表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
<R15>15歳未満の方は移動してください。

自サツ

作者: someone

扉を開けたらブワッと風が吹いてきた。

日が山へと隠れていき、空全体が美しいグラデーションを奏でる。


唐突に泣きたくなって、逃げ出したくなって物思いに耽ることにした。過去に還って行く。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


居場所がなかった。


家にも学校にも。家はキレイだけど、見た目だけ。

中に入ればグッチャグチャ。母さんの心と一緒。


慣れない土地で友人も居なくて、言葉も通じなくて大変だったって。同情は出来るし、理解もできるよ。


でも、母さんは学生時代、沢山楽しんでキラキラしてたんでしょ? 友達が沢山いて、今でも韓国に行ったら会いに行く友達が何人もさ。じゃあ、良かったじゃん。


僕は、育った町で、言葉も上手く話せたよ。でも、誰とも通じ合えなかった。この先、誰とも合うことは無いね。


父さんが言うくだらない冗談が好きだった。でも、ある時から全然話さなくなった。それに変なことで、母さんに怒るようになった。


きっと会社が大変なんだよね。上司に怒られたり、同僚や取引先と上手くやり繰りしたり。父さんも人間関係が下手なの分かるんだ。でもね、もっと色々話を聞いて欲しかったし、母さんと仲良くしていて欲しかったな。


教会っていう、良く分かんない場所にもよく連行されたっけ。日本に居場所がない母さんは、そこに居場所を見つけれたみたい。


そこでは、天国・地獄とか、キリストのみが神で、信じた者だけが救われるとかよく言ってたね。


神様は人間が悪い事するたび、虐殺して、選民思想的に天国行きを決めるなんて、なんとも器が小さいもんだと思ったけど。


その場所は母さん的には天国だったんだろ。

僕には燃える灼熱の地獄の中と、大差なかったけど。


教会っていうのは面白いもので、今考えてたら社会的弱者が多かった。そりゃ当然だ。1%も信者がいない国で、マイナーな神に縋るなんて狂ってる。


そんなとこに通う人は、人生は努力しなきゃダメだって分からないみたいだ。子供ながら直感的に分かってたのに。しかも聖書で例え話を使って、分かりやすく教えてくれるのにね。

自分の家庭環境や、教育環境。階層や社会的地位とかね。今で言う親ガチャかな? 30超えてもまだそんなこと言ってるの、笑えるね。


そんな人達が子供を産んだらどうなると思う? そんな人達が育てた、子供たちの輪に入る僕は?

中学生で相手を妊娠させて、親に殴られたって笑ってたやつも居たな。みんな笑ってたよ。まあ、殴って教育ってのはらしいか、そこが笑うポイント?


僕は何も面白くなかった。地獄に落ちるのは、こういう人間だと良いなって思った。


まあ、キリスト教的には、僕みたいなのが落ちるらしい。ダブルミーニングだね。


学校は、あまり楽しい場所じゃなかった。人は見た目と世間体で、友達を選ぶんだという常識を教えてくれた事くらいだろうか。


先生とは、給料少ない癖に多忙で、まずまともな大人がなる職じゃない。そんな狂った職につく人は、大多数が人を不快にさせ、理不尽を押し付ける天才だ。

さしづめ、学校にいい記憶があって先生にでもなったのだろう。羨ましいね。


とにかく、彼らの理不尽さは凄いんだ。相手が先に殴って、抵抗して殴っても、両方悪いと言い出す程度には。

通り魔にでも刺されて、無抵抗にタヒねばいいのに。



子供は無邪気だ。デブにはデブと言うし、ブスにはブスという。それは心地良い世界ではあった。


その矛先が自分に向かっていない間は。


あだ名はネガティブだった。分かりやすい。大人も子供を見習うべきだ。

あいつは差別主義者、あいつはオタク、あいつは行き遅れ。心の中で思ってるんでしょ?


