人もそう。誰もが一人行動をしていた。つまり、殺しに行くチャンスはあったという事だ。
そう考えながら、現場に戻る。と、殺された侍女の近くに、糸のようなものが落ちていた。
(赤い糸……)
赤い糸は侍女の服だ。という事は、三人の侍女の内、一人は服がほつれている可能性が高い。
三人にもう一度集まってもらって、三人の服をよーく観察する。
(なある程?分かったよ、侍女を殺した犯人が!)