僕はハーフだった。韓国人の。

田舎なのが良くなかったのか、それとも母が日本の常識をよく知らないのが原因か。

或いは、変に厳しく変に甘い教育が悪かったのか、早生まれで機敏に疎いからか。


昨日まで仲良くしてたのに、気が付いたら距離を取られ。一昨日まで笑い合ってたのに、今日には忌み嫌われる。


誰だってそうするさ。子供なんて、親がなんか言えばそれに従うだろう。

大人もそうさ。付き合う相手の基準は、自分の利になるかどうかだけ。


結局、友達って言ったって、自分にメリットがあるかどうかなんだ。一緒に居て楽しいとか、喜びを分かち合えるかとか、共に成長しようとか。相手の心なんて分かんないくせに。自分の為でしょ? 全部。


自分が楽しい。自分が喜べる。自分が成長できる。自分、自分、自分。ぜーんぶ自分の為じゃん。


そんな身勝手なことを、友情とか切磋琢磨とか、虹色に煌めく甘ったるいケーキみたいな言葉で良いことみたいに言って。


気持ち悪い。


大人になって友達がそれなりに出来たさ。友達って簡単にできるんだよ? 無知なふりをして、楽しむふりをして、共感するふりをして、寄り添うふりをして。


あ、いいテクニック教えてあげるね。有益な事を教わったフリが一番効果的なんだよ。

だからさ、お前も為になったフリしろよ。

最初から知ってましたみたいな顔しやがって、バカのくせに。


まあ相手がそう思ってるだけの友達さ。一生勝手に思ってろ。


そうやって、人間がどんどん嫌いになった。家にも学校にも教会にも、居場所が無い。信頼できるような友人も居ない。僕は、図書館に籠もるようになった。


小学生ながら、チェルノブイリ原発とかエイズについてとか、色んな本を読んだ。その中でも特に好きなのは偉人伝だった。


彼らは僕の周りの人とは違った。自分の周囲のことに流されないで、自分の理想や趣味に没頭して。他者評価や世間体など気にせず、自分の信念や心の赴くままに動く姿に憧れた。


ナイチンゲールのような、情に厚く改革を進めれる人間になりたかった。

信長のように、我を貫ける人間になりたかった。

他人の努力を否定できる程の才能が欲しかった。

人を愛すことのできる人になりたかった。


人に優しく接したい。仲良くなりたい。強くなりたい。自分という存在を知らしめたい。皆に必要とされたい。居てもいいって言ってほしい。誰かの唯一無二になりたい。みんなに好かれてみんなを心から愛したい。


そう思ってた。いや、そう思ってる。

今でもそう思ってる。


だけど、そうはなれないみたいだ。

僕はそんな歴史に残る人間にはなれない。Wikipediaのちょっと載る程度のマイナーな人間にもなれないだろう。


僕は人が嫌いで人が好きで、自分が嫌いで自分が好きで。好かれたくて、嫌われたくなくて。でも、こんな自分を好いてくれる人が居ないって気付いて。僕もみんなのような自己中心的な人間なんだろう。


好かれる努力をして、見た目を気にして、金にそこそこ余裕があって、子供が好きで、教育に関心があって、噂話に聡くて、いつもポジティブなことを言って、人の善意を信じれるような。


みんなもそんな人間が好きなんでしょ?

僕もそんな人間が好きだよ。成ろうと取り繕うのは、苦痛でしかないが。


だから、キリスト教徒でも来世を願いたいんだ。次は人が好きで、変に違和感を持たない人間でありますようにって。


少し肌寒い風が通り過ぎ、遠く離れた地面をハッキリと見下ろす。


そして、誰に言うでもなく呟いた。

「さよなら。」

もし学校が辛いなら、完全に休んでいいと思います。正直大人になるまでに、お金稼げるようになればいいんです。


僕も学生時代が悲惨で、どんどん精神病んで、一番酷いときは挨拶されただけで恐怖してました。提出物出さなくて、職員室で公開処刑されながら「学校なんて最初から行きたくなかった」って言って、号泣した記憶もあります。恥ずい。


でも、社会人になってから、なかなか人生面白くなって来たので、もうちょっと未来に希望を持って生きて欲しいなって。


世の中、案外優しい人多いですし、相談や愚痴くらいなら乗れるんで、Twitterの@Drawinger0096(uni)って人に話してみて下さい。


大人も案外子供で、思ってるより大人らしい大人って居ないです。みーんな案外子供です。大人のフリが上手いだけです。


だから、あんま気負わず気楽に生きて下さいね。

死なないで。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

現実を多少薄めてます。だいたい現実の方がフィクションより悲惨です。



知り合いに車ぶつけ合って、ほぼ殺し合いの夫婦喧嘩した人。酔ってるときテラスで「私と愛人どっちが大事なの!!」って言いながら、足滑らして落ちて死んだ、1児の母とか居ます。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

たとえ家族でも分かり会えないことも多いし、あなたにとって毒である事もあります。

その時は1回縁を切っちゃっていいと思います。


いつか分かり会える、或いは許せる。許せなくても、ほどほどの距離で付き合えるようになります。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